2023年の日本はWBC優勝に始まり、バスケのW杯では48年ぶりに自力での五輪出場権を獲得、ラグビーのW杯でも奮闘を見せた。様々な世界大会が行なわれ、スポーツ界は大いなる盛り上がりを見せた。そんななか、スポルティーバではどんな記事が多くの方に読まれたのか。昨年、反響の大きかった人気記事を再公開します(2023年3月20日配信)。

※記事内容は配信日当時のものになります。

 大谷翔平、ダルビッシュ有、さらに侍ジャパン初の日系人選手、ラーズ・ヌートバーらの活躍により、日本中を熱狂の渦に巻き込んでいる第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。そんな彼らの活躍を見るたびに思うのが、もし昔からWBCがあったならどんな選手が選ばれているのかということだ。そこで、今から40年前の1983年にWBCがあったらと仮定して、独断と偏見で"最強ジャパン"をつくってみた。


独断と偏見で選出した40年前の侍ジャパンメンバー illustration by @StyleT841

先発三本柱/江川卓(巨人)、北別府学(広島)、山田久志(阪急)

 エースは、メジャーの強打者相手にもストレートで勝負できる江川卓。わかっていても打たれない快速球を武器に、1982年は19勝を挙げる活躍を見せた。その江川を抑えて82年の沢村賞に輝いたのが、 "精密機械"と評される抜群の制球力で20勝を挙げた北別府学だ。なかでもスライダーの出し入れは絶品で、メジャーの強打者もそのキレとコントロールのよさに面喰らうことだろう。

 そしてもうひとり、絶対に入れるべき投手が山田久志。日本球界最高の"サブマリン"と評され、通算284勝をマークしたレジェンド。日本の国際大会の歴史を振り返ると、サブマリン投手の活躍は必要不可欠である。アンダースローから140キロを超すストレートを投げるピッチャーは当時でも稀で、山田がメジャーリーガーを相手に手玉にとる姿は容易に想像がつく。

 ほかにも、伝家の宝刀であるシュートを武器に江川とともに巨人先発陣を支えた西本聖、左腕ではダイナミックなフォームからキレのいいストレートを投げ込む大野豊(広島)も先発候補としてメンバーに入れておきたい。

抑え・江夏豊(日本ハム)

 当時はクローザーという概念が定着しておらず、今のように勝ち試合の1イニング限定で投げる投手は皆無だった。そんななか、現役晩年はリリーフ投手として"優勝請負人"の異名をとった江夏豊は稀有な存在。全盛期のスピードこそないものの、卓越した制球力と投球術は健在で、日本代表の守護神として大車輪の活躍を見せてくれることだろう。

1番・センター/福本豊(阪急)

 すでに全盛期は過ぎていたとはいえ、リードオフマンは「世界の盗塁王」をおいてほかにない。身長170センチに満たない小柄な体から約1キロの"ツチノコバット"を自在に操り、ツボにくれば一発もある。そして塁に出ればすかさず盗塁を決め、あっという間にチャンスをつくる。その「忍者」のような動きに、外国人選手はショックを受けるだろう。

2番・ライト/田尾安志(中日)

 構えたバットをグルグル回してタイミングをとり、右に左に安打を連発。1982年から3年連続してセ・リーグのシーズン最多安打を記録するなど、あのイチローも少年時代に憧れた球界屈指の「安打製造機」。福本との1、2番コンビは世界の野球ファンを驚かせるに違いない。

3番・ファースト/落合博満

 現役時代、3度の三冠王を成し遂げた落合だが、初めて達成したのが1982年、28歳の時だった。独特の"神主打法"から抜群のバットコントロールで、ライト方向にも長打を打てるのが最大の特徴。長打力に勝負強さを兼ね備えた最強打者で、そのバッティングを見たメジャー関係者がどんな評価を下したのか。

4番・DH/門田博光(南海)

 チームの顔である4番には、日本プロ野球歴代3位の567本塁打を放った門田に託したい。身長170センチの小さい体から、豪快なフルスイングでホームランを量産するシーンは爽快。パ・リーグの好投手たちを次々と打ち砕いてきた打棒が、世界でも通用するのか、それだけでも興味がわく。

5番・レフト/山本浩二(広島)

 5番は「ミスター赤ヘル」の愛称で親しまれた山本浩二。1977年から5年連続40本塁打以上をマークした日本球界を代表する長距離砲で、選球眼もよく高い出塁率を誇った。また、72年から10年連続してダイヤモンドグラブ賞(現在のゴールデングラブ賞)を獲得するなど守備にも定評があり、攻守でチームを支えてくれる存在だ。

6番・サード/掛布雅之(阪神)

 サードは衣笠祥雄(広島)や中畑清(巨人)をはじめ、田代富雄(大洋)、有藤道世(ロッテ)など、チームの顔というべき選手が揃うが、1982年に本塁打王を獲得し、「ミスタータイガース」として人気を博した掛布雅之で決まり。江川卓の快速球をライトスタンドに軽々と放り込んだバッティングは、メジャーの速球派にも通用するはず。

7番・セカンド/篠塚利夫(巨人)

 巧みなバットコントロールで首位打者2回、シーズン3割以上7回を記録した巧打者。本来なら上位で起用したいほどの選手だが、篠塚が7番を打つところに、このチームの豪華さが伝わる。また華麗なセカンドの守備も魅力で、巨人時代は幾度となくチームのピンチを救った。

8番・キャッチャー/中尾孝義(中日)

 この頃、どのチームもキャッチャーのポジションは過渡期にあり、絶対的な存在のいないなか、中日の正捕手として台頭してきたのが中尾孝義。1982年は打率.282、18本塁打、47打点の打棒と、盗塁阻止率.429の強肩を発揮し、セ・リーグの捕手として史上初となるシーズンMVPを獲得した。

9番・ショート/石毛宏典(西武)

 ルーキーイヤーの1981年から西武の正遊撃手として活躍し、打率.311を残して新人王を受賞。守備でもゴールデングラブ賞を10回獲得するなど、球界を代表する遊撃手になった。以降も安定した成績はもちろん、明るいキャラクターで西武黄金時代の絶対的リーダーとしてチームを支えた。