Photo by THE RIVER

写真拡大

OpenAIの会話型AI「ChatGPT」から新たにリリースされた最新のAI「GPT-4o」について、搭載された音声モデルの「Sky」が自身の声に酷似しているとして、俳優のスカーレット・ヨハンソンが抗議文を発表した。

GPT-4oは、リアルタイムで自然な音声会話が可能となるAIモデル。まるで本物の人間のようにスムーズな会話ができるとして、デモ映像が公開されると話題となっていた。

ところが、GPT-4oに搭載された音声モデルの一つである「Sky」が、『アベンジャーズ』ブラック・ウィドウ役ほか、映画『her/世界でひとつの彼女』(2014)でサマンサと呼ばれるAIの音声役も務めているスカーレット・ヨハンソンの声に似ているとの指摘が相次いだ。

これを受けOpenAI社は内で、「Skyの声はスカーレット・ヨハンソンの模倣ではなく、別のプロの女優によるもので、彼女の自然な会話音声を使用しています。プライバシー保護のため、声優陣の名前を明かすことはできません」と釈明していた。

対してヨハンソンは声明を発表。実は2023年9月にOpenAI創業者サム・アルトマンより音声使用のオファーを受けており、これを辞退していたにも関わらず酷似した音声モデルが公開されてしまったことに遺憾の意を表明している。『her/世界でひとつの彼女』を仄めかすように、アルトマンが発表時に“her"と一言だけXに投稿したことも確信犯的だとも指摘するヨハンソンは、現在法的手段を見据えて顧問弁護士と共にOpenAIに対する情報共有を求めているということだ。なお、OpenAIはSkyの音声モデルをすでに削除している。

ヨハンソンからの声明全文の拙訳は以下の通り。

「昨年9月、私はサム・アルトマンから現在のChatGPT 4.0システムの声として私を起用したいと連絡を受けました。彼は、私がシステムの声を務めれば、私がテック企業とクリエイティブの橋渡し役になって、人間とAIにおける激変の中でも消費者が安心できるようになると思いますと言いました。彼は、私の声が人々の心を和ませるだろうと言いました。

十分な熟考の末、個人的な理由から、私はこの申し出を辞退しました。9ヶ月後、私の友人や家族、そして一般の皆さんが、“Sky”と名付けられた最新システムが、私の声のように聞こえると指摘しました。

公開されたデモを聞いた時、私はショックを受け、怒り、アルトマン氏が私の声に不気味なほど似ている音声を追求したことに不信感を覚えました。私の親友やニュース媒体でも違いを聞き分けられないような音声です。さらにアルトマン氏はこの類似性が意図的なものであることを、“her”と一言だけツイートして仄めかしています。私がサマンサという、人間と親密な関係を築くチャットシステムの音声を務めた映画の引用です。

ChatGPT 4.0のデモがリリースされる二日前、アルトマン氏は私のエージェントに連絡をしており、私に再考を持ちかけました。我々が折り返すより先に、このシステムは公開されてしまったのです。

こうした行動の結果として、私は顧問弁護士を雇わざるを得なくなりました。彼らはアルトマン氏とOpenAIに2通の手紙を書き、彼らが何をしたのかを明らかにすること、Skyの声を作成した正確なプロセスを明らかにすることを求めました。その結果、OpenAIは渋々ながらSkyの声を取り下げることに同意しました。

私たちの誰もがディープフェイクと戦う今の時代、私たちの似姿、作品、アイデンティティを守るため、これらは絶対的に明確にすべき問題であると私は信じています。透明性ある形での解決と、個人の権利が確実に守られるよう、適切な法の成立に期待しています。」

ヨハンソンは、過去にもAIに対する対応を余儀なくされたことがある。2023年には、自身の姿がAI画像生成アプリ「Lisa AI」の広告に無断使用されたことで法的措置を。さらに遡ると、2016年には香港在住の男性がヨハンソンそっくりのヒューマノイドをして話題になったこともある。

ヨハンソンをはじめとする俳優たちは、一般的に、テック企業やAI技術による知的財産権の侵害を警戒しており、創造物には適切な保護が必要だと考えている。2023年に起こったハリウッドのWストライキでは、AIの利用制限が大きな争点のひとつとなっていた。

Source:,

The post first appeared on .