Googleは2024年5月に、AIモデルのGemini NanoをChromeデスクトップクライアントに直接組み込むことを明らかにしていました。そして2024年6月に公開されたGoogle Chrome 127のベータ版でGemini Nanoが組み込まれていることが確認されたので、実際に使ってみました。





Googleは2024年5月に開催された「Google I/O 2024」において、同社のGeminiシリーズの中で最小の「Gemini Nano」をChromeデスクトップクライアントに直接組み込むことを発表。

これにより、ユーザーはGoogleのサーバーに接続することなく生成AIにアクセスできるようになるほか、翻訳や字幕付け、文字起こしなどの機能もブラウザ上で利用可能になるとされています。

ChromeがGoogleのAI「Gemini Nano」内蔵へ、2024年6月リリースのバージョン126から - GIGAZINE



Googleは当初、2024年6月5日リリースのGoogle Chrome 126にGemini Nanoを搭載する予定でしたが、当該バージョンでの搭載はスキップされていました。その後もGemini NanoのGoogle Chromeへの展開時期は不明な状態が続いていましたが、Google Chrome 127のベータ版にGemini Nanoが搭載されたことが明らかになり話題となっています。

なお、Google Chrome 127のベータ版はすでにデベロッパー向けGoogle ChromeまたはChrome Canaryとしてリリースされており、いずれかをインストールすることでGemini Nanoを使用可能です。Gemini Nanoの使い方は以下の通り。

まず、デベロッパー向けGoogle ChromeまたはChrome Canaryを起動し、以下のリンクにアクセス。

Chrome AI - Vercel AI SDK

https://ai-sdk-chrome-ai.vercel.app/

「Necessary Experimental Flags」の手順に沿って設定を進めていきます。



まずはアドレスバーに「chrome://flags/#prompt-api-for-gemini-nano」と入力してEnterキーを押し、「Prompt API for Gemini Nano」の項目の横にあるタブから「Enabled」を選択して「再起動」をクリック。



続いてアドレスバーに「chrome://flags/#optimization-guide-on-device-model」を入力してEnterキーを押下。黄色く表示されている「Enables optimization guide on device」の項目を「Default」から「Enabled BypassPrefRequirement」に切り替えて「再起動」をクリックします。



次に、アドレスバーに「chrome://components」を入力してEnterキーを押すと、コンポーネント一覧画面が表示されます。全ての項目で「アップデートを確認」をクリックし、コンポーネントを最新の物に更新しておきます。



ブラウザを再起動し、再度以下のリンクにアクセス。

Chrome AI - Vercel AI SDK

https://ai-sdk-chrome-ai.vercel.app/

すると、「Next.js Chrome AI Chatbot」が立ちあがりました。利用するには下部の入力欄にテキストを打ち込み、送信ボタンをクリックします。



質問を入力すると、即座に返答してくれます。



また、「日本語は使えますか?」と尋ねたところ「はい、日本語を話します」との回答を得られました。



Gemini Nanoではコード生成などの複雑な作業も可能です。「Write a hello world program in C(C言語で『hello world』と出力するコードを記述して)」と依頼したのが以下の画像です。



しかし、Gemini Nanoは軽量AIモデルであるため、不正確な回答を出力することが多々あります。このため、「Googleで検索する代わりにAIに質問する」という用途にはまだまだ使えなさそうです。