暮らしやすくするために、危険が少ないスッキリ収納を考えてみませんか? 片づけのお仕事でさまざまな家庭を訪問しているライフオーガナイザーの尾花美奈子さんがご自身の経験をまとめてくれました。

1:食器棚には「つっぱり棒」を

地震で危ない家具はなんと言っても食器棚です。2011年の東日本大震災のとき、私の住む埼玉県南部でもかなり大きな揺れがありましたが、食器棚に地震対策をしていたおかげで数枚お皿が落ちただけ、しかも割れずにすみました。
対策をしていなかった知り合いの家では割れた食器が床一面に散乱して、その光景を見ただけで滅入ってしまったそうです。

<私が実践しているポイント>
・天井と食器棚の間に転倒防止のつっぱり棒をする。
・電子レンジの脚やコーヒーメーカーの下にシリコンマットを敷く。
・高い場所に割れものを「そのまま置かない」。
・よく使うものに対しては滑り止めシートを敷く。
・あまり使わないものに対しては梱包材で包み、さらに箱に入れるとベスト。

2か月に1度しか使わないグラスは梱包材で包み、さらに箱の中も隙間ができないように梱包材を入れています。

 

2:背の高い棚は、重いものを「下」に

背の高い本棚やシェルフといった家具も転倒の可能性があるので危ない家具のひとつですが、次のような点に気をつけています。

<私が実践しているポイント>
・天井との間に転倒防止のつっぱり棒をする。
・「重いもの・大きいものを下に収納」「軽いもの・小さいものを上に収納」して重心を下にする。
片づけのお仕事で伺ったおうちで「古いアルバム」「昔勉強した教材」「捨てられない大量の書類」といった重いものを、使用頻度が少ないという理由で上の方に収納されている方がいますが、下に収納した方が安定しますし、最悪なにかが落下したとしても軽いものならケガの危険が低くなります。

大量のCDコレクションは箱に入れて下に移動させました。

 

3:冷蔵庫の上にものを置かない

家にある背の高いもの3つ目は冷蔵庫ですが、冷蔵庫は転倒防止をされていないお宅が多い印象で、なにかしらものが上に乗っている場合はケガにつながりかねません。

<私が実践しているポイント>
・天井との間に転倒防止のつっぱり棒をする。
・上にものを置かないようにする。

冷蔵庫の上はなにも置かないようにしましょう。

4:廊下、階段、玄関をすっきりさせる

家の中のものが多ければ多いほど、片づいていなければいないほど、床だけでなく廊下や階段にまでものが置かれがちです。けれど廊下や階段はいざというときに逃げ道となる場所。
地震は昼間の明るい時間に起きるとは限りません。ものがなければないほど夜中の真っ暗な中でも安全に逃げやすくなり、玄関を片づけてスペースができれば防災グッズを置くこともできます。

<私が実践しているポイント>
・廊下や階段にものがある場合は、ひとまず害の少ない場所へ移動させる。
・ガラスの花ビンや陶器の置物などを置く場合は、滑り止め対策をする。
・傘、バット、ほうきなど長い物が倒れるとつまずく原因になるので、スタンドに立てたり掛けたりする。

靴の見直しをしたところ数が減り、防災リュックとヘルメットを置けました。

 

5:「なんとかなる」というポジティブすぎ思考

1〜4のようなことをお伝えしても「なんとかなる」「いずれやる」と考える方もいます。でも先述したわが家の食器のように、対策をしているのとしていないのとでは大きな差が出るので、ポジティブすぎにならずに対策をしたいです。

<私が実践しているポイント>
・だれにでも、明日にでも、自分の身に降りかかる可能性があると認識する。
・地震対策は命を守る最優先事項と考える。

 

地震対策をすると、普段の暮らしもラクで安全に

上記のような対策をとると、ものの出し入れがラクになったり掃除がしやすくなるなど普段の暮らしにおいてもメリットが増えると感じています。もちろんものの落下や家具の転倒の危険が少ない安全な家になるので、心への負担も軽くなります。
面倒くさいと思われるかもしれませんが、このメリットに注目してぜひ対策してみてください。