郡司を取り巻く“強すぎる”女性たち。最強の新キャラも参戦『グレイトギフト』第7話<ネタバレあり>
<ドラマ『グレイトギフト』第7話レビュー 文:くまこでたまこ>
主演・反町隆史、脚本・黒岩勉によるサバイバル医療ミステリー『グレイトギフト』。
2月29日(木)に放送された第7話では、主に藤巻達臣(反町)がギフトの創造者の正体を暴くために奔走する姿が描かれた。
◆郡司は強い女性を呼び寄せるプロ
藤巻を語る前に、第7話で私の推し・郡司博光(津田健次郎)にある疑惑が浮かんだ。
郡司は一言でいえば“モテ男”だ。色気が漂うし、声がいいし、クズすぎる性格もエッセンスになるぐらいにかっこいい。そんな郡司が私は大好きなのだが、彼に対して“強すぎる女性を呼び寄せるプロ”ではないかという疑惑を持った。
藤巻の妻・麻帆(明日海りお)、看護師長・鶴下綾香(片山萌美)、そして妻・佳澄(西原亜希)。郡司と関係のある女性は、みながどこか強い。
鶴下は嫉妬に飲まれて麻帆を殺害しようとするし、麻帆は知り合いも多い場所で堂々と郡司に抱き着くなど、「お強い…!」という印象があった。なかでももっとも強い女性なのが、佳澄だった。
佳澄は、明鏡医科大学付属病院内にいる仲良しさんから麻帆が病院に来ることを聞き、接触してきた。この時点で、麻帆と郡司に死亡フラグか慰謝料フラグが立ったのだが、それは思い違いだった。協力して郡司を明鏡医科大学付属病院の理事長にしようと持ち掛けるのだ。
不倫を怒るでもなく、むしろ愛人の存在も容認。佳澄はとにかく強い。郡司に対して、「なんで離婚しないんだろう〜」と考えていたときもあった。でも、これは無理だ。強すぎる妻と離婚する郡司の未来が見えない。むしろ離婚したとき、郡司は本当の意味で葬られてしまうかもしれない。
そんな恐怖を感じながらも、佳澄の登場で、おもしろみが増したことも間違いない。強い女性らに囲まれながら、郡司が今後どのように動くのかも気になるところだ。
◆いろいろなバージョンの「藤巻×○○」がおもしろい
第7話では、いろいろなバージョンの「藤巻×○○」が印象的だった。
まずは、友だちコンビ「藤巻×神林育人(尾上松也)」。白鳥稔(佐々木蔵之介)に弱みを握られたのは一緒でありながら、闇落ち具合が若干異なる藤巻と神林。
この2人は第7話では、白鳥の指示で、ギフトの創造者を探し回ることに。藤巻と神林の間に流れる互いに信頼しているような雰囲気がまるで刑事ドラマのようだった。「このまま事件を解決できそう…」と思うくらい最強バディ感が漂っていた。
また、最強バディといえば、「藤巻と白鳥」だ。最強というより、現状は“最恐”かもしれない。殺人球菌「ギフト」でいろいろな人物を排除してきた白鳥と、白鳥に指示されて殺人球菌「ギフト」を培養してきた藤巻。
弱みを握られていたこともあり、立場的にも人間的にも藤巻は、白鳥に敵わない印象がある。
そんな藤巻と白鳥には、共通点も多い。たとえば、患者の命を守りたいという思い。
すべてを手に入れようとする白鳥と、すべてを手放そうとする藤巻は、何もかも正反対だが、患者のことになると手を組むのだ。それも自然と。本来であれば、別々に動いてもいいものの、同じ敵を前に共闘する藤巻と白鳥に胸が熱くなったのはここだけの話だ。
そして、安定なのが、「藤巻×久留米穂希(波瑠)」。2人の信頼関係はゆるぎない。第7話では、それが顕著に表れていた。久留米に怪しい点があっても藤巻は久留米を信じていたし、これまで藤巻をひたむきに支えてきた久留米が藤巻を裏切るとも思えなかった。
当たるか外れるかは置いておいて、ライターの勘として、この2人はいつまでも一緒にいる気がしている。
◆久留米の機微に気付く藤巻
私は人のことをよく観察する。自分が誰かの敵とならないために、「この人はこういう人で、こういうことが苦手。なら、私はこう動こう」といつもシュミレーションしながら生きている。それが生きていくために必要だったからだ。
藤巻もよく人を見ていた。わかりにくいタイプの久留米のささいな変化もわかるほどだった。髪を切ったとか、化粧や服装を変えたことはわからないだろう。しかし、信頼している久留米のことは別だったように感じる。
たとえば、「オクトセブン」を培養するシーン。私は能天気に「藤巻ってこういう字を書くんだ」と思っていた。そんな私とは対照的に、藤巻は久留米が「OCT7」と書いていることが引っかかっていた。
気になっていた時点で、どうしてそう書くのかと問えばいいものの、藤巻は久留米を問い詰めることはない。久留米を信じ、彼女から話してくれることを待っていた気がする。久留米を信じていたからこそ、何か理由があると藤巻は考えたのではないだろうか。
そう思うと、藤巻が久留米に向ける信頼度が増せば増すほど、久留米が真犯人ではないことを祈るばかりだ。
◆久留米の運命はどうなる
久留米は第7話のラスト、郡司によって殺人球菌「ギフト」の入った注射器を押し付けられる。拳銃や刃物以外でも、そういう脅しができるのかと感心した。感心することではないのだが、注射器を使って人を脅す白鳥と郡司ペアの異常さに「普通に聞けないの?」と尋ねたくなってしまう。
久留米がそんな状況になったのは、久留米が「オクトセブン」を作った人物であるという疑いがあったからだ。藤巻は一生懸命に久留米を守ろうとする。その姿が、あまりにかっこよく、私には眩しく見えた。
久留米にもそう見えていたのかもしれない。秘密を抱えている自分を守ろうと、白鳥や郡司を止めようとする藤巻の姿に、久留米は覚悟を決めたように「オクトセブンを作ったのは私です」と告げる。
証拠はないが、藤巻も久留米が「オクトセブン」を作ったことに勘づいていた。しかし、久留米が人を殺すとは思えなかった。久留米が自分を信じてくれていたように藤巻も久留米を信じていたのではないだろうか。
その思いがひしひしと伝わり、私はあることにたどり着く。「オクトセブン」を作ったのは久留米だが、それを利用した人物がいる気がしている。
考察は得意ではないからその人物が誰なのかはわからない。でも、藤巻は久留米を守り、久留米を信じるならば私も彼女を最後まで信じたい。
新キャラクターも登場し、ますますおもしろさが増していく『グレイトギフト』。どんな結末を迎えることになるか、楽しみだ。