Alphabetがオンラインマーケティングソフトウェアを開発する「HubSpot」の買収に向けた動きを加速していることが報じられていましたが、この取り組みが一時的に保留されていることが明らかになりました。この報道により、HubSpotの株価は2020年以降で最大の下げ幅を記録しています。

Alphabet Shelves Its Interest in HubSpot (GOOGL, HUBS) - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-07-10/google-parent-alphabet-is-said-to-shelve-its-interest-in-hubspot



Google Stock: HubSpot Falls As Alphabet Walks | Investor's Business Daily

https://www.investors.com/news/technology/googl-stock-hubs-stock-acquisition-talks/

Google parent Alphabet walked away from HubSpot deal weeks ago, source says | Reuters

https://www.reuters.com/technology/google-parent-alphabet-shelves-interest-hubspot-bloomberg-news-reports-2024-07-10/

HubSpot shares plunge 12% on report that Alphabet is shelving interest

https://www.cnbc.com/2024/07/10/hubspot-shares-plunge-16percent-on-report-that-alphabet-is-shelving-interest.html

HubSpotは2000人程度の従業員を抱える企業に対してマーケティングソフトウェアを提供しているという企業で、2014年に株式市場に上場し、2023年には22億ドル(約3600億円)もの収益を上げました。成長を見込んだ投資家により12カ月で株価が約50%も上昇し、2024年4月時点での時価総額は350億ドル(約5兆7000億円)と算出されていました。

そんなHubSpotの買収をAlphabetが検討していると報じられたのが2024年4月のこと。HubSpotの買収が成功すれば、Googleは急成長を遂げる顧客関係管理(CRM)ソフトウェア市場で競合するMicrosoftやAmazonとのギャップを埋めることができると報じられていました。

Googleの親会社Alphabetがマーケティングツール「HubSpot」の買収を検討中、実現すれば過去最大級の買収に - GIGAZINE



しかし、Bloombergが情報筋から得た証言によると、AlphabetはHubSpotの買収計画を一時保留としており、同社にとって最大級の買収案件が2024年に実現しないことが明らかになっています。この報道により、HubSpotの株価は最大で21%も下落し、2020年以降で最大の下げ幅を記録しました。これにより、HubSpotの時価総額は約250億ドル(約4兆円)となっています。

情報筋によると、AlphabetはHubSpotとデューデリジェンスに関する詳細な協議段階にすら至らなかった模様。BloombergはAlphabetとHubSpotの両社にコメントを求めていますが、どちらも返答を控えました。

Bloombergによると、AlphabetによるHubSpotの買収が実現すれば「2024年にテクノロジー業界で起きた買収」の中で最大のものとなる予定でした。なお、記事作成時点での「2024年にテクノロジー業界で起きた買収」の中で最大のものは、2024年1月に発表された半導体EDA最大手のSynopsysによるANSYSの買収です。この買収額は340億ドル(約5兆5000億円)でした。

なお、AlphabetによるHubSpotの買収は独占禁止法規制当局の審査により実現しない可能性もありました。近年のアメリカでは司法省および連邦取引委員会が大規模な買収に積極的に反対の姿勢を示しており、大手テクノロジー企業は買収による成長計画を再考せざるを得なくなっています。