韓国のウォン・テイン【写真:中戸川知世】

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23歳の右腕ウォン・テインの夢は日本プロ野球でのプレー

 昨年11月に行われた「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で、韓国代表の一員としてプレーしたウォン・テイン投手(サムスン)の夢は日本のプロ野球でプレーすることだという。イ・ジョンフ外野手(ジャイアンツ)、コ・ウソク投手(パドレス)と米大リーグ入りが相次ぐ時代に、なぜこのような考えに至ったのか。韓国代表のエース候補とも見られている23歳と、日本人コーチの絆とは。

 韓国メディア「エックスポーツニュース」のインタビューに答えたもの。ウォン・テインは高卒後2019年にサムスン入りし、1年目から1軍26試合に登板した。その後先発の柱に成長し、2021年には14勝7敗、防御率3.06。ここまで5年間で132試合に投げ通算41勝40敗2ホールドの成績を残した23歳の右腕だ。韓国代表でも2021年に行われた東京五輪、昨年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などでプレー。将来的なエース候補という見方もある。

 ただ、今すぐ日本に行ってみたいというわけではない。ウォン・テインは「今の私では、韓国でも1番になれないことは分かっています。韓国で更に成長しなければならない」「ここでより良い選手になって“資格”を得た時に、日本球界のドアを叩いてみたい」と、地に足の着いた発言をしている。

 この考え方に影響を与えたのが、日本人指導者との出会いだった。今季、中日2軍で投手兼育成コーチを務める落合英二氏は韓国での指導歴が長く、ウォン・テインは2021年まで1軍投手コーチや2軍監督として指導を受けた。

 ウォン・テインは「落合監督と3年間一緒に野球をして、日本でのプレーについても色々聞きました。色々な話をしてくださって、夢がさらに大きくなった」と感謝する一方で「ただ、監督は私に『今の実力なら日本には来られないよ』と厳しい言葉を下さった」「監督はその後『お前の可能性を見れば、十分にやれる。本当に日本プロ野球に来たければ、安住せずに続けて成長できる選手になりなさい』と話してくださった」と、潜在能力を信じ、伸ばしてくれた指導に感謝している。

 さらに、2021年のオフに落合監督がチームを去る時のあいさつでも「俺はお前の目標を知っているからたくさんの助けを与えた。一生懸命やりなさい」と言葉をかけられたのだという。今も、落合コーチの言葉は毎日の支えになっている。「監督のおっしゃる通り、毎日最善を尽くして努力中です」。いつかNPBのユニホームを着る日は、訪れるだろうか。

(THE ANSWER編集部)