アル・ターマリは貴重な海外組だ photo/Getty Images

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アジアカップ準優勝の実力は、やはり本物なのだろうか。

今年1月にカタールで開催されたアジアカップで大きな注目を集めたのは、ヨルダン代表だ。大会前の注目度は高くなかったが、ヨルダンは準決勝で韓国まで撃破してファイナルへ進出。決勝では惜しくもカタールに敗れたが、ヨルダンの戦いは非常に印象的だった。

その流れは今月まで開催されていた2026ワールドカップ・アジア2次予選でも続いている。この2次予選でグループGに入っていたヨルダンは、最終節でロベルト・マンチーニ率いるサウジアラビアをアウェイで2-1と撃破。勝ち点13を稼ぎ、サウジアラビアを抑えて首位通過を決めたのだ。

この一戦ではサウジアラビアが72%のポゼッション率を記録していたが、ヨルダンはアジアカップと同じく少ないチャンスを活かす戦いで強豪サウジアラビアの撃破に成功。ワールドカップ最終予選へ駒を進めることになり(サウジアラビアも2位で通過)、本大会初出場の夢にまた一歩近づいた。

スペイン『SPORT』もこの勢いに驚いており、チームではアジアカップでも活躍した25歳のFWヤザン・アル・ナイマト、貴重な海外組であるモンペリエFWムサ・アル・ターマリらが今も躍動している。

チームのフィジカルトレーナーを務めるカリム・マルーシュ氏は、今のヨルダンをEURO2004を制したギリシャ代表と重ねている。当時のEURO2004をギリシャが制すると予想する者はほとんどいなかったが、ギリシャは粘り強い戦いで欧州の頂点に立った。代表メジャートーナメントの歴史でもサプライズの代表例に挙げられるチームだ。確かにアジアカップにおけるヨルダンの躍進には、それと近い空気感があったかもしれない。

「アジアカップやワールドカップといった代表の短期決戦においては、チームの伝統や資金力に関係なく、常にサプライズがあるものだ。2004年にギリシャがEUROを制したようにね。今年のアジアカップでは我々ヨルダンだ。決勝のカタール戦も相手に3つのPKが与えられていなければ、我々がチャンピオンになっていたかもしれないよ」

サウジアラビアも2位で2次予選通過を決めたとはいえ、ホームで負けたのは後味が悪い。もはやヨルダンは単なるサプライズチームではなく、アジアの全てのチームを撃破するだけの力を備えた強敵と評価すべきだろう。最終予選でも注目のチームとなりそうで、ワールドカップ出場も視界に入ってきたか。