竹中凌平、佐藤たかみち

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2024年8月9日(金)~12日(月・祝)に大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール、8月17日(土)~25日(日)に東京・シアターHにて上演される舞台『ブルーロック』3rd STAGE。本格始動前に合同取材会が行われ、潔世一役の竹中凌平、蜂楽廻役の佐藤信長、凪誠士郎役の佐藤たかみち、士道龍聖役の松田岳、脚本・演出の伊勢直弘が意気込みを語った。

合同取材会で「今年の夏はさらに熱くなる。今回はキャストがたくさんいらっしゃるので、今までよりさらに迫力が増して化学反応が起こるような気がして楽しみ」と声を弾ませた竹中。佐藤信長は「つい最近2nd STAGEの取材を受けたような気分で、あっという間でした」と感慨深げ。「個人としても役としても、ブルーロックへの向き合い方が見えてきた」と振り返った。第一弾では雷市陣吾役、第二弾からは凪誠士郎役を演じる佐藤たかみちは「3rd STAGEでもまた戦えることが嬉しい。感謝の気持ちを忘れずに、凪のように周りから逸材だと思われるような存在になれるように頑張りたい」と力を込めた。

今作から登場する士道龍聖を演じる松田。早い段階で配役が決まっていたといい「もともと原作が好き。ずっと準備してきた士道龍聖という役で、ようやく出陣できるという心持ち。自分の役が起爆剤として機能することができたら」と語った。演出のポイントとして伊勢は「心情を表現してもらうことに重きを置いています。言葉を大事にするということは方針として貫いていきたい」と話した。

合同取材終了後、SPICEでは竹中と佐藤たかみちの対談を実施。2nd STAGEの振り返りや、キャラクターとの向き合い方について深く語ってもらった。

竹中凌平、佐藤たかみち

――2nd STAGEでは竹中さん演じる潔世一、佐藤さん演じる凪誠士郎のタッグが大きな見どころでした。振り返ってみていかがでしょうか?

竹中:ここの間でのやりとりは結構、綿密にあったよね。

佐藤:ありましたね。面白いのが、第一弾では雷市(陣吾)として潔の胸倉を掴んで、2nd STAGEでは凪として潔に胸倉を掴まれるという(笑)。

竹中:あった、あった。掴んだ記憶あるわ(笑)。

佐藤:掴み、掴まれ(笑)。

竹中:2nd STAGEは本当に大変だったと思うよ。凪としての稽古期間は少なかったもんね?

佐藤:はい。でも、お話があったときは即答で「やります!」とお返事しました。じつは、最初の段階で凪役のオーディションを受けていたんです。最終的に(第一弾で演じていた)雷市役に決まって、雷市のことをどんどん好きになっていった。本当にかっこいい奴で、今でも漫画やアニメで観ていると追いかけてしまうくらい。一方で、凪はもともと、ずっと演じたかったキャラクター。凪役のお話をいただいたときは……こういう表現の仕方は本当におこがましいんですが、運命だと感じました。

竹中:やり遂げたのは本当にすごいことだよ。限られた時間だったし、僕から「こうして、ああして」と言うことになるのは申し訳ないなと思っていたんですが……そんなこと言わなくても、お互いに芝居をしていれば関係性が自然と出来上がっていった。すごくやりやすかったですよ。

佐藤:それは役にすごく近しい状況にあったからだと思っています。凪は潔に惹かれて、いったん(御影)玲王と離れてでも一緒に戦うことを選ぶじゃないですか? 同じように、僕は竹中凌平という人間にあこがれを抱いている節がありまして。

竹中:えっ、嬉しい! 変わり者だ(笑)!

佐藤:いえいえ、他にも凌平くんにあこがれている役者はいますから。ご一緒する前から知っていましたし、『ブルーロック』をはじめ多くの作品で主人公を演じられているわけですよ。主人公をやる役者は、こういうかっこいい男なんだなって……えへへ(と、照れ笑い)。

竹中:そっちこそ、中身は誰よりも主人公タイプだと思うんだよなぁ。

佐藤:え、僕ですか!?

竹中:努力家だし、周りとのコミュニケーションも大事にするし。少年漫画の主人公の性質を持っている人なんだよね。

竹中凌平

――せっかくなので、役者としての印象もぜひお聞かせください。

竹中:頑張り屋さん。稽古場に最後まで残ってフォームの確認をやっているんです。基本的に、目指している部分が高いんだろうな。2nd STAGEでいうと、カンペを作って本番中も舞台袖で念入りに確認しているんです。すごいことですよ。

佐藤:本当は良くないことなんですけどね……。

竹中:いやいや、素敵なことだよ。絶対に間違わないように、出ハケとかちゃんと確認してたんでしょ? 『ブルステ』の場合は特に段取りも多いし、ミスれないもんな。

佐藤:このセリフきっかけで入るとか、どこにハケてどこから出てくるというのが細かいんですよね。正直言うと、一会場目の京都公演までは本当にちゃんとできるか不安で、舞台袖ではカンペをお守りみたいに持っていました。

――では、佐藤さんから見た竹中さんの役者としての印象は?

佐藤:スーッと役にシンクロするんですよ。マリアージュなんです。

竹中:えっ(笑)。俺、マリアージュしてるんだ……?

佐藤:してます、してます! 凌平くん自身はそういう意識を持っていないのかもしれないですけど、はたから見ていると凌平くんと潔が自然と融合していく。すごい才能ですよ。僕も自分から役に近づきに行くタイプなんですが、どうしても行こうとしすぎちゃうから。

竹中:そうなのかな。でもね、俺にとって潔がやりやすいっていうのが大きい気がする。自分自身とそんなに離れたところにいるキャラじゃないから、演じやすいんだろうな。

佐藤たかみち

――キャラクターと演者自身が重なる?

佐藤:漫画を読んでいてもアニメを観ていても、映画を観に行っても潔の姿が自然と凌平くんに変換されるというか。もちろん、どのキャラクターもなんですが。

竹中:あっ、俺も! 俺も同じ現象あるよ!

佐藤:『エピ凪』(劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-)、観に行きました?

竹中:行ったよ。大画面で観る『ブルーロック』、めっちゃ良かった。

佐藤:あの、特に久遠(渉)なんですけど……。

竹中:うん。そこ、(第一弾で久遠を演じた佐織)迅にしか見えなかった!

佐藤:すごい良いシーンで笑うところじゃないんですけど、もう笑みがこぼれてしまって。

竹中:あるある。やっぱり間近で『ブルステ』を見てきた分、そういう現象が起こるのかもしれないね。

竹中凌平、佐藤たかみち

――キャラクターに「似ている」よりも「本物だ!」と感じられるのが『ブルステ』の大きな魅力。先ほどの取材会で、演出・脚本の伊勢直弘さんが「心情を表現してもらうことに重きを置いている」と仰っていたことが大きな要因かと思いますが、役にアプローチする上で意識されていることは?

佐藤:原作で大事に描かれている重要なポイント、例えば大きく描かれているコマでのポーズは似せるようにしますが、すべてはトレースしないようにしています。ふとした瞬間を含めて、「凪だったらここのシーンでこうする」ということはなるべく考えないように。考えすぎると、自然に生まれるものではなくなっちゃう気がして。

竹中:もちろんキャラクターと演じる役者によってやり方は違いますが、僕も同じ。大事なコマで描かれているポーズは似せに行くけど、それ以外はそうしない。『ブルーロック』はキャラクターの心境をきちんと描写してくださっているので、不自然な動きがないんです。取り入れようと思わなくても、心情を大事にしていれば自然と原作のキャラクターらしい動きをやっているんですよね。

――2nd STAGEを経て、演じるキャラクターから影響を受けたことは?

竹中:エゴが芽生えた潔の活躍を見ていて思います。「やっぱり、我慢しすぎるのは良くない!」って(笑)。

佐藤:あはは! 本当、そうですよね。

竹中:言いたいこと、思ったことは行動に移さなきゃ何にも変わらない。より一層、そう思うようになりましたね。凪は?

佐藤:もともと天才と呼ばれていたけど、ブルーロックには上の存在がたくさんいて。サッカーの面白さに気づいて頑張り始めるところは、すごい魅力的ですよね。僕は小さいとき、天才って言われたかったんですよ。でも、そうじゃなかった。天才である凪を演じるには、見合う人間にならなきゃいけないと思っていて。

竹中:すごい良いこと言ったね。そうだよな、天才キャラはお客さん側のハードルも高いから。

佐藤:はい。演じることで、自分を底上げしてくれる存在です。

竹中凌平

――二次選考後が描かれる3rd STAGE。現時点でどんなところが見どころになりそうですか?

竹中:(取材時点では)これから稽古が始まるという段階なので変更になるかもしれませんが、原作では深堀りされなかった部分がもしかしたら描かれるかもしれないそうです。どうなっていくか、すごく楽しみ。あとはやっぱり「FLOW」がどう描かれるのか!

佐藤:ですね!

竹中:そもそも役者は、板の上で演技している時点でもうFLOW状態なんですよ。FLOWの状態で、さらにFLOWをどう表現するんだろう?

佐藤:やっぱり漫画で描かれている、あのモヤモヤを僕らが出すしかないですよ(笑)。

竹中:あと、俺はいつかジグソーパズルのピースになりたい……!

佐藤:言ってましたね(笑)。あれは潔ならではの描かれ方ですもんね。僕は、今度は玲王と一緒に戦えるはずなので楽しみにしています。個人的には、(玲王役の)菊池修司くんと味方同士でやれるのが初めてなので!

佐藤たかみち

――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

竹中:皆様の応援のおかげで、第三弾となる3rd STAGEまで来ました。第一弾、第二弾と温かい言葉をたくさんいただけてすごく励みになっています。3rd STAGEではその期待をさらに超えていきたい。演出の伊勢さんも仰っていましたが、現状維持にならないよう、さらにいいものをお届けしたいです。

佐藤:右に同じ、と言いたいところですが! 個人的な思いとしては、1stでは雷市として、2ndと3rdは凪としてまた戦えることが本当に嬉しい。一緒に戦ってくれた共演者の皆さんや関係者の方々、何より観に来てくださった皆さんのおかげです。たくさん助けていただいたので、今度は僕がお返しする番。進化した僕たち、いや、覚醒した僕たちをお届けできれば!

竹中:成長した姿をお見せできることを、僕たち自身も楽しみにしています。

竹中凌平、佐藤たかみち

取材・文=潮田茗、撮影=大橋祐希