3年後に「東京-愛知の新道路」全線開通!? あと25kmでぜんぶ繋がる… 新東名の「最後の未完成区間」いつ実現?

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新東名の「東京延伸」いつ実現?

 現在、神奈川県と愛知県を結ぶ「新東名高速道路」の建設が進められています。
 
 これまでに多くの区間が開通し、残すは新秦野ICから新御殿場ICまでの区間のみとなりましたが、全線開通はいつになるのでしょうか。

新東名が海老名から都内へ伸びる!? (画像:写真AC)

 新東名高速道路は神奈川県海老名市から静岡県を経由して愛知県豊田市までを結ぶ高速道路であり、2012年4月の御殿場JCT〜浜松いなさJCT間の開通を皮切りに各区間が順次開通しています。

【画像】「えっ…!」これが新東名の「繋がる場所」です。画像を見る!(20枚)

 新東名高速道路は東名高速道路と並行するような形で建設されています。

 このようなダブルネットワークによって交通量が分散し渋滞の緩和や通行時間の短縮につながるほか、交通事故・災害発生時に安全な交通路を確保できるといったメリットがあります。

 加えて、東名高速道路よりもカーブや勾配がゆるやかな構造をしているため、トラックの荷崩れ・荷痛みの減少や交通事故防止などの効果も期待されています。

 2024年4月時点で新東名高速道路は総延長253kmのうち約90%がすでに開通しており、残す未開通区間は新秦野IC(神奈川県秦野市)から新御殿場IC(静岡県御殿場市)までの25km区間です。

 現在この区間で建設工事が進められているものの、傾斜が急で狭い地形が多いことや自然地盤がもろいといった事情から、もともと2020年度開通予定だったものが2023年度に。

 そして2022年12月には2027年度へ延長されるなど、たびたび開通予定が変更されています。

 では、新東名高速道路の全線開通に関する最新情報はどうなっているのでしょうか。

 この件について、新東名高速道路の建設を進めているNEXCO中日本の広報担当者にお話を伺ったところ、全線の開通予定に関しては「2027年度に開通を目指している点について変更はございません」と回答がありました。

 さらに、これまで新秦野ICから新御殿場ICの区間で何度も開通予定が変更されている理由について、担当者は次のように説明しています。

「2019年にはのり面崩壊にともなう工事用進入路のルートおよび構造の見直し。

 さらに想定以上の断層破砕帯が確認されたことによる橋梁構造形式の変更など、これらにともなう施工計画の見直しにより、2020年度から2023年度に開通予定を変更しました。

 また、2022年には高松トンネルの未掘進区間において、追加の調査によって脆弱な地山(自然地盤)や断層破砕帯が確認されました。

 これにより、地山に適した対策工を実施しながら慎重に工事を進める必要があるため、開通予定を2023年度から2027年度に変更しております」

どこが難所? あまり良く知らない「高松トンネル」とは

 未開通区間の中でも神奈川県松田町と同山北町を結ぶ「高松トンネル」は、脆弱な土層状況に加え、山の斜面から地表に湧き出す湧水が大量に発生するなどの事情によって、工事が特になかなか進まない状況にあります。

 この高松トンネルの建設工事の進捗状況について、担当者は次のように話しています。

「高松トンネルでは、脆弱な地山の出現や断層破砕帯におけるトンネル掘削面の崩落などにより工事が難航しているところです。

 現在は約2900mのトンネルのうち、およそ半分の距離まで掘削が進んでいます。

 追加調査で把握した地質や断層破砕帯に対し、トンネルや地質の専門家の助言を踏まえた対策工を実施することで、確実に掘削を進めています。

 なお、着実な進捗を図るためトンネルの西側でも掘削の準備をおこなっております」

高松トンネルの地質(画像:NEXCO中日本)

 実際に、トンネルの西側では工事用の道路などを設置する工事が進められています。

 このように地盤の事情などから慎重な工事が求められるため、開通までには多くの時間を要することが想定されます。

※ ※ ※

 現在のところ、新東名高速道路の全線開通は2027年度の予定です。

 NEXCO中日本の担当者によると、全線開通によって周辺地域における観光交流人口の増加や企業活動の活性化、アクセス性向上による救急医療サービスの進展などの効果も期待されており、今後の工事の進捗状況が注目されます。