「スーパーマラドーナ」武智さんがTHE SECOND2024を予想!

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結成16年目以上の芸人がタイマンで戦う賞レース「THE SECOND〜漫才トーナメント〜2024」のグランプリファイナルが5月18日(土)に開催され、フジテレビ系で同日19時から生放送される。

M-1やキングオブコントでは審査員はプロの芸人だが、THE SECONDでは番組側が選出した100人の一般の観客が審査を務めるのが特徴で、昨年の第1回はギャロップの優勝に加え、マジンガンズの準優勝も大きな話題を呼んだ。

より注目度が高まる今大会の勝者となるのは果たしてどのコンビなのか。YouTubeチャンネル「スーパーマラドーナ劇場」で、連日THE SECONDについての動画をアップしている「スーパーマラドーナ」武智さんに対戦予想、さらにM-1との違いについて聞いた。

【画像】8組の決勝メンバーたち

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■THE SECONDとM-1が違う理由

――武智さんはTHE SECONDにどんなイメージを持たれていますか。

M-1を卒業し、優勝できなかった人たちにとって新しい目標になる素晴らしい大会だなと思っています。まだまだ今回で2回目なので、M-1やキングオブコントのような価値、仕事の増え方にはなっていないですけど、やっていく中で参加していくコンビが増えるので、10年後にはえげつない大会になってるんじゃないかと。

――THE SECONDとM-1の違いはどこにありますか。

M-1はプロの審査員を笑かす大会で、THE SECONDはお笑いファンを笑かす大会ですね。M-1用のネタって松本人志さん、中川家の礼二さんとかプロ中のプロを唸らせるネタで、深く、新しいことをしないとあの人たちは高得点を入れてくれないんですよ。逆に研ぎ澄まされたネタな分、寄席ではウケないんです。

でもTHE SECONDは、賞レースと寄席の両方でウケるネタが強い。普段やっていることで、お客さんが大喜びするネタを持っていけば高得点が出る。僕らは去年、今年とTHE SECONDであんまり結果が伴ってないんですが、大体こういう大会だなという傾向は見えてきたかなと思います。

――8組の決勝メンバーを見ての印象はどうですか。

全部の配信を見さしてもらったんですけど、ほぼほぼ実力を示した人たちが上がってきたなっていう印象です。

ただ囲碁将棋はむっちゃおもろいネタやっていて、勝ってたよなとは思うんですけど負けて。去年決勝に出ておいしい思いしたやんってハンディなのかなって思いました。マシンガンズさんも点差がついて負けていたので。

審査員がお客さんなので、どうしても報われていない人に頑張ってほしいという気持ちが出てくるんですよ。なのでTHE SECONDは同じくらいの面白さであれば、おそらく僕は売れてない方が勝つと思います。そこは独特ですね。

〈第1試合〉ハンジロウVS金属バット


ハンジロウ(結成22年目・マセキ芸能社) たーにー(左)しゅうごパーク(右)©フジテレビ


金属バット(結成18年目・吉本興業)※2023年グランプリファイナル進出 小林圭輔(左)友保隼平(右) ©フジテレビ

――では勝敗予想をお願いしたいのですが、まず第1試合はハンジロウVS金属バットです。

これはめちゃくちゃ面白い対決です。正統派の超上位と亜流の超上位の対決。これがTHE SECONDですよね。

ハンジロウはめちゃくちゃ漫才うまいし正統派で、8組の中でも一番トップバッターにふさわしいんじゃないかなって僕は思います。ツッコミのしゅうごパークさんがめちゃくちゃうまいっすね。なんか無理してない。下手に見えへんし、かといってうますぎも見えない。たぶんわざとやってるんやろうなって。

手数のハンジロウと、トリッキーさの金属バットの対決になるかなと思います。金属バットは後攻ですが、気ぃ抜いたネタを持っていったら多分ハンジロウに負ける。逆にハンジロウは金属バット相手なんで絶対なめてこないで一番いいネタやってくると思っていて。金属バットもらしい、ブラックな部分もありつつ時に時事ネタを出してうまいことやっているなと思いながらノックアウトステージを見てました。

勝敗、難しいなあ。うーん、ムチャクチャ僅差で金属バットですね。ハンジロウは全体のトップバッターなんで、お客さんもまだ緊張してると思うんですよ。なので何人かのお客さんは様子見の点数を入れちゃうんじゃないかなと思います。

〈第2試合〉ラフ次元VSガクテンソク


ラフ次元(結成19年目・吉本興業) 梅村賢太郎(左)空 道太郎(右)©フジテレビ


ガクテンソク(結成19年目・吉本興業) よじょう(左)奥田修二(右)©フジテレビ

――第2試合はラフ次元VSガクテンソクです。

ガクテンソクは予選のノックアウトステージで一番高い293点(300満点)という点数を出して、下馬評では一番強いと言われてます。かといって、ラフ次元も今年の勝負ネタだけじゃなくて、去年THE SECOND用に用意していて出せなかった勝負ネタがあるので選択肢が多い。第1試合のハンジロウと金属バットの様子を見て、どのネタにするか決めるんじゃないかなと思いますね。それぐらいの余裕あるコンビです。

――ガクテンソクは昨年4月に東京へ進出しました。大阪時代との変化を感じますか?

大阪時代のガクテンソクはもっと奥田が主張的だったんです、「俺のツッコミで笑え」っていう感じで。でも東京に行って、ボケのよじょうにもフューチャーさせるようになって、バランスがよくなった。今のガクテンソクはボケで笑いを取って、ツッコミでも取るので、他のコンビの倍の数の笑いを取るようになってます。

あとガクテンソクって、これまでのいろんなネタから良い部分を抽出してきて1本のネタにできる。テンダラーさんも似た感じなんですが、テンダラーさんの場合って一つのくだりが終わったら、また振り直して違うネタとなるんですけど、ガクテンソクって繋ぎ目なく流れるように違うネタを持ってくる。だからあんな爆発的な手数が出せるんだろうなって思いますね。いろんなネタを繋ぎ合わせてるので、終わった後に何のネタやったって言えないんすよ。でもこれって実はTHE SECONDとしてはいいことなんです。

――何のネタか分からないのはいいことなんですか?

M-1はミルクボーイだったらコーンフレーク、マヂカルラブリーやったら吊り革とかネタにタイトルがつかないと審査員が「何のネタかわからんかった」と高得点を入れてくれないんです。でもTHE SECONDのお客さんはそういうプロ目線は少ないから、いろんなネタの面白い部分をごちゃまぜにして、終わった後「何のネタやったかわからんかった。でも、面白かった」でいいんです。それでも高得点が入るって今回立証されたんで。

だからガクテンソクは強いと思います。今までやってきたネタで6分のベスト盤ネタを3本作ればいいので。それで半端ない手数が出せるっていうところで、ガクテンソクはTHE SECONDの理想型です。逆に一撃で溜めて溜めてドーンというコンビは去年出たスリムクラブとか、お客さんにはあんまり好まれない。ラフ次元もめちゃくちゃ頑張ると思いますけど、予想しろって言われたらガクテンソク。優勝候補の筆頭です。

〈第3試合〉ななまがりVSタモンズ


ななまがり(結成16年目・吉本興業) 森下直人(左)初瀬悠太(右)©フジテレビ


タモンズ(結成19年目・吉本興業) 大波康平(左)安部浩章(右)©フジテレビ

――第3試合はななまがりとタモンズです。

正統派のタモンズとトリッキーなななまがりの対決で、以前やったらもう勝負になることもなくタモンズだったと思うんです。

でも今回はななまがりの笑いがお客さんに受け容れられまくっている。去年のM-1敗者復活戦で大いに受けて、お客さんの大部分がななまがりの見方がわかったと思うんです。その見方がわかったもんやから嬉しくていつもより笑うんですよ。マシマシで笑ってる。単独のチケットの売れ行きもめっちゃ伸びたらしいですし、今来てるんですよね。まだ売れ切ってもないじゃないですか。だから今一番応援しがいがあるんじゃないですか。

一方、タモンズは着実に正統派漫才としての実力を伸ばしてきて、崩すのがなかなか大変なコンビだなと思います。平均85点以上の高いレベルで点を取ってくる。

ただ今のななまがりはブーストがかかっているので、予選のように決勝のお客さんと肌が合えば、ななまがりに勝機があるなと思ってます。逆に合わなければななまがりは負けると思います。

最後に言うとななまがりは今年優勝しないと大変。あの独特なボケにお客さんが慣れたら結構きついなと思うんで。慣れられない新鮮なうちに優勝しないとなと思います。

〈第4試合〉タイムマシーン3号VSザ・パンチ


タイムマシーン3号(結成25年目・太田プロダクション) 山本浩司(左)関 太(右)©フジテレビ


ザ・パンチ(結成27年目・吉本興業) パンチ浜崎(左)ノーパンチ松尾(右)©フジテレビ

――第4試合はタイムマシーン3号とザ・パンチです。

これは難しい。タイムマシーン3号さんは僕の同期で負ける想像ができない。でもザ・パンチさんが負けるとこも想像できない。

ザ・パンチさんって本当に漫才が上手というか、寄席が上手なんですよ。目の前のお客さんに対してめちゃくちゃ強い。自分らの空気になるまで、ネタに入らないんですよ。そうなるまで前を向いて投げかけを続けるんですけど、それがうまい。その投げかけるお客さんが勝敗を決める点数を持っていますから。ネタが互角だったらその部分でザ・パンチさんが有利かな。

ザ・パンチさんが後半にネタをやるというのも有利だと思うんですよ。前半がどれだけ面白くても、後半であれだけ心地よくお客さんに向けて掴んでくれたら、やっぱり前半の印象は薄れるじゃないですか。

タイムマシーン3号さんも一番最初に考えたら優勝候補だと思うんです。でも予選を見て、熟考して、いろいろパズルを組み合わせた結果、ザ・パンチさんがちょっと上かなって思います。

■準決勝、決勝はどういう展開に?

――武智さんの予想では準決勝の第1試合で金属バットとガクテンソク、第2試合でななまがりとザ・パンチが戦うことになります。

第1試合はガクテンソクが上回るような気がしますね。奥田ってめざといやつなんで、このチャンスを逃がさない。今年で絶対決める気やと思うんすよ。だからとんでもない仕上がり方の3本のネタを持ってくると思うんで、ガクテンソクを倒すのは相当難しいと思いますよ。

ななまがりとザ・パンチさんやったらザ・パンチさんがやっぱり強い。僕はザ・パンチさんがタイムマシーン3号を倒したら、決勝までは行くと思います。それはこの日のお客さんにはまったってことなんで。はまったザ・パンチさんには多分、勝てないですね。

――となると決勝はガクテンソクとザ・パンチになります。

どちらが先行か分からないんですけど、前の対戦の点数が高い方が選べるので、予想をするならザ・パンチさんが先行、ガクテンソクが後攻かな。そしてザ・パンチさんは本来後攻でやりたかったけれど、先行だった故にネタの質が落ちないガクテンソクがそのまま優勝するかなと思いますね。

ガクテンソクがいろんなネタを持っているのは知っているので。M-1の準決勝で受けたけど決勝には行けなかった時のネタ、敗者復活戦で使ったネタとか。その中にはすごく良いボケもいっぱいあって、それを引っ張り出してきてくっつけることができるんで、強いっすよ、そら。今回やったネタも、芸人界隈はみんな知ってるし、ガクテンソクファンならみんな知ってるネタやと思うんすけど、それでもあれだけ新鮮に見れるんですから。

正直言って、もう早よガクテンソクはどっか行ってほしいですもん。来年もTHE SECONDに出られたら困りますわ。そういう意味で抜けちゃってくれって思います。

――武智さんの話を聞くとますますTHE SECONDが楽しみになってきました。最後に武智さんからTHE SECONDへの要望、改善点などはありますか。

僕は世の人にもっと広まってほしいので、予選の敗退者のネタ動画をYouTubeにバンバンアップしてほしいなって思ってます。M-1はただでさえ格がある大会やのに、もう1段格が上がったのはYouTubeに載せだしてからですからね。あそこから広まり方も尋常じゃなくなったので。

THE SECONDはいい大会やし、優勝しようものならテレビで3周できるぐらい売れていくべき大会やと思いますし、そのためにはYouTubeとかTikTokを使ってこんだけ面白い大会だってもっと広めてほしいです。

あとギャロップはもっと売れてくれんと。お前ら初代チャンピオンって、めっちゃ重要やねんでっていう。

ネタ番組はよかったんすよ、やっぱり。年末年始のネタ番組でも他の有名どころに引けを取らないどころか、上回っているくらい受けてたんで言うことないんですけど、それ以外がね。何をやっとるんだと。もっと前に出て、次に繋げて、東京に住まないとあかんくらい忙しくなれよと。

そうじゃないと我々ももちろん来年の優勝を狙いますけど、だんだんと優勝の旨みが減ってくるじゃないですか。だんだんとM-1みたいな大会になってほしいんです。

THE SECONDのセカンドは、セカンドチャンスの意味なわけですから、あくまでも優勝してスタートライン。だから今回誰が優勝するにしても、優勝してからこそ死に物狂いで頑張ってほしいです。

【スーパーマラドーナ武智】
NSC大阪校22期生2003年12月に田中一彦と「スーパーマラドーナ」を結成。M-1グランプリにはコンビで過去4度決勝に進出。「M-1グランプリ」への熱狂的愛から「Mおじ」と呼ばれる。YouTubeチャンネル「スーパーマラドーナ劇場」(https://www.youtube.com/@super-maradona)ではTHE SECONDの予想も行っている。

取材・文/徳重龍徳