日産の「“次期型”スカイライン」どうなる!? 超美麗な“新型スポーティセダン”「V Qe」は何を示すのか

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次期「スカイライン」どうなる?

 次期「スカイライン」=インフィニティ「Q50」と関係がありそうなコンセプトカー「インフィニティ ヴィジョンQe」が、2023年11月に世界初公開されました。

 ほどなく期間限定で日本の日産グローバル本社ギャラリーで展示されたのち、2024年2月にはカナダ国際オートショー2024で展示されました。

スカイラインを示すのか…? インフィニティの新型「ヴィジョンQe」

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 Eセグメントのラグジュアリーセダンであり4ドアでファストバックのヴィジョンQeは、2025年よりアメリカのキャントン工場で生産される予定の、インフィニティ初となる完全BEVを想定したデザインを示しているようです。

 スカイラインというのは、日本車で有数の70年近い長い歴史を誇り、モータースポーツにおいても数々の金字塔を打ち立ててきた、名車の中の名車です。とくに中高年より上の世代のクルマ好きにとっては、その活躍ぶりをリアルタイムで見てきた、特別な存在となっています。

 そのスカイラインに大きな転機が訪れたのが、2001年に登場したV35型です。これこそが今回のヴィジョンQeのルーツになるわけです。

 ひとつ前のR34型は、売れ行きが伸び悩んだため発売から3年あまりで生産終了となっていました。そこで、本来はスカイラインになる予定ではなかった「インフィニティブランドの新世代プレミアムセダン」として企画されていたクルマが、日本ではスカイラインと名乗ることになったのです。

 そんなV35型は伝統の直6エンジンや丸型テールランプをやめ、雰囲気がガラリと変わったため、スカイラインとして是か非かが大いに論じられたものでした。ところが、次のV36型や、その次のV37型になると、V35型ほど否定的な声は聞かれなくなりました。

 現行のV37型が登場したのは2013年なので、すでに10年超が経過しています。実は今回公開されたヴィジョンQeのだいぶ前にも、2018年のデトロイトショーで「インフィニティQインスピレーション」というコンセプトカーが発表されていて、やはり次期スカイラインかと騒がれたものでした。

 最先端の自動運転技術と可変圧縮比のVCターボエンジンを搭載した次世代プレミアムセダンであり、市販車が2021年頃には出そうだという情報もあったほどです。

 ところが、自動車をとりまく環境が急速に変わり、電動化が求められるようになったことや、コロナ禍に半導体不足などの予期せぬ問題に直面し、計画が見直されることになったようです。

 さて、かくして出てきたヴィジョンQeは、その2018年発表のQインスピレーションとの共通性が見て取れながらも、6年分の進化を感じさせる近未来的で特徴的なスタイリングを呈しています。

 フラッグシップセダンらしい風格を感じさせる低くワイドで流麗なフォルムのボディには、インフィニティのBEVとしてのエッセンスが盛り込まれています。

 まずは何よりLEDで周囲を縁取った大きな「ダブルアーチグリル」が印象的で、ボディは彫刻的なラインがすべて1本に集約されるデザインで構成されています。

 深みのあるブルーのベースコートに光沢のあるゴールドのハイライトを組み合わせたボディカラーは表面で光と影が際立ち、インフィニティブランドを象徴する新しいビジュアルアイデンティティとしてあしらわれた、前後のゴールドに輝くデジタルピアノキーライトをより引き立てています。

 幾何学模様をもとにデザインされたマシンドフィニッシュのホイールも、新しい時代の到来を感じさせます。

 ヴィジョンQeについて販売店がスカイラインユーザーに聞いたところ「次期スカイラインがこんなにスタイリッシュになるのならぜひ欲しい」という声や、BEV化を歓迎する声も聞かれたようです。

 半面、スカイラインというクルマの性格上、ICE車を求める声が小さくないことも予想されます。

 世の中の変化は驚くほどで、ビジョンQeの企画がスタートした頃には、BEVのみでいくという大胆な計画が本当にまかりとおったかもしれませんが、2024年になってから、一転してBEVに懐疑的でHEVを支持する声が高まっています。

 ヴィジョンQeのスペックなど具体的な内容については、2024年3月下旬時点ではまだ明らかにされておらず、詳細は折を見て発表されていくようです。もっとも、次期スカイライン=インフィニティQ50をどうしていくのか、さらなる方向性の見直しが必要な感じになってきました。

 いずれにしても、ヴィジョンQeのデザインが本当にすばらしいことに変わりはないので、このエッセンスが市販車にどう活かされるのか、楽しみにして待つことにしましょう。かつてV37を購入した筆者も、いちファンとして心から期待しています。