梅雨入りした関東では街中で咲いたあじさいに雨粒が付いた=2024年6月21日午前10時36分、東京都港区、大山稜撮影

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 「関東甲信地方は6月21日ごろに梅雨入りしたとみられます」。

 21日に気象庁から発表された梅雨入りを告げる一文だ。ただ、文言をよく見ると、「ごろ」「みられます」など自信がなさそうな言葉が並んでいる。事情を探ると、悩ましい理由があるようだ。

過去の梅雨入り・梅雨明けの発表

 気象庁は、梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義し、梅雨の「入り」「明け」についても平均5日程度の移り変わりの期間があるとする。季節が移ろうように、徐々に現れる梅雨を「この日から」と決めるのは難しいケースが多いのだという。

 そうした事情から、それまでの天気の経過や1〜2週間先の見通しをもとに、気象庁や各地の気象台は「移り変わりの期間の中日」を指定し、「○日ごろ」と発表している。

 予報の要素が含まれていることから、梅雨入り発表の数日後に「まだ梅雨ではなかった」となるケースもある。そのため速報値として、「梅雨入りしたとみられる」という言いぶりになるのだという。

 気象庁は毎年9月に梅雨の状況を振り返り、「入り」と「明け」の日付の確定値を出している。2022年は異例の大幅見直しが起きた。関東甲信地方や東海地方で「6月28日ごろ」に梅雨明けが宣言され、「統計開始以降、最も短い梅雨」とも報道された。しかし、その後に雨の日が続き、梅雨明けの確定値が「7月23日ごろ」とおよそ1カ月も遅く修正され、最短記録は幻となった。