2023年はマーケットの上昇にもかかわらずIPOに逆風!EY、調査結果を発表

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EYは、2023年第4四半期のIPOに関する調査結果を発表した。世界のIPO市場は1,298件のIPOで総額1,232億米ドルを調達し、2023年の幕を閉じた。全体として、欧米市場のセンチメント改善が中国経済の冷え込みを相殺する中、発展途上市場の小型ディールの熱気と大型ディールの精彩のなさが対照的となる、市場ダイナミクスの転換に直面した一年となった。

2023年のIPOの調達額は、昨年の低調なペースと比べても約3分の1、遅れているが、件数は米国とEMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)の両方で増加している。これらを含む調査結果は、EYのレポート EY Global IPO Trends 2023※で公表している。
※ EY Global IPO Trends 2023
https://www.ey.com/en_gl/ipo/trends

データが示すポジティブな経済状況を背景に、市場が力強く上昇しボラティリティ指数が低水準にあるにもかかわらず、公募増資は、米国の9月の短期的な動きを除いて、多くの先進国市場で低調に推移している。ここ2年間にわたるIPOの停滞の後、IPO発行者と投資家は市場の上昇に乗ろうと躍起になっていたが、注目度の高いIPOが次々と上場後に売り出し価格割れし、市場心理に影響を与えた9月以降、この熱意は冷めた。マクロの不確実性に直面した株式投資家がメガテクノロジー株に固執したことも新規上場意欲を減退させた一因だ。極めて積極的な金融政策もIPOに影響を与える主要因となり、株式市場全体のパフォーマンスを上回る影響力を持った。

5年平均のIPO活動との比較では、注目すべき点として、インドネシア、マレーシア、トルコで件数と調達額が増え、インド、サウジアラビア、タイでは件数が増加した。対照的に、香港のIPO市場は今年の調達額が20年ぶりの低水準となり、中国本土のIPO発行ペースは2023年後半に鈍化した。

今年は製造業セクターと消費財セクターがポジティブな動きを見せ、特に製造業セクターは件数が最も多く、消費財セクターは件数と調達額の両方で増加した唯一のセクターだった。一方で、テクノロジーセクターは、米国で注目されたハイテクIPOに対する投資家の反応が今ひとつだったことや、生成AIのスタートアップがまだベンチャーキャピタルの投資段階にあることから、引き続き件数は減少傾向だが、調達額の面では、2023年のIPOをリードした。

また、ヘルス&ライフサイエンスセクターは、件数と調達額が大幅に減少しており、特に中国本土と米国でその影響が顕著に現れている。このセクターでのプライベート・エクイティとベンチャーキャピタルの支援を受ける企業の数は2021年以来78%減少した。セクター別のIPOトレンドは、世界経済とサプライチェーンのダイナミクスの変化を反映しており、セクター間で新たな勝者と敗者が生まれていることを示している。しかし、ファンダメンタルズの強さが依然として全体を押し上げていることに変わりはない。

■エリア別パフォーマンスの概要: 2023年は各エリアが予想しなかった結果に
2023年の米国のIPOは、2022年比で15%増加しましたが、注目度の高いディールがいくつかあったため、調達額は2022年の約3倍に跳ね上がった。合計で153件が227億米ドルを調達し、そのうち85%以上が米国取引所に上場した。5億米ドル以上を調達したディールは、2023年には7件あり、2022年の4件から増加したが、米国取引所におけるIPO活動は引き続き小規模ディールが中心となっている。

ブラジルのIPO市場は、情勢不安の中、上場のない期間が2年を超え、過去20年で最も長い不毛の期間を記録した。カナダの主要取引所では、2022年と2023年のIPOはそれぞれ1件のみで、このレベルのIPO活動は、過去20年でこの取引所では前例のないものです。Americas(北米・中米・南米)では、IPO取引の低調、金利上昇、地政学的懸念が、公開市場への参入を目指す企業にとって厳しい資本調達の環境を生み出している。