酸化ストレスを減らそう!医師が教える「老化を早める食事」と「老化を防ぐ食事」の違い
老化を防ぐためには、やはり普段からの食生活や生活習慣がとても大事になってくるもの。どういった食生活を心がければいいのか、きちんと知っておくことが大切です。そこで今回は、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生に、「老化を早める食事」と「老化を防ぐ食事」の違いについて話を聞きました。
「老化」が起こってしまう原因とは…
――そもそも「老化」とはどういったものですか?
「老化」は、生物が年をとるに連れて、その組織や細胞が機能の低下や変化を経ていく過程です。老化は多くの生物に共通していて、遺伝子、環境要因、生活習慣、栄養状態などが影響を与えています。
――老化が起こってしまう原因は?
主な原因としては、遺伝子の変異、酸化ストレス、炎症、細胞の損傷、テロメア(染色体の末端にある構造)の短縮、ミトコンドリアの機能低下などが挙げられます。
――「酸化ストレス」とは、具体的にはどういったものですか?
細胞内での酸素利用によって発生する活性酸素が細胞や組織にダメージを与える作用のことで、老化を促進させます。また、老化物質であるAGEs(最終糖化産物)は、高血糖状態や炎症が引き起こす糖化反応によって生成され、組織や血管の損傷を引き起こし、老化に寄与します。
――老化は体や心にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
身体的影響としては、筋肉量の減少、骨密度の低下、皮膚の弾力性の低下などが見られます。心理的影響としては、記憶力の低下、認知機能の減退、情緒の不安定性などが現れることがあります。
老化を防ぐことができる食生活と生活習慣!
――老化と食生活は関係していますか?
食生活は老化に影響を与える要因の一つです。栄養不足や不健康な食習慣は、老化を促進させる可能性があります。逆に、きちんとバランスが取れている食事は細胞の健康を維持し、酸化ストレスを軽減する助けとなります。
――老化を早めてしまう食生活や生活習慣を教えてください。
高脂肪、高糖分の食事は炎症を引き起こし、酸化ストレスを増加させます。また、喫煙や過度なアルコール摂取は細胞にダメージを与え、老化を促進させます。
――では逆に、老化を防ぐことができる食品は?
ビタミンC(オレンジ、イチゴ、ブロッコリー)、ビタミンE(ナッツ、種子、植物油)、ポリフェノール(紅茶、赤ワイン、ベリー類)などの抗酸化物質を含む食品は、酸化ストレスに対抗して軽減させる働きがあります。
――ほかにも老化を防ぐ食品はありますか?
GI値(「糖質の吸収のされやすさ」を示す指数)の低い食品を摂取すると、血糖値の急激な上昇を抑えることができ、AGEsの生成を減少させることも期待できます。
――GI値の低い食品とは、具体的にはどういったものがありますか?
そば、玄米、春雨、豆腐、納豆、大根、カブ、ピーマン、ブロッコリー、牛乳、ヨーグルト、りんご、いちご、グレープフルーツなどが挙げられます。
――普段から心がけたほうがいい生活習慣などは?
適度な運動は筋肉の健康を促進させ、老化を遅らせます。同時に、豊富な果物、野菜、全粒穀物、良質なたんぱく質といったバランスの取れた食事を取ることもやはり大切です。ただ、老化には個人差があり、予防や対策は個々の健康状態やライフスタイルによって異なるので、きちんと医師や栄養士に相談することが有益ですね。
(TEXT:山田周平、メイン画像:Adobe Stock)
中澤佑介先生
なかざわ腎泌尿器科クリニックの院長で、泌尿器科専門医、身体障害者福祉法指定医、難病指定医。日本泌尿器科学会、日本尿路結石症学会、日本排尿機能学会、日本癌治療学会などに所属。2012年金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学泌尿器科学の助教を経て、2019年に博士課程を修了。2021年よりなかざわ腎泌尿器科クリニックの院長として、男性だけではなく女性でも安心して受診できるような細やかで患者さんに寄り添う医療を提供している。
公式HP:https://www.nakazawa-cl.jp/