ヨーロッパのミドルクラスは需要が多く、国内レプリカとは別路線に!

1984年にバイクブームの中、ヤマハの4気筒400ccスポーツで大ヒットしたFZ400R。
その延長上にレプリカ路線がひた走った後、国内向け400ccと海外向け600ccで1997年にFZ400とFZS600が、ベースを共通にツーリングスポーツとしてリリースされた。

レプリカ路線は国内では下火となり、海外ではちょうど良いサイズとしてミドルクラスのニーズが多いため、YZF-R6がスーパースポーツのポジションをカバーしていたが、ツーリングスポーツの人気のほうが高まりライバル・メーカーに対応機種で先手をとられるようになり、FZS600後継機種が必要になった。

コンセプトは新世代FAZERで、ヨーロッパでのニーズへ対応したネイキッドとツーリングスポーツに徹すること。
エンジンはR6をベースに、フレームは著しい進化を遂げたアルミ鋳造でR6とは形状から全く異なる専用設計で開発された。

R6ベースなので、ボア×ストロークが65.5mm×44.5mmの599cc。
最高出力は72kW(97.9PS)/12,00rpm、最大トルクが63.1N・m(6.43kgf・m)/10,000rpmとハイパー仕様を継承していた。
排気系がシートカウル下にサイレンサーが収まるセンターアップで、スリムで扱いやすいハンドリングをイメージさせ注目のモデルとしてリリースされたのだ。

ネイキッドのシンプルでカジュアルなフォルムがヒット作に!

日本ではXJやXJRといった、トラディショナルなネイキッドがメジャーな存在だったが、ヨーロッパではコンサバでも新しさを感じさせるスポーツバイクのデザインが求められ、他の日本メーカーに対しほどよい斬新さが好評だった。

カラーリングも徐々に明るさが目立つポップな傾向も採り入れられ、ヤマハらしさを前面に出した感性が人気を得て、成功を収めていた。

もういっぽうで、バイクのあるライフスタイルの変化から、ツーリングの距離が国境を跨ぐ長さとなってきたことから、ネイキッドの「FZ6-N」バージョンに加え、ハーフカウル付きの「S」もラインナップされていた。

ネイキッドのシンプルでカジュアルなフォルムがヒット作に!

ヨーロッパを縦横無尽に走る高速道路のクルージングへの対応となるため、もともとアップライトなポジションのFZ6-Sのハーフカウルは、ウィンドプロテクション効果を狙ってスクリーンが大きめの設定。
それでいてコンパクトに見せるデザインで、バイクをフレンドリーな感覚で親しまれるよう注力したデザインとなっていた。

こうしたバランスの良さを漂わせるFZ6-NとFZ6-Sだが、YZF-R6がそうであるように、400ccへスケールダウンした4気筒エンジンは用意されない決定がされていて、同じミドルクラスでも街乗り中心のネイキッド需要にとどまる差から、こうした優れた進化を積むモデルが導入されない状況にあるのは残念としかいいようがない。

いずれにせよ400ccクラスが手薄なヤマハだけに、新たなコンセプトでツーリングスポーツやネイキッドの開発を期待したいところだ。

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