タイヤ交換後の盗難車(写真は、タイヤショップS.C.I提供)

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盗難車タイヤを交換しようと店に来て、警察官が立ち寄ったのに気づくとドライバーが逃げる、という珍事が起きた。この顛末について、店がX上で報告して話題になっている。

事案の舞台になったのは、「タイヤショップS.C.I」(水戸市)だ。店長が2024年2月13日、J-CASTニュースの取材に対し、当時の状況を語った。

タイヤ交換代もらってないので大赤字です」

店の公式Xでは2月11日、前日の10日に店内で起こった騒ぎについて、盗難車の写真付きで明かした。

タイヤ交換代もらってないので大赤字です」としながらも、交換したタイヤで車の持ち主に戻るならよしとしたいと告白した。この投稿は、大きな話題になって、6000件以上の「いいね!」が押されている。

投稿内容や店長が13日に取材に答えたところによると、10日の16時ぐらいに、30代半ばぐらいの男がトヨタの白いミニバン「アルファード」を運転して店に来た。助手席には、20歳前後の女性が乗っていた。

この男は、身長が180センチぐらいで、サングラスをかけていた。店では、中古タイヤを買ってスタッフに交換してもらった。別にタイヤ付きホイールも持ってきて、店がタイヤを抜く作業をしたという。工賃も含めて、総額1万5000円だった。

そして、その間に、水戸署員2人がパトカーで来て、店に寄った。車が偽造ナンバーだったため、その場で男を職務質問した。

署員は、男に免許証を見せるように言い、男が渡して署員がメモした。すると、男は、女性とともに店の前の道路を歩いて逃げていった。

犯罪の事実確認ができていないためか、署員は、道路脇に立って2人が目の前を歩いていくのを止めずに見ていたという。もう1人の署員は、パトカーの中にいた。署員が来てから、15分間ぐらいのことだった。店長が後で署員に聞くと、免許証も偽造だったという。

車は盗難車だと判明したといい、レッカー車が来て、水戸署に運んで行った。車の持ち主とは連絡が取れたと、その後に署員に言われたという。

半年ほど前から計5回店に来て、いくつかの不審点があった

実は、この男は、半年ぐらい前から計5回、この店に来ていたという。

店によると、男は以前、トヨタのハイブリッド車「プリウス」を運転して来て、タイヤ交換をしたこともあった。中古のタイヤとホイールのセットも持ってきたりして、店が4回買い取ったという。そのたびに、店では、男の免許証や保険証を確認していた。

店長は、男が1月に店に来たときに、不審な点に気づいた。

「客がアルファードを買うと言った翌日には、もう乗って来たことです。店でタイヤとホイールの交換をしましたが、リアのトランクを開けたままで車のナンバーを見せない行為にも見えました。また、スタッフは、エンジンをかけたままの作業を求められ、車のカギがないまま帰ったこともおかしいと思いました」

車の盗難では、何らかの道具でエンジンをかける行為を聞くため、そのことが疑われたほどだったという。

盗難車持ち込みがあったときの様子は、防犯カメラに映像として残っており、水戸署に提出したことを明らかにした。この車のタイヤ交換でかかった費用1万5000円については、被害届を出すかまだ考えているとした。

今回のX投稿について、茨城県警の水戸署は2月13日、取材に対し、同店を警察官が訪れる出動があったことは認めた。詳細については、広報していない個別事案だとして、答えられないとしている。

J-CASTニュース編集部 野口博之)