スマホAQUOSの新モデルがイメチェンして登場! 遊び心のあるデザインで新規ユーザーにアプローチ
シャープは5月8日、スマートフォンブランド「AQUOS」の新製品発表会を開催した。新製品は、ハイエンドモデル「AQUOS R9」とベーシックモデル「AQUOS wish4」の2機種。ともに前機種からデザインを大幅に刷新しているのが特徴だ。同社は2024年を「AQUOSのイメージチェンジの年」に位置付けており、両機種はその第一弾となる。
AQUOS R9はNTTドコモ・ソフトバンク・SIMフリーで7月中旬に、AQUOS wish4はNTTドコモ・Y!mobile・SIMフリーで7月上旬以降に発売する。SIMフリーの価格はAQUOS R9が10万円前後、AQUOS wish4が3万円台前半。
AQUOSは国内メーカーのスマホとして長く支持されてきたブランドだが、ユーザー層の年齢は比較的高い。これは「安心感がある」と同時に「保守的」なイメージがついているということでもある。通信事業本部の小林繁本部長がイメージチェンジを図るためのキーワードとして挙げたのは、「AQUOSの存在意義、デザイン、AIの活用」の三つだ。
中でも特にフォーカスしたのがデザイン。小林本部長は「ユーザーが常に触るスマートフォンにおいて、日本発のデザインはどうあるべきかを突き詰めて考えている」と語り、今回リリースするAQUOS R9とAQUOS wish4を紹介した。
両機種に共通しているのは、カメラユニットの自由曲線を使用したやわらかさのあるデザインだ。自由曲線とは真円でも楕円でもない歪みのある円を指しており、同社はこれを「心地よい違和感」と表現する。デュアルレンズのR9では二つのレンズを多少ずらして配置することで、違和感を生み出している。
デザインを担当したのは社外のデザイナーである三宅一成氏。国内外の企業でさまざまな家電製品をはじめとしたプロダクトのデザインを手がけており、国際的な賞も数多く受賞している人物だ。「ブランドに新しい風を吹き込みたい」という思いから、外部のプロフェッショナルの起用に踏み切った。
ここからはそれぞれの新モデルの特徴をみていきたい。まずは、ハイエンドモデルのAQUOS R9だ。
デザイン刷新が際立つR9だが、性能面の進化も全方位に渡っている。処理性能ではCPUに最新のSnapdragon7+ Gen 3 Mobile Platformを採用。さらにRAMは前機種比約1.5倍の12GBに増量した。仮想メモリで8GBを追加できる機能も備える。放熱対策には新たに内部で液体と蒸気が循環するベイパーチャンバーをAQUOSとして初めて取り入れるなど、ワンランク上の快適さを追求している。
最大240Hzのなめらかな画面表示が可能な約6.5インチのPro IGZO OLEDは、明るさにこだわった。前機種比約4倍の1500nitまで高めることで、屋外でも視認しやすい画面を実現した。
さらに音質ではAQUOS史上最大のステレオスピーカーを本体内部から独立したBOX構造として搭載することで、臨場感の高いサウンドを響かせることができる。
「光学式手振れ補正」に対応、留守電は「生成AI」が要約
標準と広角のデュアルレンズで構成されるアウトカメラは、ともに有効画素数約5030万と高画質。1/1.5インチの大型イメージセンサとライカ社のレンズ「ヘクトール」も備えていることに加え、新たに光学式手ブレ補正に対応したことで、夜間でも鮮明な写真を撮影することができる。
被写体を追尾するオートフォーカスはAIによる動きの予測を盛り込むことで、被写体が障害物に遮られても見失わないように設計した。
AIに関する機能としては、電話における生成AIの活用もユニークだ。留守番電話に録音された内容をAIが要約するというシンプルなものだが、「電話に出たくないけど用件は気になる」というニーズを叶えるものとして便利に使えそうだ。
このほかのスペックは以下の通り。OSはAndroid 14、バッテリ容量は5000mAh、ストレージ容量は256GB、防水性能はIPX5・IPX8、防塵性能はIP6X、耐衝撃はMIL規格準拠、生体認証は顔認証(マスク対応)と指紋認証、おサイフケータイ対応。カラーはグリーンとホワイトの2色展開となる。
ベーシックモデルの「AQUOS wish4」のコンセプトは「つよかわ」だ。Wishシリーズというと、デザインやカラーのやわらかさから「かわいい」という印象があるが、今回はそこに「つよい」の要素が加わる。
具体的には本体がMIL規格に準拠することで、防水・防塵・高温・低温・衝撃に対する耐性を高めた。コンクリートへの落下でも故障しづらいというのが分かりやすい利点になるだろう。
また、汚れてもハンドソープで洗浄したり、アルコール除菌シートで拭き取ったりすることで清潔な状態を保つことができるというのも、別の意味での「つよさ」といえるだろう。衛生面へのこだわりは同社が掲げている「日本ならではの細かい配慮」にもつながる部分だ。
約6.6インチの大画面に、バッテリは大容量5000mAh
過去のWishシリーズを知っている人であれば、大画面になったことに驚くかもしれない。前機種は約5.7インチと小ぶりだったが、wish4は約6.6インチでR9より大きい。その分、ロングライフバッテリになっており、容量は前機種の3730mAhから5000mAhに増量している。
小型モデルでなくなることを残念に感じるユーザーもいるとは思うが、より多くのユーザーの選択肢にあがる端末になったという見方もできる。
カメラは有効画素数が約5010画素のシングルレンズを搭載。そこに独自の画質エンジン「ProPix lite」が加わることで、夜景やポートレート撮影でこれまで以上に鮮明な写真が撮影できるようになった。シャッターボタンを画面内で動かせる「フローティングシャッター」などの新機能も使い勝手を向上させるのに一役買いそうだ。
このほかのスペックは以下の通り。OSはAndroid 14、CPUはMediaTek Dimensity 700、RAMは4GB、ROMは64GB、防水性能はIPX5・IPX8、防塵性能はIP6X、生体認証は顔認証(マスク対応)と指紋認証、おサイフケータイ対応。カラーはブルー、ホワイト、ブラックの3色展開となる。
今回のブランドのイメージチェンジを目論む新モデルは、R9であれば女性も含めた30〜40代、wish4であれば初めてスマホを持つ子どもなど新規ユーザーにもリーチしたい考え。円安により海外メーカーのスマホが値上がりしていることを考えれば、価格帯も武器になるだろう。
グローバル展開にも意欲をみせており、これまでより早いタイミングで各国の市場にリリースしていく予定だ。投入する市場には従来のインドネシア・台湾だけでなく、シンガポールを加えた。
5G導入率や平均購買価格が高いことから「日本ならではの細やかな配慮と親和性が高いと判断した」とのこと。国内メーカーのスマホが世界で存在感を欠いて久しいが、新しいメイドインジャパンの価値を磨き上げ、独自のポジションの構築を目指して勝負していく。(フリーライター・小倉笑助)
小倉笑助
家電・IT専門メディアで10年以上の編集・記者経験を経て、現在はフリーライターとして家電レビューや経営者へのインタビューなどをメインに活動している。最近は金融やサブカルにも執筆領域を拡大中
●AQUOSがイメージチェンジするために必要な三つの要素
AQUOSは国内メーカーのスマホとして長く支持されてきたブランドだが、ユーザー層の年齢は比較的高い。これは「安心感がある」と同時に「保守的」なイメージがついているということでもある。通信事業本部の小林繁本部長がイメージチェンジを図るためのキーワードとして挙げたのは、「AQUOSの存在意義、デザイン、AIの活用」の三つだ。
中でも特にフォーカスしたのがデザイン。小林本部長は「ユーザーが常に触るスマートフォンにおいて、日本発のデザインはどうあるべきかを突き詰めて考えている」と語り、今回リリースするAQUOS R9とAQUOS wish4を紹介した。
両機種に共通しているのは、カメラユニットの自由曲線を使用したやわらかさのあるデザインだ。自由曲線とは真円でも楕円でもない歪みのある円を指しており、同社はこれを「心地よい違和感」と表現する。デュアルレンズのR9では二つのレンズを多少ずらして配置することで、違和感を生み出している。
デザインを担当したのは社外のデザイナーである三宅一成氏。国内外の企業でさまざまな家電製品をはじめとしたプロダクトのデザインを手がけており、国際的な賞も数多く受賞している人物だ。「ブランドに新しい風を吹き込みたい」という思いから、外部のプロフェッショナルの起用に踏み切った。
●モバイルエンタテインメントという原点に回帰したAQUOS R9
ここからはそれぞれの新モデルの特徴をみていきたい。まずは、ハイエンドモデルのAQUOS R9だ。
デザイン刷新が際立つR9だが、性能面の進化も全方位に渡っている。処理性能ではCPUに最新のSnapdragon7+ Gen 3 Mobile Platformを採用。さらにRAMは前機種比約1.5倍の12GBに増量した。仮想メモリで8GBを追加できる機能も備える。放熱対策には新たに内部で液体と蒸気が循環するベイパーチャンバーをAQUOSとして初めて取り入れるなど、ワンランク上の快適さを追求している。
最大240Hzのなめらかな画面表示が可能な約6.5インチのPro IGZO OLEDは、明るさにこだわった。前機種比約4倍の1500nitまで高めることで、屋外でも視認しやすい画面を実現した。
さらに音質ではAQUOS史上最大のステレオスピーカーを本体内部から独立したBOX構造として搭載することで、臨場感の高いサウンドを響かせることができる。
「光学式手振れ補正」に対応、留守電は「生成AI」が要約
標準と広角のデュアルレンズで構成されるアウトカメラは、ともに有効画素数約5030万と高画質。1/1.5インチの大型イメージセンサとライカ社のレンズ「ヘクトール」も備えていることに加え、新たに光学式手ブレ補正に対応したことで、夜間でも鮮明な写真を撮影することができる。
被写体を追尾するオートフォーカスはAIによる動きの予測を盛り込むことで、被写体が障害物に遮られても見失わないように設計した。
AIに関する機能としては、電話における生成AIの活用もユニークだ。留守番電話に録音された内容をAIが要約するというシンプルなものだが、「電話に出たくないけど用件は気になる」というニーズを叶えるものとして便利に使えそうだ。
このほかのスペックは以下の通り。OSはAndroid 14、バッテリ容量は5000mAh、ストレージ容量は256GB、防水性能はIPX5・IPX8、防塵性能はIP6X、耐衝撃はMIL規格準拠、生体認証は顔認証(マスク対応)と指紋認証、おサイフケータイ対応。カラーはグリーンとホワイトの2色展開となる。
●「つよかわ」をコンセプトにした「AQUOS wish4」
ベーシックモデルの「AQUOS wish4」のコンセプトは「つよかわ」だ。Wishシリーズというと、デザインやカラーのやわらかさから「かわいい」という印象があるが、今回はそこに「つよい」の要素が加わる。
具体的には本体がMIL規格に準拠することで、防水・防塵・高温・低温・衝撃に対する耐性を高めた。コンクリートへの落下でも故障しづらいというのが分かりやすい利点になるだろう。
また、汚れてもハンドソープで洗浄したり、アルコール除菌シートで拭き取ったりすることで清潔な状態を保つことができるというのも、別の意味での「つよさ」といえるだろう。衛生面へのこだわりは同社が掲げている「日本ならではの細かい配慮」にもつながる部分だ。
約6.6インチの大画面に、バッテリは大容量5000mAh
過去のWishシリーズを知っている人であれば、大画面になったことに驚くかもしれない。前機種は約5.7インチと小ぶりだったが、wish4は約6.6インチでR9より大きい。その分、ロングライフバッテリになっており、容量は前機種の3730mAhから5000mAhに増量している。
小型モデルでなくなることを残念に感じるユーザーもいるとは思うが、より多くのユーザーの選択肢にあがる端末になったという見方もできる。
カメラは有効画素数が約5010画素のシングルレンズを搭載。そこに独自の画質エンジン「ProPix lite」が加わることで、夜景やポートレート撮影でこれまで以上に鮮明な写真が撮影できるようになった。シャッターボタンを画面内で動かせる「フローティングシャッター」などの新機能も使い勝手を向上させるのに一役買いそうだ。
このほかのスペックは以下の通り。OSはAndroid 14、CPUはMediaTek Dimensity 700、RAMは4GB、ROMは64GB、防水性能はIPX5・IPX8、防塵性能はIP6X、生体認証は顔認証(マスク対応)と指紋認証、おサイフケータイ対応。カラーはブルー、ホワイト、ブラックの3色展開となる。
●日本製ならではの価値を再構築、グローバル市場も積極的に攻める
今回のブランドのイメージチェンジを目論む新モデルは、R9であれば女性も含めた30〜40代、wish4であれば初めてスマホを持つ子どもなど新規ユーザーにもリーチしたい考え。円安により海外メーカーのスマホが値上がりしていることを考えれば、価格帯も武器になるだろう。
グローバル展開にも意欲をみせており、これまでより早いタイミングで各国の市場にリリースしていく予定だ。投入する市場には従来のインドネシア・台湾だけでなく、シンガポールを加えた。
5G導入率や平均購買価格が高いことから「日本ならではの細やかな配慮と親和性が高いと判断した」とのこと。国内メーカーのスマホが世界で存在感を欠いて久しいが、新しいメイドインジャパンの価値を磨き上げ、独自のポジションの構築を目指して勝負していく。(フリーライター・小倉笑助)
小倉笑助
家電・IT専門メディアで10年以上の編集・記者経験を経て、現在はフリーライターとして家電レビューや経営者へのインタビューなどをメインに活動している。最近は金融やサブカルにも執筆領域を拡大中