鹿沼市の名産「サツキ」を世界へ 植物を使って町おこし 若手経営者が挑戦
盆栽に仕立て、美しい花を楽しむことができるサツキの全国有数の産地、鹿沼市で植物を使って町おこしをしようと奮闘する若者がいます。この男性は、自分が生まれ育ったふるさとを植物を求めて世界中から人が訪れる場所にしたいという夢を持って、日々奔走しています。
この時季、美しい花を咲かせる鹿沼市の名産のサツキ。このサツキだけでなく、若い世代に人気のサボテンや多肉植物などさまざまな植物を使って町おこしに取り組みます。
鹿沼市茂呂にあるサツキ盆栽店、楽樹園では今週末から始まる市内最大規模のサツキの展示イベント「鹿沼さつき祭り」に向けて準備に追われていました。福田洋一さん３１歳です。福田さんは、千葉大学の園芸学部を卒業後、父親の稔さんの店を手伝うため、８年ほど前にＵターンしてきました。サツキを栽培する傍ら、多肉植物とサボテンなどの専門店を経営しています。
１９６５年頃にサツキがブームになった際は、市内に２００軒ほどの店舗がありましたが、今では、５０歳代でも若手と言われるほど後継者不足が深刻で店の数は１０分の１ほどにまで減ってしまいました。さらに愛好者の高齢化も顕著だといいます。
一方でサツキは近年、海外で非常に人気が高く、福田さんは販路拡大を目指して、アメリカで現地のバイヤーなどに直接、売り込みをしています。また、地元の鹿沼南高校で造園を専攻する生徒たちにサツキの栽培方法を教えています。
サツキは、１本の木から違う色の花を咲かせ、盆栽では数少ない花を楽しめる植物です。福田さんは、サツキに限らず植物には人を呼ぶ魅力があると考えています。こうした植物の魅力を世代を問わず多くの人に知ってもらおうと自らが音頭を取ってイベントを開催してきたほか市内の若手生産者でつくるグループの１０店舗を載せたマップを手作りしました。
さらに、照明の当て方など見せる方法を変えるだけで違った表情を見せる植物の新しい楽しみ方を提案したいと６月１日に、愛好家や業界の仲間から作品を募って展示するイベントを初めて開催します。イベントでは植物を植える陶器を販売する業者や高校生らによるサツキのワークショップなども予定していて、福田さんは、世界に誇る地元の名産を発信するきっかけにしたいと意気込んでいます。
