Image: Trong Nguyen / Shutterstock

実感を科学が証明してくれた瞬間。よき。

緑に囲まれて新鮮な空気を体に取り込むと、身も心もリフレッシュできますよね。都会で高いビルやコンクリートに囲まれた生活を送っていると、ときどき山に行きたくなります。でも、山が近くにないんだよ…という方に朗報です。

都会の緑でメンタル回復

イギリスのバンガー大学自然科学講師のWhitney Fleming氏が筆頭執筆者を務めた研究論文によると、都会で生活している人でも、外出時に意識して緑を見るようにすれば、ウェルビーイングを高められるそうですよ。これまで科学的な根拠なく、なんとなく実践していた行動が科学に認められたような気分。

研究チームは、117人の参加者を樹木などの緑(樹木、茂み、芝生、花)を見るグループ、人工建造物を見るグループ、両方を見る3つのグループに分けて、都市の中に10カ所の立ち止まるポイントを作って実験してもらいました。

Fleming et al. 2025
視線をより長時間フォーカスさせた部分を赤く表示

参加者は視線を追跡できるメガネをかけて、実験ポイントでそれぞれに割り当てられている対象にフォーカスしながら、45分かけて歩きます。研究チームは視線追跡メガネのデータから、参加者がどれくらい対象物を見ていたかを測定し、気分の変化や不安解消レベルを定量化しました。

各グループの参加者に、散歩前後の気分や不安レベル、散歩後の不安解消度などの質問に答えてもらったところ、緑に焦点を当てたグループの参加者は、人工建造物を見たグループよりも気分が著しく回復し、不安も軽減されたそうです。散歩後はよりポジティブで、リフレッシュして若返ったような気持ちになったといいます。

緑の中でも、樹木にフォーカスした人のメンタル回復度がもっとも大きかったそうです。

一方、人工建造物を集中的に見た人は、散歩の前後で気分や不安レベルに顕著な違いは見られなかったとのこと。建築物オタクだったら、場合によっては気分が上がるような気はするけれど…。

短時間でも緑に触れる機会は貴重

Fleming氏は、例え短時間であっても、緑を目にするのはメンタルヘルスに良い影響をもたらす可能性があり、公園や緑地、並木道、池など、住民が立ち止まって緑を見つめられるような都市空間を作れば、都会で生きる人たちのストレスを減らせると指摘します。

開発が進んで人工建造物が建ちならぶ都市部で気温が上昇するヒートアイランド現象も、緑を増やすと気温低下だけでなく、電気代の節約や大気質の改善、温室効果ガス排出量削減にもつながります。

緑が多い場所と少ない場所の格差をなくして、立場の弱い人たちの経済的・身体的ストレスを軽減できるようにすれば、より多くの人がメンタル回復力アップの恩恵を受けられるのではないでしょうか。

ちょっと散歩して緑を見てこようと思ったけど、体感温度が40度もあるのでやめておきます…。

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Fleming et al. 2024 (British Ecological Society) , SciTech Daily, The Conversation, Forbes, EPA