南シナ海のアユンギン礁付近で、船上で刃物を振りかざす中国海警局の隊員(中央奥)。比軍撮影の動画より(2024年6月17日撮影、19日公開)。(c)AFP PHOTO / ARMED FORCES OF THE PHILIPPINES - PUBLIC AFFAIRS OFFICE

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【AFP=時事】フィリピンが実効支配する南シナ海(South China Sea)のアユンギン礁(セカンド・トーマス礁、Second Thomas Shoal)付近で17日に同国海軍の船舶に中国船が衝突した際、中国海警局の隊員がナイフやおのなどを振り回していたことが、フィリピン側が19日夜に公開した動画で明らかになった。

 フィリピン軍によると、中国海警局はこの衝突の際、銃を含むフィリピン軍の装備を奪取したり破壊したりした。またフィリピン側の乗組員1人が、親指を切断する重傷を負った。

 フィリピン軍のロメオ・ブラウナー(Romeo Brawner)参謀総長は、同国側は「数で劣る」上に丸腰だったが、「素手」で応戦したと述べた。

 フィリピン軍が公開した動画には、サイレンが鳴り響く中、甲板に立つ中国人船員がおのを振り回す姿がはっきりと映っていた。

 また別の動画では、小型ボートに乗った中国海警局の隊員が棒でゴムボートをたたいたり、別の隊員がゴムボートにナイフを突き刺す場面も映っていた。

 タガログ語で、誰かが「指をやられた」と話す声が聞こえる場面もあった。

 フィリピン軍は兵士1人が、おのを振り回していた中国人船員から「けがをさせると脅された」としている。他の中国人船員からも「危害を加えるという明確な脅し」があり、その後、「中国海警局の隊員が、わが方に向かって石や物を投げ始めた」と説明している。

 動画内で茶色の迷彩服にヘルメットとベストを着用したフィリピン人船員は、武器は所持していなかった。

 対照的に、中国国営メディアが19日に公開した写真には、中国側が武器を振り回す場面は映っていなかった。

 20日、フィリピン側の動画について質問された中国外務省の林剣(Lin Jian)報道官は、「黒と白を混同した、まったくでたらめな非難だ」と反発した。

 フィリピン側は、中国側の行動は「海賊行為」だと非難。さらに銃7丁を含む、中国側が「略奪」した物品の返還と、損傷した装備の損害賠償も求めている。

【翻訳編集】AFPBB News

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