サブスクを安全に利用するには?

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【「賢い」サブスクの活用方法・5】5カ月にわたり連載した本企画、今回が最後となります。最終回は、今までのおさらいです。サブスクサービスをより安全に、そしてより便利に使ってもらうために、過去の4回分をまとめました。

●サブスクのメリットとデメリット



 サブスクサービスの種類を大きく二つに分類すると、利用するものを「限定されないタイプ」と「限定されるタイプ」に分けられます。この分け方でのメリットとデメリットは次の通りです。

利用するものを限定されないタイプ

 例を挙げると、「動画見放題」「音楽聴き放題」のサービスです。メリットが「少額で元々の利用量を上回る可能性がある」、デメリットが「利用量が少ない期間も定額で請求が発生する」などです。

利用するものを限定されるタイプ

 例を挙げると、「車」「家具」「家電」のサービスです。メリットが「期間によっては高額な商品を少額で利用できる場合がある」、デメリットが「支払い総額が商品代金を上回る可能性がある」などです。

注意すべきこと

 利用するものを「限定されるタイプ」の場合、サービスによっては長期的にサブスクで利用し続けると結果的に損してしまうことがあります。分かりやすい例として、レンタカーは旅行地などで短期的に使うときに大きなメリットがありますが、数年単位で利用する場合はレンタル料金の支払い総額が、車のローンよりも高くなってしまう場合があるのです。投資する総額を試算した上で、どのサービスを利用するべきか判断しましょう。

●陥りがちな落とし穴と対策



 サブスクサービスは利便性が大変高い一方で、場合によっては落とし穴にもなり得る仕組みがあります。どのようなことが落とし穴になり得るのか意識した上で、対策してみましょう。

お金に関して

 お金に関して、以下の落とし穴があります

・キャンペーンで安い金額が提示されていても割引対象は初月のみの場合がある

・利用料と別に初期費用が発生する場合がある

・解約時に費用が発生する場合がある

・利用料の支払総額が商品の定価を超えてしまう場合がある(利用するものを限定されるタイプの場合)

 その対策が以下です。

・サービスへの投資予定金額の総額を計算してみる

(1)利用料だけでなく解約に必要な費用も含める

(2)利用するものを限定されないタイプの場合は、いったん3〜6カ月間で試算してみる

手続きに関して

 手続に関しては、以下の落とし穴があります。

・解約可能なタイミングが限定されている場合がある

・解約の手続き方法がホームページ上ですぐに見つからない場合がある

・解約の電話窓口がすぐにつながらない場合がある

サポート窓口の反応がない場合がある

 その対策が以下です。

・解約方法を確認しておく

(1)解約方法が明確に記載されているか(不明確な場合はサービス自体を怪しむことも大事)

(2)自分にとって解約方法の難易度が低いか

(3)余裕を持った解約のスケジュールを立てて、タイミングを失念しないようにアラームを設定するなどの工夫をする

●利用規約は必ずチェックしよう!



 また、申込手続きを進める前に必ず利用規約を一読してください。利用規約で最低限確認してほしいポイントは以下の通りです。

利用規約のチェックポイント

・契約に関する内容

(1)サービス提供企業

(2)契約開始のタイミング

(3)サポートの有無

(4)契約者の義務(契約者情報変更時の申請等)

(5)禁止行為

(6)キャンセル可否

(7)プライバシーポリシー

・費用に関する内容

(1)負担する費用の内容(初期費用・利用料金・購入料金・解約違約金など)

(2)費用の発生タイミング

・満了/解約に関する内容

(1)契約満了の有無

(2)契約満了となる場合はその後の手続き

(3)解約が可能なタイミング

(4)解約方法

●最後に



 日本サブスクリプションビジネス振興会の理事として、5回にわたってサブスクサービスの説明をしてきました。ここまで詳細に説明したかった理由は、(1)サブスクサービスは急速に普及していることから契約内容や対象商品、料金体系がさまざま、(2)「サブスク」という言葉のイメージと実際のサービス内容にギャップがある場合もある、(3)ポイントを押さえて上手に使えばとても便利なサービス、の三つがあるからです。

 さまざまなサブスクサービスが存在している今、生活にうまく取り入れて豊かな暮らしに近づけてほしいです。そのために、まずはサブスクサービスについて知ってもらうことが重要だと考え、説明させていただきました。サービスごとの特徴を理解した上で、自身の生活にマッチしたサービスをぜひ取り入れてみてください。日本サブスクリプションビジネス振興会は、ガイドラインの制定をはじめ、サブスクサービスのさらなる健全な発展を今後も目指していきます。(日本サブスクリプションビジネス振興会・町野健)