悪とは?正義とは?「最初は “ルポライター”ではなく“殺し屋”の設定だった」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(毎週金曜深夜24時12分/※7月19日は深夜24時27分放送)。本作で初のドラマプロデューサーを務める、俳優・柄本時生さん(出演)、今井隆文さん(出演・脚本も担当)にインタビュー。
【動画】柄本時生×今井隆文がプロデュースする話題のドラマ
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
――本作は、とある撮影の合間に、柄本さんが、今井さんに「劇団年一(げきだんねんいち)」(柄本時生、岡田将生、落合モトキ、賀来賢人で結成した劇団)でやりたい企画として話したことがきっかけで実現に至ったとのことです。まずは、テレ東にこの企画を持ち込んだ経緯を教えてください。
今井「テレ東の太田勇さん(本作のプロデューサー)が、以前から僕のことを気にかけてくれていて。太田さんって地面から浮いてそうというか、ふわふわとした人なので、この企画に乗ってくれそうだなと思って相談したんです」
柄本「僕はどこに企画を出せばいいのかも全くわからない状態からのスタートだったので、テレ東さんが手を挙げてくれるという情報を聞いただけでも嬉しかったです」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
――太田プロデューサーはテレ東の中でも革新的な企画を手掛ける方で。今井さんは「ふわふわとした人」とおっしゃっていますが、柄本さんはどんな印象でした?
柄本「僕も今井さんと一緒で、最初はふわふわしているというか、何を考えているのかわからない方という印象でした。今井さんからは僕の言ってることがわからないと言われ続けているんですが(笑)、太田さんは諦めずに聞いてくれて。今井さんは僕の言ってることを理解するのに『半年くらいかかった』と言うんですが、太田さんは3ヵ月くらいで理解してくれたんです」
今井「でも、太田さん、時生くんに直接聞かずに、僕に『あれ、どういう意味ですか?』って聞いてくることもあるから(笑)」
柄本「そうか! 通訳の今井さんがいてくれて、太田さんも理解してくれようとしてくれたことに感謝しています」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」より
――柄本さんは、共演作の撮影の合間に、今井さんに企画について打ち明けたそうですが、なぜ今井さんに話そうと思われたのですか?
柄本「本当にたまたまで」
今井「暇だったからだよね?」
――けれど、話してみようと思うのは何か理由があったのでは?
今井「その時、時生くんは“こんなことまで言うの?”っていうくらいのプライベートな話をしてきて。波乱万丈な話を聞いた後に、『いや、実は…』と企画の話をされて。順番違わない?(笑)」
柄本「あははは!」
今井「けど、プライベートの話をしてくれたことで一気に距離が近くなったし、“面白いな、この人”って思った」
柄本「僕としては、取りに足らない話のつもりでしゃべっているんですよ」
今井「そういう感覚なんだろうけど、受け手は取るに足ってるから(笑) そういう時生くんの湿度感が、作品にも出ていると思います」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より――本作は、東京・錦糸町を舞台に、過去を掃除する“掃除屋”と、過去を暴く“ルポライター”を中心に総勢50人以上の人生模様を描く群像劇。柄本さんは、最初に太田プロデューサーと会った際、「どっちがいいとか悪いとか決めつけたくないというか、決めつけない群像劇をやりたい」とお話しされたそうですね。
柄本「元々、映画『ナッシュビル』(1975年公開/アメリカ)みたいなドラマを作ったらどうなるんだろう、というのがあって。そういうドラマを放送したら視聴者は見るのか見ないのか、と衝動的に思った時に、自分の中で制作へのモチベーションが上がったんです」
今井「あと、もうひとつ言ってたよね? 地獄のやつ」
柄本「そう! 石井輝男監督の映画『地獄』(1999年)がすごく面白くて」
今井「実在の凶悪犯に似た登場人物が、地獄でめちゃくちゃな扱いを受けるという作品で、面白かった。今回の企画について『悪ってなんだ?正義ってなんだ?みたいなことをやりたい』と話す中で、時生くんは『この映画での悪の描き方の、成敗されてない、救われてないのがいい』と言ってて」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
柄本「だから、最初は “ルポライター”じゃなくて“殺し屋”という設定で。掃除屋と殺し屋の話だったんです」
今井「でも、物語の駒として殺人や人が亡くなることを扱うのは、僕はあまり好きじゃなくて。そうじゃない方向性ということろから“ルポライター”が出てきたんです。あと“超フィクション”もあるんです」
柄本「物語は、群像でリアリズムの中で作られていくものですが、僕の中で“絶対にこれはフィクションなんだ”という部分が欲しかったので、ある人物を登場させています」
今井「蓋を開けてみたら、その人物は大活躍していますね。映画『ナッシュビル』では登場人物の関係値が全くないんですが、ドラマの場合、関係値ゼロで作るのは難しいので、“こことここだけは関係値を作らないよう”と途中から方向転換して、その他は関係性を紐づけていくような群像劇にしました」
【後編】では、メインキャスト4人の普段の関係性と、キャラクター、脚本作りについて、俳優が作品をプロデュースすることについてなどの話を。
「ネットもテレ東」、「TVer」で、第1話を無料配信中!
メインキャストの賀来賢人さん、柄本時生さん、落合モトキさん、岡田将生さんに加え、豪華キャスト発表! 今井隆文さんが映像制作会社「リアルフィクション」のパワハラ社長役で出演するほか、さとうほなみさん、星田英利さん、濱田マリさん、光石研さん、MEGUMIさん、板尾創路さん、忍成修吾さん、浅香航大さん、早乙女太一さんらが登場。詳細は相関図をチェック!
今夜放送のドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(毎週金曜深夜24時12分/7月19日は深夜24時27分放送)第2話は?
第2話
木ノ本大助(賀来賢人)・今井裕樹(柄本時生)・奥田一平(落合モトキ)のこの日の清掃場所は、音楽アプリ会社「fabulous crew」のオフィス。社長の能(浅香航大)は残っているもの全て廃棄していいという。だが見回すと能をはじめ社員たちの仲良さげな写真が。起業当初から子供の頃の写真まであり、本当に廃棄していいのか躊躇してしまう。またほとんどの家具がレンタル品だったが、能はその事実をまったく知らず「なんにもわかってなかったんだな」とショックを受けた様子で…。
能は「fabulous crew」は幼馴染の牧田(橋本淳)、荒川(猪塚健太)と学生時代に起業したと語る。最初は能が借りた青山のマンションがオフィスだったが、開発したアプリがヒット。すぐ軌道に乗り錦糸町へ移転した。だが突然ある事実が発覚し会社をたたむことに――。一体何があったのか?
一方、大助らは“幼馴染3人で起業”という同じ状況の会社のなりゆきに、思わず自分たちを重ねてしまう。
【プロフィール】
柄本時生(えもと・ときお)
1989年10月17日生まれ。東京都出身。2003年、オムニバス映画 Jam Films S「すべり台」(2005年公開)で俳優デビュー。ドラマ「Q10」(日本テレビ系)、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(NHK)、「ひねくれ女のボッチ飯」(テレ東)、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、映画「俺たちに明日はないッス」(2008年公開)など出演作多数。本作「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(テレ東系)がドラマ初プロデュース。
Instagram:@emototokio1989
今井隆文(いまい・たかふみ)
1985年7月27日生まれ。東京都出身。2007年「劇団プレステージ」に入団、リーダーとして、出演のほか、数々の作・演出を手掛けた後、2019年に退団。以降も、ドラマ「アンナチュラル」(TBS系)、「何かおかしい」(テレ東)、舞台「いつぞやは」、映画「アナログ」(2023年公開)のほか、ドラマ「パリピ孔明」「婚活1000本ノック」(ともにフジテレビ系)など、舞台・映像に幅広く出演。2020年にソロプロジェクト「パーマネント」を立ち上げ。また、ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)では 原案に参加している。
X:@meganpa
Instagram:@imataka_tenpa
(取材・文/高本亜紀)
【動画】柄本時生×今井隆文がプロデュースする話題のドラマ
企画が実現するまで
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
――本作は、とある撮影の合間に、柄本さんが、今井さんに「劇団年一(げきだんねんいち)」(柄本時生、岡田将生、落合モトキ、賀来賢人で結成した劇団)でやりたい企画として話したことがきっかけで実現に至ったとのことです。まずは、テレ東にこの企画を持ち込んだ経緯を教えてください。
柄本「僕はどこに企画を出せばいいのかも全くわからない状態からのスタートだったので、テレ東さんが手を挙げてくれるという情報を聞いただけでも嬉しかったです」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
――太田プロデューサーはテレ東の中でも革新的な企画を手掛ける方で。今井さんは「ふわふわとした人」とおっしゃっていますが、柄本さんはどんな印象でした?
柄本「僕も今井さんと一緒で、最初はふわふわしているというか、何を考えているのかわからない方という印象でした。今井さんからは僕の言ってることがわからないと言われ続けているんですが(笑)、太田さんは諦めずに聞いてくれて。今井さんは僕の言ってることを理解するのに『半年くらいかかった』と言うんですが、太田さんは3ヵ月くらいで理解してくれたんです」
今井「でも、太田さん、時生くんに直接聞かずに、僕に『あれ、どういう意味ですか?』って聞いてくることもあるから(笑)」
柄本「そうか! 通訳の今井さんがいてくれて、太田さんも理解してくれようとしてくれたことに感謝しています」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」より
――柄本さんは、共演作の撮影の合間に、今井さんに企画について打ち明けたそうですが、なぜ今井さんに話そうと思われたのですか?
柄本「本当にたまたまで」
今井「暇だったからだよね?」
――けれど、話してみようと思うのは何か理由があったのでは?
今井「その時、時生くんは“こんなことまで言うの?”っていうくらいのプライベートな話をしてきて。波乱万丈な話を聞いた後に、『いや、実は…』と企画の話をされて。順番違わない?(笑)」
柄本「あははは!」
今井「けど、プライベートの話をしてくれたことで一気に距離が近くなったし、“面白いな、この人”って思った」
柄本「僕としては、取りに足らない話のつもりでしゃべっているんですよ」
今井「そういう感覚なんだろうけど、受け手は取るに足ってるから(笑) そういう時生くんの湿度感が、作品にも出ていると思います」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より――本作は、東京・錦糸町を舞台に、過去を掃除する“掃除屋”と、過去を暴く“ルポライター”を中心に総勢50人以上の人生模様を描く群像劇。柄本さんは、最初に太田プロデューサーと会った際、「どっちがいいとか悪いとか決めつけたくないというか、決めつけない群像劇をやりたい」とお話しされたそうですね。
柄本「元々、映画『ナッシュビル』(1975年公開/アメリカ)みたいなドラマを作ったらどうなるんだろう、というのがあって。そういうドラマを放送したら視聴者は見るのか見ないのか、と衝動的に思った時に、自分の中で制作へのモチベーションが上がったんです」
今井「あと、もうひとつ言ってたよね? 地獄のやつ」
柄本「そう! 石井輝男監督の映画『地獄』(1999年)がすごく面白くて」
今井「実在の凶悪犯に似た登場人物が、地獄でめちゃくちゃな扱いを受けるという作品で、面白かった。今回の企画について『悪ってなんだ?正義ってなんだ?みたいなことをやりたい』と話す中で、時生くんは『この映画での悪の描き方の、成敗されてない、救われてないのがいい』と言ってて」
ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第1話より
柄本「だから、最初は “ルポライター”じゃなくて“殺し屋”という設定で。掃除屋と殺し屋の話だったんです」
今井「でも、物語の駒として殺人や人が亡くなることを扱うのは、僕はあまり好きじゃなくて。そうじゃない方向性ということろから“ルポライター”が出てきたんです。あと“超フィクション”もあるんです」
柄本「物語は、群像でリアリズムの中で作られていくものですが、僕の中で“絶対にこれはフィクションなんだ”という部分が欲しかったので、ある人物を登場させています」
今井「蓋を開けてみたら、その人物は大活躍していますね。映画『ナッシュビル』では登場人物の関係値が全くないんですが、ドラマの場合、関係値ゼロで作るのは難しいので、“こことここだけは関係値を作らないよう”と途中から方向転換して、その他は関係性を紐づけていくような群像劇にしました」
【後編】では、メインキャスト4人の普段の関係性と、キャラクター、脚本作りについて、俳優が作品をプロデュースすることについてなどの話を。
「ネットもテレ東」、「TVer」で、第1話を無料配信中!
メインキャストの賀来賢人さん、柄本時生さん、落合モトキさん、岡田将生さんに加え、豪華キャスト発表! 今井隆文さんが映像制作会社「リアルフィクション」のパワハラ社長役で出演するほか、さとうほなみさん、星田英利さん、濱田マリさん、光石研さん、MEGUMIさん、板尾創路さん、忍成修吾さん、浅香航大さん、早乙女太一さんらが登場。詳細は相関図をチェック!
今夜放送のドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(毎週金曜深夜24時12分/7月19日は深夜24時27分放送)第2話は?
第2話
木ノ本大助(賀来賢人)・今井裕樹(柄本時生)・奥田一平(落合モトキ)のこの日の清掃場所は、音楽アプリ会社「fabulous crew」のオフィス。社長の能(浅香航大)は残っているもの全て廃棄していいという。だが見回すと能をはじめ社員たちの仲良さげな写真が。起業当初から子供の頃の写真まであり、本当に廃棄していいのか躊躇してしまう。またほとんどの家具がレンタル品だったが、能はその事実をまったく知らず「なんにもわかってなかったんだな」とショックを受けた様子で…。
能は「fabulous crew」は幼馴染の牧田(橋本淳)、荒川(猪塚健太)と学生時代に起業したと語る。最初は能が借りた青山のマンションがオフィスだったが、開発したアプリがヒット。すぐ軌道に乗り錦糸町へ移転した。だが突然ある事実が発覚し会社をたたむことに――。一体何があったのか?
一方、大助らは“幼馴染3人で起業”という同じ状況の会社のなりゆきに、思わず自分たちを重ねてしまう。
【プロフィール】
柄本時生(えもと・ときお)
1989年10月17日生まれ。東京都出身。2003年、オムニバス映画 Jam Films S「すべり台」(2005年公開)で俳優デビュー。ドラマ「Q10」(日本テレビ系)、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(NHK)、「ひねくれ女のボッチ飯」(テレ東)、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、映画「俺たちに明日はないッス」(2008年公開)など出演作多数。本作「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(テレ東系)がドラマ初プロデュース。
Instagram:@emototokio1989
今井隆文(いまい・たかふみ)
1985年7月27日生まれ。東京都出身。2007年「劇団プレステージ」に入団、リーダーとして、出演のほか、数々の作・演出を手掛けた後、2019年に退団。以降も、ドラマ「アンナチュラル」(TBS系)、「何かおかしい」(テレ東)、舞台「いつぞやは」、映画「アナログ」(2023年公開)のほか、ドラマ「パリピ孔明」「婚活1000本ノック」(ともにフジテレビ系)など、舞台・映像に幅広く出演。2020年にソロプロジェクト「パーマネント」を立ち上げ。また、ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)では 原案に参加している。
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Instagram:@imataka_tenpa
(取材・文/高本亜紀)