井上尚弥の次戦は錯そう? “渋る”グッドマン陣営に代わってドヘニーが意気込み「俺は他の賃金泥棒とは違う」

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井上はチャレンジする相手は誰になるのか? その行方が錯そうしている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 次に“怪物”と対峙する男は誰になるのか――。

 ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が9月に予定している次戦の行方が錯そうしている。

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 去る5月6日に東京ドームで行われた世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)との一戦を制した直後、井上の次戦相手として最有力だったのは、IBFとWBOの同級1位に立つサム・グッドマン(オーストラリア)だった。

 実際、井上は試合直後にグッドマンをリングに迎え入れて、「次戦は9月ごろ、隣にいるグッドマン選手と防衛戦をしたい」と明言。これに25歳の豪戦士も「俺はもう1年以上もチャンピオンが戦うことを義務づけられている挑戦者なんだ。あんたはベルトを返上するか、俺と戦うかだ」と自信たっぷりに呼応。この時点で両陣営が水面下での交渉を具体的に進めているのは明白。合意も時間の問題と見られていた。

 しかし、今年3月に試合を終えていたグッドマン陣営は7月に豪州での調整試合が決定済み。9月開催を求める井上陣営との相手に小さくない溝が生じ、交渉は難航しているという。

 そうした状況下で9月の対戦候補として急浮上しているのが、元IBF世界同級王者で、WBOアジアパシフィック同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)だ。

 キャリア通算26勝(20KO)4敗で、ここ3試合は連続で大橋ジム興行に出場をしている37歳は、6日の東京ドーム興行ではネリ(メキシコ)にトラブルがあった際には「代役」としてメイン出場する条件で、ブリル・バヨゴス(フィリピン)との試合にも臨んでいた。

 大橋ジムとの関係も深めるドヘニー。本人も文字通り桁違いの収入が見込める井上との対戦を嫌ってはいない。地元アイルランドのボクシング専門サイト『Irish Boxing』の取材に応じたベテランは、「俺たち(自身と井上)は、この部門(Sバンタム級)に残っている、最もエキサイティングなスタイルを持つ、最もハードなパンチャーだ。それは戦争になる」と強調。さらに合意を渋るグッドマンの動きをくさすように、こう続けている。

「俺は他の賃金泥棒とは違って、怯えながら戦う姿を見せるつもりはない。あの夜(6日の東京ドーム興行)は、リングに上がる相手が誰であろうと、俺は自分の仕事をする準備を万全にして臨んだ。それだけだった。イノウエは今までにないくらいにレベル高いファイターだから、俺をもっと引き出してくれただろう」

 もっとも、グッドマン陣営が急転直下で、井上側が望む9月開催を受け入れる可能性もゼロではない。ゆえに対戦が決まったわけではないが、「大和魂でいく」とも口語するアイルランドの勇敢な強打者の存在は、どこか頼もしさすら漂っている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]