共同記者会見を開いた候補者たち(左から石丸伸二氏、小池百合子氏、蓮舫氏、田母神俊雄氏)

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 東京都知事選挙が6月20日、告示された。小池百合子現都知事(71)、蓮舫参院議員(56)、石丸伸二前広島県安芸高田市長(41)、田母神俊雄元航空幕僚長(75)の4人が出馬していることはよく報じられるが、ほぼ小池氏と蓮舫氏の一騎打ちで、他の候補者は当選の見込みもないというのが大方の予想だ。

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「2020年に行われた前回の都知事選は過去最多の22人が立候補しました。今回はそれをはるかに上回る56人。これに対して都知事選のポスター掲示板は48人分。すでに枠が足りていないですよね。これを逆手に取ったのが立花孝志党首が率いる政治団体『NHKから国民を守る党』。立花さんは候補者を大量擁立して選挙ポスターの掲示板を占有し、党に寄付した人の主張をポスターに掲載するという構想を打ち出しました」(全国紙政治部記者、以下同)

選挙はコスパの良い「CM」

 N党のウェブサイトなどによると、5月末日までは1か所5000円、6月1日〜19日までは1万円、20日以降は3万円をN党に寄付すれば、都内約1万4000か所にあるポスター掲示板のうち1か所で、独自に作成したポスターを最大24枚張れるという。こうした事態に、都は候補者にポスターを張るクリアファイルを配るという手段に。選挙をめぐる“商売”の是非はともかく、候補者はそもそも出馬する際に供託金が必要となる。東京都知事選は300万円で、他の選挙と比べても高額だ。一定の得票数を得ないとそのまま没収となり、国や都道府県に納められる。だが、小池氏や蓮舫氏など有力な候補者以外にも、「300万円を払ってまで出馬するうまみがある」と言うのは、ジャーナリストの渋井哲也さん。

「出馬を表明し結局、辞退したへずまりゅう氏などは、ネットで寄付などを募集すればすぐに百万円単位は集まる人なんです。さらに、選挙に出て存在感を示すことで自分の支持者を引き寄せることができる。他の候補者も同じで、都知事選という目立つ場所は格好の宣伝になり、目をかけてくれる有力支持者ができたりする。300万円は宣伝効果としては高い金額ではない」

 つまり、選挙は目立てば目立つほどにコスパの良い「CM」だという。

「本当に都知事になりたい人はせいぜい5人くらいなもので、石丸さんは次の衆院選狙いでしょうね。今回で名前を売って、国政に出るという流れだと思います。どこの党が石丸さんの公約を支援するのかある種の指標になる。さらに石丸さんにはドトールコーヒー創業者が支援を表明するなど、強力なスポンサーもつきました」(渋井さん、以下同)

 自身を売るための立候補だといっても、目的はそれぞれ違う。

「ひと口に売名といっても、一般に向けてのもの、政界に向けてのもの、金銭的な支援者に向けてのもの、それぞれなんです。ドクター・中松さんは今年96歳なので最後の奉公のつもりでしょうね。選挙を面白くする、という役割のために出馬をする人もいるし『選挙を面白くしてくれたから』という理由で寄付するお金持ちも結構いるんです」

 いちばん大事な公約も見えてこず、自分のスポンサー探しに選挙を使うとは。都民の怒りは票数にどう反映されるのだろうか。