Microsoftは欧州委員会(EC)による「OfficeとTeamsの抱き合わせ販売は独占禁止法違反」との指摘に直面しており、ECは現地時間2024年6月24日の週にもMicrosoftを独占禁止法違反で告訴するのではないかと報じられています。

Brussels rolls out its newest weapon against Big Tech

https://www.ft.com/content/a3f0c372-a978-44a1-a0f0-948a00ad4eb3



Microsoftのビデオ会議アプリ「Teams」は長らくOfficeとの抱き合わせ販売が行われており、競合他社であるSlackからの指摘を受け、ECは2023年7月からMicrosoftに対して独占禁止法違反の調査を開始していました。

これを受け、Microsoftは2023年8月に欧州経済領域(EAA)およびスイスにおけるOfficeとTeamsの抱き合わせ販売を中止し、2024年4月にはOfficeとTeamsの分離を全世界に拡大しています。

MicrosoftがOfficeの値下げを全世界で展開&Teamsの抱き合わせ販売を中止 - GIGAZINE



しかし、ECの関係者はMicrosoftが実施した措置について、市場の公平性を促進するためには不十分と考えているとのこと。これまでにも、Microsoftが独自のソフトウェアを用いてTeamsを競合他社の製品よりも互換性の高い動作にしていることが懸念されてきたほか、既存のTeamsユーザーが別ソフトウェアに乗り換える際のハードルを高くしていることが指摘されてきました。

ECによるMicrosoftに対する告訴の可能性は2024年5月にも報じられていましたが、海外メディアのFinancial Timesは「ECはついに、2024年6月24日の週にMicrosoftを起訴するでしょう」と報じています。

「Microsoft Teamsは競合他社を弱体化させる懸念がある」としてEUがMicrosoftに対する新たな独占禁止法違反の告発を行う予定 - GIGAZINE



この報道についてMicrosoftは「ECとの関わりを継続し、市場の懸念について耳を傾け、ヨーロッパの顧客と開発者の両方に利益をもたらすような実用的な解決策を模索し続けます」という従来と同様の立場を表明しました。一部の関係者によると、EC側とMicrosoft側で協議が行われ、和解に至ることができれば、Microsoftは多額の罰金の支払いを回避できるだろうとのことです。

また、ECはAppleが導入している「アプリのユーザーが100万人を超える場合、アプリ開発者に1ダウンロードごとに50セント(約80円)を請求する」という規則が反競争的行為に該当するのではないかとの疑いで、Appleを起訴する予定だと報じられています。Apple側がこの裁判で敗訴することになれば、Appleは全世界の年間売上高の最大10%の罰金が科せられます。なお、Appleはこの件に関して、「不正はない」との立場を示しています。