重度の腎臓病を患っていた患者に豚の腎臓を移植する手術が世界で初めて成功しましたが、手術後約2カ月のうちに患者が死亡したことが報告されました。

An Update on Mr. Rick Slayman, World’s First Recipient of a Genetically-Modified Pig Kidney

https://www.massgeneral.org/news/rick-slayman-family-and-mgh-statements?cid=cor4658t

Richard Slayman, who had world's first successful pig kidney transplant, dead at 62, just weeks after surgery - The Mirror US

https://www.themirror.com/news/us-news/breaking-richard-slayman-who-worlds-482423

Mass. man who received world’s first genetically-edited pig kidney transplant has died

https://www.wcvb.com/article/recipient-of-worlds-first-genetically-edited-pig-kidney-transplant-dead/60765974

豚の腎臓移植手術を受けたのはアメリカのマサチューセッツ州に住んでいたリチャード・スレイマン氏です。スレイマン氏は現地時間の2024年3月16日にマサチューセッツ総合病院で手術を受け、翌月3日に退院。経過は順調だったようですが、5月11日頃、遺族が訃報を伝えました。

病院側は、スレイマン氏の死は移植手術とは無関係との見方を示しています。



移植手術にはマサチューセッツ州ケンブリッジのeGenesisが69のゲノム編集を施した豚の腎臓が使われました。eGenesisによると、腎臓からは有害な豚の遺伝子が排除され、ヒトへの感染リスクを排除するため豚内因性レトロウイルスが不活化されていたとのことです。

人間に「ブタの腎臓」を移植する世界初の手術が成功、異種移植における大きなマイルストーンとなり世界中の臓器移植待ち患者の希望の光に - GIGAZINE



世界初の豚の腎臓移植手術とのことで、スレイマン氏の手術は世界中の腎臓病患者を救う最初の希望になるとの期待が寄せられていました。

スレイマン氏の逝去に際し、遺族は「非常に悲しい思いをしていますが、彼が多くの人に希望を与えたという事実に支えられています。彼は友人や同僚に対して非常に優しく、機知に富んだユーモアセンスのある人でした」との言葉を寄せました。

マサチューセッツ総合病院は「スレイマン氏は世界中の移植患者にとっての希望の光として永遠に語り継がれることでしょう。私たちは、彼の信頼と、異種移植分野の発展への意欲に深く感謝しています。心から哀悼の意を表します」と述べました。