父は元西武・許銘傑 人気の町中華『東東』看板娘・ジェンジェンが明かす「台湾の星」の素顔「LINE返さないと拗ねる」
話題の町中華『東東』(千葉県松戸市)の看板娘"ジェンジェン"さんこと、許維娟(シュウ・ウェイジェン)さんにインタビュー。後編では、ジェンジェンさんの父、西武とオリックスで活躍し、多くのファンに愛された台湾出身の元プロ野球投手の許銘傑(シュウ・ミンチェ)さんの素顔について語ってもらった。
行列の町中華『東東』スタッフの許維娟さん
千葉県松戸市の松飛台駅近くにある『東東』
ーー許銘傑さんは家ではどんなお父さんなんですか?
ジェンジェン(以下同) すごく優しくて、怒っているところを見たことがないです。もちろん私も怒られたことがなくて、なんでも買ってくれました。
今でも台湾に帰った時は「これ食べたい!」って言うと、すぐ買ってきてくれます。お父さんのインスタグラムはほぼ私の写真ですし(笑)。
現在は台湾プロ野球の楽天モンキーズでコーチを務める父の許銘傑さん(左) 写真/ジェンジェンさん提供
ーー溺愛ですね。お父さんの現役時代を覚えてますか?
西武時代(2000〜2011年)は、西武ドームでお父さんが先発する試合はいつも球場へ見に行ってました。関係者用の席で見ることもできたんですが、私は当時の外野芝生席が大好きだったので、そこでジェット風船とかで遊びながら見てました。
ーージェンジェンさんの目にはどんな選手に映っていましたか?
当時は身近にいすぎてよくわからなかったですが、サングラスをかける選手はあまりいないので、カッコよかったですね。
現役時代の許銘傑さんの「父の日」を祝う幼少期のジェンジェンさん 写真/ジェンジェンさん提供
ーーお父さんと似ていると思うところは?
目元が似ていると思います。野球ファンの方にしてみれば、お父さんはサングラスのイメージしかないからわかりづらいと思いますが(笑)。それとお父さんは昔から絶対に諦めない負けず嫌いで、それは私も同じですね。
大忙しの昼営業のあと、休憩中にインタビューに応じてくれた
営業中は手際よく鍋を振っていた
ーー野球の才能や運動神経は?
私はむしろ運動音痴......。小学校時代もプロ野球選手の娘ってだけで運動会のリレーのアンカーをやらされたりしたんですが、「え、遅っ!」って驚かれました(笑)。
ーージェンジェンさんは日本生まれ。小さい頃、家族とは何語でコミュニケーションを?
小さい頃はお父さんが中国語で、私が日本語で話すって感じでしたね。お互い聞き取りはできるので。それと、両親が英語の歌や映画が好きでよく(英語に)触れてたから、英語も少ししゃべれました。
ーージェンジェンさんが11歳の時にお父さんが台湾球界へ移り、それに伴い家族で台湾へ移住しています。その時点でジェンジェンさんは中国語を話せたのですか?
しゃべるのと読み書きはほとんどできませんでした。ただ、通ってた台湾の小学校が中国語と英語の2言語が使える学校だったのと、担任の先生が日本語をめちゃくちゃしゃべれる人だったので助かりました。
でも、台湾へ移住して1年ちょっとで中国語での日常会話はなんとかできるようになりましたよ。
台湾の小学校の卒業式にて 写真/ジェンジェンさん提供
ーー許銘傑投手は日本の野球ファンにはお馴染みですが、台湾ではいかがでしたか?
街で声を掛けられるのは台湾のほうが多いですね。家族でショッピングモールで買いものをしてるだけの姿を『リンゴ日報』という新聞に撮られたこともありました......。
お父さんのファンがはるばる台湾から『東東』に来てくれることもありますよ。先日も、私も知ってる選手時代からの追っかけの女性が来て、「これ見て!」とお父さんの選手時代の写真を見せてきました(笑)。
ジェンジェンさんは幼馴染で『東東』店主の池田穂乃花さんとふたりで店の看板娘だ
池田穂乃花さんとジェンジェンさんが考案したデカ盛りメニューが名物
ーーさすが台湾球界のスター。そして、小学5年生から中学3年生、台湾で暮らしたあと、お父さんがコーチとして西武へ復帰したため、再び日本へ。
行ったり来たりですね(笑)。
台湾帰省時に 写真/ジェンジェンさん提供
ーーコーチ就任の初年と翌年に西武はリーグ優勝をしていますが、クライマックスシリーズではソフトバンクに2年連続で破れて涙をのみました。当時のお父さんの様子は?
「負けちゃった〜」って感じで家族の前では気丈に振る舞ってました。すごく悔しかったはずだけど、家族の前で弱いところを見せたくないタイプなんですよ。
私的には優勝旅行のハワイに行けたのでよかったです(笑)。優勝旅行に行けるからお父さんのいるチームを応援していたところもありますね!
店内には許銘傑のサイン入りユニフォームが飾られている
ーー(笑)。小さい頃はよく西武ドームに行っていたとのことですが、高校時代はどうだったんですか?
一度だけ行きました。お父さんが教えていて、家族ぐるみでお付き合いのあった郭俊麟(カク・シュンリン)さんの登板日でしたね。
ーー現在、ジェンジェンさんは野球への興味は?
まったく見られてないですね。最近、野球アニメの『忘却バッテリー』を見始めたくらいです。けっこうアニメオタクなんですよ。
ーーちなみに、今季の西武は大変苦しいシーズンとなってますが......。
そうなんですか? ごめんなさい、全然知らなかったです。
大学ではスペイン語を勉強していて、通訳の仕事に興味を持っているそう
ーーお父さんと西武とのコーチ契約が3年で終了し、ご両親は台湾へ帰国。ジェンジェンさんのみ日本へ残る選択をしました。
私は一番日本慣れしてるし、純粋に日本が好きだからですね。国籍は台湾ですが、向こうには4〜5年しか住んでいないのでアイデンティティは日本寄りなんです。
お父さんとの思い出を楽しそうに語ってくれた
ーーとはいえ、娘をひとり異国の地へ残していくとなると、お父さんも心配したのでは?
最初の頃は心配だったみたいです。今も私が忙しすぎてLINEを返さないと「無視しないで!」って拗ねられます(笑)。
ーーかわいいですね(笑)。ジェンジェンさんが台湾へ行くことは?
コロナもあって全然帰れてなかったんですが、去年の7月にお父さんが釣り中の足のケガで感染症になって、死にかけたみたいで......。「これは帰らないと」と弾丸で帰りました。今はすっかり治って元気にコーチをやってます。
年末年始に台湾にて 写真/ジェンジェンさん提供
ーー大変でしたね......。台湾在住時代も野球は見に行きましたか?
はい。お父さんの応援に。静かに見る人が多い日本に比べて、台湾は熱気がすごいというか、チアガールがいて音楽をガンガン流してパーティーみたいな感じでしたね。
そして、優勝旅行はバリへ行きました(笑)。お父さんがコーチをやっている間に、また見に行けたらいいなと思っています!
終わり
前編<元プロ野球選手の父・許銘傑も認めたチャーハンが自慢 行列の町中華『東東』のジェンジェンに突撃インタビュー>を読む
【プロフィール】
許維娟 シュウ ウェイジェン
2002年、埼玉県生まれ。幼馴染の池田穂乃花さんが店主を務める『東東』で高校3年生の頃から働いている看板娘。現在、大学4年生。父は元プロ野球選手で、現在は台湾・楽天モンキーズ投手コーチの許銘傑さん。