赤ちゃんは何も知らないところからどのように言語を習得しているのか?
レディング大学の先史時代学者であるスティーブン・ミセン氏が、「どのように赤ちゃんは言語を習得しているのか」を解説しています。
How Babies and Young Children Learn to Understand Language < Literary Hub
https://lithub.com/how-babies-and-young-children-learn-to-understand-language/
言葉を話す時、人間は多数の単語を流れるように言葉を句切ることなく発言します。音だけでは単語と単語の切れ目はわかりませんが、それでも同じ言語を話す人々はそれぞれの単語を聞き分け、文の構成要素を自動的に解析して理解できます。
人間は自分が慣れ親しんだ言語について「どのようにアクセントが置かれるのか」「フレーズ間でどのように休止を挟むのか」などの韻律を知らない間に記憶しており、意識せずに使用しています。一方、全く知らない言語の音声を聞いた場合には、言葉の意味どころか単語の切れ目を特定することすら不可能になるわけです。
赤ちゃんは親が話す言語を全く知らないままこの世に生まれてくるわけですが、子宮の中にいる間にも外部の音声を聞いており、脳は事前に誕生後の言語処理に備えて活動しています。言語のリズムは言語ごとに異なりますが、たとえ生後3日しかたっていない赤ちゃんであっても親の言語のリズムを好みます。
生後すぐの赤ちゃんはリズムを感じていても、言語に関する具体的な知識は何も持っていません。しかし親がどの言語を話している場合でも、子どもは1歳程度で最初の言葉を話し、2歳程度になれば母国語の単語を正しい順序でつなげて簡単な文を作れるようになります。正式な教育を受けずとも、4歳になるころには子どもは1000語以上を習得しており、意味のある言葉を生み出すために単語を組み合わせるルールや発話のトーンを変えて意味を柔軟に表現する方法を理解しています。
こうした赤ちゃんの言語習得方法は言語研究の分野において研究対象となってきました。ジェニー・サフラン、リチャード・アスリン、エリッサ・ニューポートの3人は赤ちゃんの言語習得のうち、どのように単語と単語の切れ目を見つけるのかについての研究を行い、1996年に結果を論文にまとめてサイエンス誌に投稿しました。論文によると、赤ちゃんは音節間の遷移確率を使用して音節と音節が「同じ単語」なのか「違う単語」なのかを見分けているとのこと。
例えば英語で「pretty baby」という2単語は、合計で「pre-ty-ba-by」という4つの音節で構成されています。赤ちゃんは「pre」の後に「ty」が続く確率や「ba」の後に「by」が続く確率が高い一方、「ty」の後には「ba」という音節が続く確率は低いことを認識し、「pretty」と「baby」という2つの単語を適切に理解できるというわけです。