動画配信者の転落死にも止まない誹謗中傷…ドラマ『マルス』が「ネット民全員見るべき」と言われるワケ
ネットで大炎上中の動画配信グループ「マルス」の男子高校生メンバーが、ホストともみ合いになりビルから転落して死亡した。
フェイク動画を流したとして炎上していた最中だっただけに、ネット上では、マルスに対して「自業自得だ」などと誹謗中傷が殺到している――。
メンバーである桐山球児(泉澤祐希)の転落死、それに伴う無期限の活動休止、そしてグループを率いるカリスマ転校生「ゼロ」こと美島零(道枝駿佑)の失踪によって、マルスはバラバラになってしまった。
そんな最悪の状況で、ドラマ『マルス-ゼロの革命-』の新章(第6話、2月27日(火)放送)は開幕した。
◆ネット民は無情の手のひら返し
これまでマルスは、教師による違法薬物のあっせん、日本スポーツ界の“ドン”の不正、地面師事件といった大人たちの闇を暴き、ネット上でヒーロー扱いされてきた。
しかし、ゼロと浅からぬ因縁がある大手通信事業グループ・クロッキー社の策略にハメられ、同社に冤罪の汚名を着せてしまう。
そのことでクロッキー社のCEOである國見亜門(江口洋介)から名誉毀損で訴えると宣告されると、世間の評価は一転。視聴コメントには、手のひらを返したアンチからの書き込みが溢れるようになった。
なんとかマルスの信用を取り戻そうと焦った球児と久高(井上祐貴)がホストの闇を暴こうと独断で動いたものの、2人の元に寄せられたのは彼らをはめようとした者による虚偽の情報だった。いわれのない罪を着せられ、それをネットで生配信されたことで激怒したホストの円城雅(上田竜也)の報復にあった球児は、逃げようとした非常階段から転落し命を落としてしまう。
人が死んでいるにもかかわらず、マルスへの風当たりは強まる一方。「自業自得でしょw」「調子に乗りすぎた奴らの末路だなw」などと辛辣なコメントが多く上がる。
打ちひしがれるマルスメンバーに寄り添うユーザーなどほとんどおらず、みんな言いたい放題となっていた。
6話の冒頭で描かれたこのシーンを、ドラマ視聴者は現実と重ね合わせたのだろう。放送後、X(旧Twitter)には「6話の最初でマルスへの批判が読み上げられてるところ胸に突き刺さったし辛かった、自分はそうはなってはいけないなと」「文字だけで見るよりも音声にしたら誹謗中傷コメントってほんまエグいな」といった書き込みが多く見られた。
現実でもネット上の匿名の書き込みに傷つく人は多く、痛ましい事件も起こっている。あらためて誹謗中傷の醜さや、匿名ゆえに無自覚に発してしまう言葉の怖さを感じた人からは、「ネット民全員見るべき」との声も上がっていた。
◆第二章のはじまり、逆襲と革命の予感
そんな辛い状況の中で、1ヶ月も音信不通だったゼロが再びマルスメンバーの前に姿を現し、彼らの逆襲劇は始まった。
ゼロが言い放ったお馴染みの決めゼリフ「It’s showtime!」は、これまでと比べものにないくらい「現状を変えてくれる予感」に溢れ、第二章のはじまりに相応しいほど迫力があった。
マルスが再び立ち上がることができたのは、覚悟を決めたゼロの力だけによるものではない。過去にマルスに救われた同級生・不破壮志(日向亘)の存在も大きかった。
彼は亡き球児の想いを仲間たちに伝えようとマルスを再集結させると、そこから新たなメンバーとして危険な取引現場に飛び込んで活躍したのだった。
またクライマックスでは、マルスを陥れて崩壊へと導いた元メンバー・貴城香恋(吉川愛)もゼロたちの窮地を救った。
香恋は、クロッキー社CEOでゼロの宿敵・國見の娘。國見の正体に薄々気付きつつも向き合えずにいた香恋が、葛藤の末に下した決断に沸き、球児含め仲間を追い詰めたことを後悔して涙するシーンに引き込まれた視聴者は多いだろう。
新メンバーに不破を迎え、香恋が復帰したマルス。まだ戻っていないメンバーは、球児の転落死からずっと学校を休んでいる呉井賢成(山時聡真)だけとなった。
3月5日(火)に放送される第7話では、賢成が「マルスをやめる」と言い出し、さらにはゼロが「マルスは今日で解散する」と宣言し…!? 仲間の死を乗り越え再び立ち上がったマルスの今後の展開から目が離せない。