女優・山口まゆ、14歳から次々と話題作に出演。デビュー作で憧れだった吉瀬美智子の娘役に「失敗してもずっと付き合ってくれて」

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2014年に『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)でドラマに初出演し、2015年には映画『くちびるに歌を』(三木孝浩監督)でスクリーンデビューを飾った山口まゆさん。

同年、『コウノドリ』(TBS系)で中学2年生の妊婦役を演じて演技力の高さが話題に。『アイムホーム』(テレビ朝日系)、『相棒−劇場版IV−首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』(橋本一監督)、映画『樹海村』(清水崇監督)など多くのドラマ、映画に出演。

2024年3月16日(土)に主演映画『ブルーイマジン』(松林麗監督)が公開される山口まゆさんにインタビュー。

 

◆自分の意志で始めたクラシック・バレエ

東京で生まれ育った山口さんは、4歳からクラシック・バレエ、小学校1年生からはピアノも習いはじめたという。

――小さいときはどんなお子さんでした?

「わがままな子どもでしたね。わりと好き嫌いがはっきりしている子どもで、やりたいことはやる、やりたくないことはやらないという感じでした」

――4歳でバレエを習いはじめたのはご自身で?

「はい。バレエを習っていた友だちが、小さい公民館でやるような発表会に見に行って、やりたいと言って習いはじめた感じです」

――小さい頃からしっかりしていたのですね。

「どうなんでしょうね。でも、よく家の中で音楽をかけながら踊っている子で、親はそういう姿を見ていたので、『じゃあ、やってみる?』みたいな感じでした」

――ピアノを習いはじめたのは?

「ピアノは母親が習っていて、幼稚園とか保育園の先生だったので、ピアノが上手だったんです。それで、多分やりたいと言ったんだと思います」

――子役として活動することになったきっかけは?

「当時、子どもを集めてイベントを行う企画をいっぱいやっていた会社があったんです。『川釣りに行こうツアー』とか、『イルカに触れ合うツアー』とか、そういう夏休みツアーみたいな中に、『子役事務所の子役さんに会いに行こうツアー』みたいなのがあって。

それに応募して行ってみたら、体験みたいな感じで歌とかダンス、演技などを一通りやらせてくれて、お芝居が楽しいと思って、それがきっかけで子役事務所に入ることに。

もちろん舞台とかミュージカルを見て、やりたいと思ったときもあったのですが、本当のきっかけは、そんなツアーから始まりました(笑)」

――子役事務所に入ってすぐにお仕事をされていますね。

「そうですね。子役事務所にいたときは、エキストラとか、広告にチョコッと出たりしました。クラシック・バレエを習っていたので、衣装を着て舞台に立つことがすごく好きだったんです。だから、ミュージカルとかそっちの世界に憧れて、いつか舞台をやりたいと思っていました。

そのときはまだ遊び感覚で行っていて。怒られて『お前、明日から来るな!』って言われても、次の日はニッコニコ笑顔で行くような。『お前、骨太だな』って言われました(笑)」

――度胸があるというか、すごいですね。

「その頃は、怒られることがそんなに怖くなかったんですかね。すごい生意気だって言われていました(笑)」

――“優等生の良い子”というイメージがあるので意外ですね。

「全然良い子じゃないです。バレエをやっていたときも、先生に怒られたことを直さず勝手に帰ってきたりとか(笑)。何かそういう曲げない心みたいなのは、あまり変わってないかもしれないです」

――中学校に入るまで、わりとコンスタントにお仕事をされて。

「はい。中学に入ると環境も変わるし、いきなり学校を休みがちになるのもまずいかなと思って、子役事務所を辞めて中学生活をはじめることになりました」

※山口まゆプロフィル
2000年11月20日生まれ。東京都出身。『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)、『未来への10カウント』(テレビ朝日系)、『女神の教室〜リーガル青春白書〜』(フジテレビ系)、映画『僕に、会いたかった』(錦織良成監督)、映画『太陽の家』(権野元監督)、映画『下忍 赤い影』(山口義高監督)、映画『軍艦少年』(Yuki Saito監督)に出演。2024年3月16日(土)に主演映画『ブルーイマジン』の公開が控えている。

 

◆「もう一回やりたい!」という思いに

子役事務所を辞めて楽しく中学生活を送っていた山口さんだったが、演技のことが忘れられず、しだいに「もう一回やりたい!」と思うようになったという。

「中学1年生のときって多感で、友だちにすごく感化されたりとかいろいろあったんですけど、その中でもやっぱりドラマを見るのが好きで。離れてみるとやりたくなって。

『もう一回やりたいな』という思いが強くなったときに、母が気づいて『De☆View』という雑誌の読者限定誌上オーディションに応募してくれて、運良く合格して」

――いろんな事務所から声をかけられたそうですね。

「そうですね。子役のときに家の近所で『ハガネの女』(テレビ朝日系)というドラマの撮影をしていて、エキストラで3、4回出たことがあったのですが、ドラマとして『ハガネの女』が大好きだったんです。

そのときに間近で見ていたのが、主演の吉瀬(美智子)さんで大好きだったんです。それで、吉瀬さんがいる今の事務所のフラームに決めました。それが2014年で、14歳のときでした」

山口さんは、それからすぐに『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で吉瀬さんの娘役でデビューすることに。このドラマは、平日の昼間に夫以外の別の男性と恋に落ちる主婦のことを指す造語“平日昼顔妻”をテーマにした不倫を描いたもの。

山口さんは、ヒロインの紗和(上戸彩)が暮らす街に越してきたセレブ妻で、平日の午後3時から5時は、夫以外の相手とアバンチュールを楽しむ“平日昼顔妻”である母親(吉瀬美智子)に激しい怒りを抱えている娘・真菜を演じた。

「オーディションに受かって、一緒にやらせていただきました。不倫している母親に怒り狂わなきゃいけないシーンがあったんですけど、初めてのドラマだったので緊張しすぎちゃって20テイク以上吉瀬さんを付き合わせてしまったときがあって。

最後にコップを投げつけるところでは、コップを割っちゃって…(笑)。でも、それで何とかOKになりましたけど、本当に申し訳なくてすごくつらかったです。

何回もNGを出してしまって、『やばい、やばい、やばい!』と思いながらやっていたのですが、焦ると余計ドツボにハマッていく感じで。スタッフの皆さんの顔色も気になるし、『やばい、みんな疲れているぞ。どうしよう?』と思いながらやっていました」

――怒られました?

「怒られはしませんでしたけど、『もう1回、もう1回』の繰り返しでしたね。吉瀬さんもずっと見守って付き合ってくれて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

 

◆五島列島と東京で対照的な役柄に挑戦

山口さんは、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』でデビューして間もなく、映画『くちびるに歌を』に出演することに。この作品は、アンジェラ・アキさんの名曲『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』がモチーフ。

かつて天才ピアニストと称されていた柏木ユリ(新垣結衣)は、ある悲しい出来事がきっかけでピアノを弾けなくなってしまい傷心の日々を送っていた。そんなとき、故郷の長崎県・五島列島で教師をしている親友のハルコ(木村文乃)に、産休の間の代役を頼まれ、渋々ながら中学校の合唱部で顧問を務めることになり、ユリの止まっていた時間が動き出していく…という内容。

山口さんは、最初はあまりにぶっきらぼうで不機嫌なユリに反発する合唱部のメンバーをなだめてまとめようとする優等生・長谷川コトミ役を演じた。

「『くちびるに歌を』は、学校以外の居場所が初めてできたという感じですごくうれしかったです。年上の人ばかりでしたが、『くちびるに歌を』をやっていたときは、『何かこの仕事って楽しい!』っていう風にずっと感じていましたね(笑)」

――いいスタートでしたね。『昼顔』では母親に怒り、『くちびるに歌を』では優等生。対照的な役柄でした。

「はい。『くちびるに歌を』は、わりとかわいらしいキャラクターで贅沢な時間でした」

この映画では、山口さんとともに合唱部員として出演していた恒松祐里さん、葵わかなさん、杏花(旧・柴田杏花)さん、朝倉ふゆなさん、植田日向さん、高橋奈々さんの7人で期間限定ユニット「Lips!」を結成。配信限定シングルをリリースしたことも話題に。

「『Lips!』懐かしいです(笑)。いまだにみんな仲が良いんですよ、親戚みたいな感じです。約2カ月間、一緒に五島で撮影していましたし、キャンペーンで全国を回ったりしていたので。

島の方もすごくよくしてくれて、連絡を取り合っています。つい最近も島の方から、『東京に行くけど会える?』って連絡が来ました。本当にステキな仲間に出会わせていただいて良かったです。財産ですね」

――プロフィルを見ると、オーディションで勝ち取った作品が多いですね。

「いえいえ、結構落ちていましたね(笑)。最初の頃は何も考えていなくて、忖度も計算もなく、『やりたいです!』の一心だったから、その思いが伝わったんでしょうか。オーディションは、いっぱい受けてやらせてもらえてうれしかったです」

2015年には、オーディションを受けて『アイムホーム』の木村拓哉さんの娘役を演じることに。

そして同年、ターニングポイントとなったドラマ『コウノドリ』に出演。中学2年生で妊娠、出産する難役に挑み注目を集める。次回はその撮影エピソードも紹介。(津島令子)

ヘアメイク:美樹(Three PEACE)
スタイリスト:梅田一秀