車検前の準備は何が必要? 洗車やキズ修復はしたがほうが良い? 逆に“事前にしないとダメ”なこととは?
「車検」は国が定めた基準をクリアするかの検査
乗用車の場合、新車登録から3年目に初回車検を迎え、その後は2年おきに「継続車検」を受ける必要があります。
昨今は自家用車の保有年数が平均で約7年となっており、継続車検を数回受けることが当たり前になってきました。
継続する場合の車検の正式名称は「自動車継続検査」。公道を走るクルマの基準をまとめた「道路運送車両法」で定められた「保安基準」に適合しているかの検査で、定期的な検査が義務付けられています。
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この検査にパスすると「自動車検査証」が発行され、有効期間を表記した「検査標章」が交付されます。
車検は3年または2年ごとということもあり、用意すべきものやしておいた方が良いことを忘れてしまいがちです。一体どのような準備が必要なのでしょうか。
車検を受けるために重要な書類があります。それが自動車税納付証明書です。自動車税の納付書は、4月1日時点でクルマを所有している人に対して送られてくるもので、GWあたりに手元に届くことが多いでしょう。
排気量に応じて納付する税額が異なり、支払期限は5月末です。
2015年4月から「JNKS(自動車税納付確認システム)」が導入され、自動車税納付証明書を提示する義務はなくなりましたが、システムに反映されるまでにタイムラグがあり、支払い時期と車検の有効期間が被る場合は提示を求められることもあることから用意しておくと安心です。
中古車販売店のK店長に話を聞いてみました。
「車検証などは前回検査したままグローブボックスなどに入れておくのが一般的ですが、自動車税納付証明書を忘れたり紛失してしまう人が多いです。
電子化によって提示しなくてもよくなりましたが、車検のタイミングによっては納税証明書が必要になる場合もありますので、取り扱いに注意ください」
また、車検証の交付には自賠責保険を支払うことが前提となっています。つまり原則として無保険の車両は、公道を走れないことになります。
ちなみに車検は有効期間の1か月前から受けることが可能となっており、万が一過ぎてしまった場合は一刻も早く再取得する必要があります。
すでに車検切れになったクルマも公道を走れないので、その場合は積載車などに載せるか、仮ナンバーを取得してディーラーや整備工場まで持ち込むことになります。
もし車検が切れた状態で走行してしまうと交通違反の切符を切られ、結構重い罰則が科せられるので注意しましょう。
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カーディーラーなどに車検を依頼する場合、車検証や自動車税納付証明証に加えて、「自賠責保険証明書」「身分証明書」が必要となります。
また、手続きの代行をしてくれる業者への「委任状」なども必要です、どのような書類を用意すれば良いのか、事前に確認しておきましょう。
クルマが汚れていても車検は受けられる?
実際に車検をディーラーなどにお願いする場合、書類の用意以外にすべきことはあるのでしょうか。
たとえば、汚れたままでは検査に受からないのか不安なので洗車はしておくべきか、またバンパーやボディの小キズなども修復してからのほうが良いのでしょうか。
「クルマの汚れ具合は、よほど前が見えにくいといった場合でない限り車検には影響しないので、わざわざ洗車する必要はありません。
また、プラスチックパーツがヒビや割れなど破損している場合を除き、走行上に影響のないキズはそのままで大丈夫です」(中古車店 K店長)
汚れやキズは問題ないとのことですが、それよりも注意が必要なのは、カスタムやドレスアップ目的で装着した社外パーツです。
そのままでは保安基準に適合しないものもあり、純正パーツに戻してから車検を受けるのが基本となっています。
タイヤ・ホイールなども、インチアップなどをしたものは保安基準に適合しない場合もあり、純正ホイールを装着したうえで車検を受けましょう。
ディーラーなどで車検を受ける場合、事前整備で交換すべき消耗パーツが多いと感じる人もいるかもしれませんが、すべて交換する必要があるのでしょうか。
「これはいくつか理由が考えられますが、しっかりメンテナンスしたり、消耗パーツを交換することで、車検が通りやすいということもあります。
特にエンジンルームや下回りのゴム製品などは破損や劣化しやすいパーツのため、トラブルを予防するために交換しているとものあるでしょう」(中古車店 K店長)
その場合は、どこまで事前に整備しておくべきか相談するのがベターです。またエンジンオイルを定期的にしている場合は、車検だからと新たに交換する必要もないそうです。
ただし、普段のメンテではあまりチェックしにくいブレーキフルードなど、「走る・曲がる・止まる」に関する消耗パーツは最低限でも交換しておくほうが安全だといいます。
ブレーキパッドやタイミングベルトなどの消耗パーツも、残量や劣化具合などをチェックしてもらい、まだ使えるのかそれとも要交換なのかを判断してもらうと良いでしょう。
「バッテリーを2年以上交換していない場合は交換しておくと安全です。
現状のままでも車検は通せたとしても、その後すぐにバッテリーが上がってしまう可能性も否定できません。
クルマの場合、故障や不具合が出る前に予防措置としての交換が結果的に安く済むことも多いので、傷んだ消耗パーツは車検時の点検で交換することをお勧めします」(中古車店 K店長)
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自分で車検を通す「ユーザー車検」はかなり安く済ませられますが、そのぶん整備がままならず、無事に車検が継続できてもその後にトラブルが発生することもあります。
それに対してディーラーや整備工場に頼めばコストはかかるものの、そこには整備や点検の費用も含まれます。
トラブルを未然に防ぐためにも、車検時こそいろいろメンテナンスを頼むのに最適なタイミングと言えそうです。