阪神・岡田彰布監督のボヤキにも「根拠はないけど信じてる」 ヒロド歩美がブレイクを願う「甲子園のスター」とは
ヒロド歩美さんインタビュー(全2回)
後編・パリ五輪&阪神タイガースの注目選手
『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)キャスターとしてお馴染みのヒロド歩美さんにインタビュー。後編では、7月26日に開幕するパリ五輪の注目選手や長年のファンである阪神タイガースについて語ってもらった。
パリ五輪や阪神タイガースについて語ったヒロド歩美さん
ーーさて、パリ五輪も近づいてきましたが日本代表選手に取材をして、何か印象深かったことはありましたか。
ヒロド歩美(以下同) 先日、水泳・男子高飛び込みの日本代表である17歳の玉井陸斗選手のインタビューをしたんです。じつは5年前にも取材をしていて当時は12〜13歳。まだ声変りもしていない時で、当時とは全然違うなって。まあ当然なんですけど(笑)。
話していて興味深かったのは、玉井選手が集中しやすい環境というのがあって、ライバル選手たちとハイタッチしたり、英語でコミュニケーションを取りながら称えあうほうがいい成績が出ると話していたんです。
ーースケートボートやスノーボードといった競技ではよく見かける光景ですが、高飛び込みの世界にもあるんですね。
はい。なんかその言葉にグッときたというか、競技の本質を見るのは当然なんですけど、次からはそういうところも注目したいなと思っています。
ーー玉井選手は昨年から調子がよく、パリ五輪ではメダルが期待されていますね。
玉井選手には5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)という大技があって、これまでこの技で大逆転優勝とかしてきたんですけど、玉井選手いわく「5255Bは逆転の武器ではなく、トドメの一撃として使いたい」と話していました。
余裕を持って最後に決めたいって。その言葉を聞いた時、競技者として成長を感じたし、パリ五輪がすごく楽しみになりました。
【トム・ホーバスに悩み相談!?】ーーバスケットボールの取材もけっこうなさっているそうですね。
昨年の『FIBAバスケットボール ワールドカップ2023』をきっかけに取材を多くするようになったのですが、これまで富永啓生選手や河村勇輝選手、比江島慎選手にお話を聞きました。
ーー本当、昨年のW杯は盛り上がりましたね。
W杯で、バスケットボールってこんなに面白いんだって知った方は多かったと思います。だから富永選手や女子の馬瓜エブリン選手も言っていましたが、ここでさらに日本のバスケ界を盛り上げるためにも五輪は頑張らなきゃいけないって。
男女ともにそういったモチベーションを共有していたし、担っているものは大きいと感じたので、新たな視点を持つことができました。私たちメディアも一緒になってバスケ界が発展できるような協力をしていきたいなと思います。
ーーW杯はもちろん、Bリーグでも会場の盛り上がりというか、ブースターの方々の熱量がすごい。
試合中の盛り上がりが甲子園の阪神戦というか、どんどんボルテージが上がっていくんですよね。フリースローの時のブースターのノイズとかにも興奮しましたし、そこもひとつの見どころですよね。
試合はもちろん、会場の雰囲気がライブとして楽しめるので、とにかく一度アリーナに足を運ぶのがオススメですね。
ーー男子ヘッドコーチのトム・ホーバスさんともコミュニケーションを取ったりしているんですか?
はい。トムさんとは取材でお話させてもらうことが多いです。とにかくトムさんはマイナスの言葉を決して吐かない。カメラが止まっている時の雑談で、悩みってほどではないんですけど、私がちょっとネガティブな発言をすると、「大丈夫」っておっしゃってくれるんです。
こうしたらいいんじゃないかってアイディアをくれたり、難しいことを簡単な言葉で説いてくれる感じで、本当にすごい方だなって。そんなトムさんの指揮するチームが、五輪でどんなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみです。
【今季のタイガースは筋肉痛状態】ーーさて、ヒロドさんといえば阪神タイガース。「アレンパ」を目指す今季ですが、厳しい戦いを強いられています。
おかしな表現なんですけど、今は筋肉痛みたいな感じなんだと思います。
ーー筋肉痛?
阪神ファンからしたら昨年は38年ぶりの日本一で、使ったことがない筋肉で喜んでしまったから、まだ筋肉痛治ってないなあ、みたいな感じですかね。だから本調子じゃないなみたいな。
ーー余韻を引きずってしまっている。
だからこれからだぞって。個人的な今季の阪神のポイントといえば、智弁学園(奈良)出身の前川右京選手がスタメンとして起用されていることですね。
前川選手が甲子園に出場したのは新型コロナが流行した翌年なんですけど、いろいろ大変なことがあった元高校球児が今こうやって活躍しているのは、すごくうれしく思っているんです。
ーーたしかに前川選手は若手として存在感を示していますね。ただ全体的に打線が不振で、なかなか波に乗れない状況が続いています。
岡田(彰布)監督は自分でもおっしゃっていますが、もともと心配性なので、今の状況もきっと想定していたと思うんです。そんなうまいこといかへんわって。実際のところはわかりませんが、私から見ると冷静というか、いろいろと考えてらっしゃるんじゃないかなって。
ーー長い目で見て戦っている、と。
先日、オールスターの会見で岡田監督にお会いして、「いやもう全然打たれへんかんらな」ってボヤいていましたけど、本当に焦っていたら、何も言わないと思うので、根拠はないんですけど、ひとりのファンとして信じています。
【ブレイクしてほしい注目の若手選手とは】ーーでは期待している若手選手はいますか?
野手で言うならば、井上広大選手ですね。5月に一軍に一時期にいましたけど、なかなか結果が出すことができませんでした。それこそ私からすれば履正社(大阪)で活躍した甲子園のスターですし、ブレイクしてほしいと思っているひとり。
岡田監督も期待していましたし、ここは前川選手と一緒に活躍して、コンビでチームを盛り上げてもらいたいなって思っています。
ーーピッチャーではどうですか?
いっぱいいますけど、ここは西純矢選手に頑張ってほしいなって。創志学園(岡山)時代から見てきた選手ですし、今は中継ぎですが、いずれは先発でマウンドに立つ姿を見てみたい。
あとはもう岡田監督とチームを信じるしかないですよね。去年もそうでしたが絶対にやってくれるという、ファンとしての根拠のない自信はあるので(笑)。
ーー基本的にファンは応援をして、見守ることしかできませんからね。
はい。日本一を連覇できる資格を持っているのは阪神だけですから、ぜひ実現してもらいたいと思っています。
ーーでは、最後にスポーツキャスターとして、これからパリ五輪と甲子園大会が控えていますが、どんな夏を過ごせたらなと考えていますか?
私のなかで五輪と高校野球が同時に進行するのが東京五輪以来なので、あの時のように日本中の皆さんがスポーツに目を向けて、ガーッとひとつになるきっかけができればなと思っています。
いろいろな事件や悲しい出来事のある昨今、スポーツから勇気をもらえることは多いので、その架け橋になれればなと思って仕事をしてきたいです。スポーツって本当にエネルギーがあるので、イベントが終わるとロス感も大きいですよね。
だからパリ五輪を楽しんだら、そのロスを高校野球で補ってくれたらと思います。『熱闘甲子園』も、よろしくお願いします。
終わり
前編<『熱闘甲子園』ヒロド歩美のマスト質問に宮城大弥が珍回答 高校野球取材9年間の思い出>を読む
【プロフィール】
ヒロド歩美 ひろど・あゆみ
1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!〜トリニクって何の肉!?〜』『芸能人格付けチェック』などに出演。2023年からフリーとなり、現在まで『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。