給油時の「空気圧高くしますか?」なぜ聞かれる? 拒否してもいいの? ガソスタの“定番セリフ”の意図とは
タイヤの空気圧、実は「1か月に1回」の点検が推奨されていた!
ガソリンスタンドで給油をすると、ときどきスタッフから「タイヤの空気圧を高めにしますか?」と尋ねられることがあります。
では、クルマの空気圧はどのように調整するのがベストなのでしょうか。
夏を迎え、今後レジャーや帰省などのため遠方に出かけるという人もいるでしょう。
【画像】タイヤの「赤・黄の●」意味は? アソコにあるマークの画像を見る!(25枚)
旅行を楽しみにしているとつい忘れがちですが、クルマで長距離移動をする場合には故障や事故などのトラブルを想定しておくことが大切です。
JAFのウェブサイトによると2023年度、四輪車におけるロードサービスの出動理由は一般道路で「過放電バッテリー(73万5194件)」が最も多く、次いで「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足(41万4869件)」、「破損/劣化バッテリー(16万9625件)」と続きます。
さらに高速道路においては「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足(2万5432件)」が最も多く、次いで「燃料切れ(6679件)」、「事故(5203件)」という結果でした。
特にタイヤに関するトラブルは多く発生している状況がうかがえます。
ガソリンスタンドにおいては給油とあわせてタイヤの空気圧点検をしてくれるケースもあるため、お出かけの前に確認すると良いでしょう。
ところが、ガソリンスタンドにおける空気圧点検をめぐってはSNS上において「高速道路に乗るなら空気圧をやや高めで、と言われた。メーカーが指定している基準値の意味は?」、「なんでスタッフの人は空気圧を高めにしたがるの?」など疑問の声が複数寄せられています。
声がけする理由について、とあるガソリンスタンドのスタッフは次のように話しています。
「空気圧の声がけは、確認作業として空気圧不足によるタイヤの不具合、事故の防止など安全のために行っています。
また荷物を多く乗せる場合や長距離を高速で走られる場合は、念の為に標準値よりも20kPa(キロパスカル)ほど高くすることを勧める場合がございます。
もちろん基準値で問題ありませんし、定員に勧められても断って頂いても大丈夫です」
では、タイヤの空気圧はどのように調整するのがベストなのでしょうか。
結論から言うと、タイヤは「適正空気圧」に調整することが大切です。
この適正空気圧とは自動車メーカーが車種ごとに指定する車両指定空気圧であり、運転席のドア付近に貼ってあるタイヤ空気圧ラベルや、クルマの取扱説明書などに明記されています。
たとえば2023年1月以降生産のトヨタ「プリウス」の場合、タイヤサイズが「195/60R17 90H」であれば前輪の空気圧が250キロパスカル、後輪が240キロパスカルと決まっています。
もし空気圧が不足していると、タイヤのすり減り具合がかたよる偏摩耗や燃費の低下などを引き起こす可能性があります。
その一方で空気圧が高すぎても偏摩耗やタイヤのバースト、乗り心地の悪化などにつながるおそれがあり、空気圧は過不足なく補充することが重要といえるでしょう。
ただし注意したいのは、タイヤの空気は自然に抜けていくという点です。
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)の調査によると、タイヤの空気圧は1か月で5%程度自然に低下することが分かっています。
つまり定期的に空気を入れないとタイヤは空気圧不足の状態におちいる可能性があるため、月1回程度は確認しておいた方が良いといえるでしょう。
しかしJATMAが2020年2月、ドライバー2000人を対象におこなったタイヤの空気圧点検の実態調査ではドライバーの72.5%が「月に1回以上の空気圧点検が推奨されている」ことを知らなかったうえ、空気圧点検を「月1回以上実施」している人は24.3%にとどまりました。
ガソリンスタンドで高めの空気圧を勧められるのは、時間経過によってタイヤの空気が自然に抜けることや、ドライバー自身がこまめに空気圧点検を実施していない状況などを考慮したものとみられます。
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多くの場合、ガソリンスタンドにはタイヤ用の空気充てん機が設置されているため、スタッフだけでなく、ドライバー自身でも補充が可能です。
また給油の際や旅行に行く前のタイミングで、タイヤの空気圧をはじめガソリン残量、バッテリー液の量などマイカーの点検をおこないましょう。