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特定の外国企業が管理するアプリのアメリカでの利用を制限する「外国敵対勢力が管理するアプリからアメリカ人を保護する法(PAFACA)」が2024年4月24日に成立しました。これを受けて、動画共有サービスのTikTokを運営する中国企業のByteDanceは「PAFACAがアメリカの憲法に違反している」と裁判所に訴えており、施行差し止めを要求する冒頭陳述書を提出しました。

TikTok Files Opening Brief on Unconstitutional Ban | TikTok Newsroom

https://newsroom.tiktok.com/en-us/tiktok-federal-opening-brief-filing-on-ban-june-2024



2024.06.20 - TT v. Garland - [2060743] Brief of Petitioners TikTok Inc and ByteDance Ltd.pdf

(PDFファイル)https://sf16-va.tiktokcdn.com/obj/eden-va2/hkluhazhjeh7jr/2024.06.20%20-%20TT%20v.%20Garland%20-%20%5B2060743%5D%20Brief%20of%20Petitioners%20TikTok%20Inc%20and%20ByteDance%20Ltd.pdf



TikTok says US ban is inevitable without a court order blocking law | Reuters

https://www.reuters.com/legal/tiktok-says-us-ban-is-inevitable-without-court-order-blocking-law-2024-06-20/

PAFACAは敵対国に本社や主な事業所を有する企業の運営するアプリや、敵対国の外国人が直接的あるいは間接的に所有する企業の運営するアプリの提供・運営・更新を禁じる法律です。条文には具体的にTikTokとByteDanceが明示されており、実質的には「TikTok禁止法」と言えます。

PAFACAの法案は2024年3月に超党派の連邦下院議員らによって提出され、2024年3月21日に法案は全会一致で下院を通過しています。

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そして、2024年4月23日に連邦議会上院が賛成多数で法案を可決。PAFACAは、翌24日にジョー・バイデン大統領が署名したことで成立し、2025年1月19日から施行されます。

これに対して、TikTokとその親会社であるByteDanceは、「PAFACAは言論の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反する」と主張し、法案に対する異議申し立てを行いました。

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ByteDanceはコロンビア特別区巡回控訴裁判所に提出した冒頭陳述書の中で、TikTokが独自の表現プラットフォームであり、すでに1億7000万人以上のアメリカ人ユーザーがいることを強調。さらに、PAFACAは成立からして差別的な意見に基づいており、より厳格な審査を行うべきだとしています。

加えて、ByteDanceは、PAFACAが違憲な権利剥奪法であり、適正な補償なしに財産を奪う「違憲な収用」に当たると主張。TikTokのアメリカ事業を分離せよという法律の要求は技術的、商業的、法的に不可能だと訴えています。



by Anthony Quintano

また、ByteDanceは、裁判所に対しPAFACAの施行差し止めを求めると同時に、「国家安全保障上の懸念に対処するためのより制限の少ない代替案がある」と主張し、政府との間で交渉してきた合意案を検討するように指摘しています。

ByteDanceは政府に提出した代替案として、「TikTok U.S. Data Securityという新しい組織を設立し、アメリカ政府の承認を受けたメンバーで構成される特別な委員会の監督下に置く」「すでに20億ドル(約3200億円)を投入している安全対策を自主的に実施する」「アメリカユーザーのデータをOracleのクラウド環境に保存するなど、信頼できる第三者の関与」「第三者によるTikTokのコンテンツモデレーション、ソースコードの監視」「個人情報保護や情報開示などについて業界全体での規制」などを挙げています。

さらに、The Washington Postによれば、ByteDanceは「連邦政府当局がTikTokを改めて脅威であると感じた場合、アメリカ国内でのTikTokのアプリやサービスを一斉にシャットダウンできる『キルスイッチ』を委ねる」という提案をしていたとのこと。この提案はソーシャルメディアの運営企業としては考えられないほど大きな譲歩でしたが、アメリカ政府はこの合意案を無視したとThe Washington Postは報じています。

なお、ロイターによれば、バイデン大統領は2024年11月に行われる大統領選に向けて、TikTokの利用を継続する方針をとっているそうです。