井上尚弥は「米国で正しく認識されず不公平だ」 3人の年間MVP論争で“過小評価”を米記者指摘
米誌スポーツ・イラストレイテッドが年間最優秀選手争いを紹介
26日に東京・有明アリーナで行われたボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一戦12回戦は、WBC&WBO王者・井上尚弥(大橋)がWBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回1分2秒KO勝ち。米メディアの間ではウェルター級4団体統一王者テレンス・クロフォード(米国)との年間最優秀選手争いがクローズアップされているが、米紙はデビン・ヘイニー(米国)を含めた有力候補3人について改めて評価している。
米誌「スポーツ・イラストレイテッド」公式YouTubeチャンネルは「年間最優秀選手は? テレンス・クロフォード、デビン・ヘイニー、ナオヤ・イノウエ?」とのタイトルで動画を公開。クロフォード、ヘイニー、井上という有力候補3人に対し、同誌の記者たちの見解を紹介した。
クロフォードについて語ったのは、グレッグ・ビショップ記者。今年戦ったのは7月の1試合だが、エロール・スペンスJr.(米国)とのパウンド・フォー・パウンド(PFP)上位対決で9回TKOと完勝した。同記者は「生観戦であんなパフォーマンスは見たことがない、ということ。パッキャオ―コット戦、パッキャオ―ハットン戦、メイウェザーの何試合かよりも上だった」とし、過去の名手たちの試合を凌ぐレベルと大絶賛だ。
「長年テレンス・クロフォードを特別な選手にしてきた圧倒的強さと芸術性がエロール・スペンス相手に全て示されていたと思う」とビショップ記者。さらにクリス・マニックス記者も「テレンス・クロフォードが2023年に最高の勝利を収めたことには議論の余地はないと思う」と言葉を重ねた。
4団体統一の井上は「ほとんどの試合を日本で行うために…」
ヘイニーは今年2試合とも判定勝ちだったが、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)戦でライト級4団体を防衛し、12月に転級したWBC世界スーパーライト級タイトルマッチでレジス・プログレイス(米国)相手に2階級制覇を達成した。
マニックス記者は「デビン・ヘイニーは2023年に2度の素晴らしい勝利を収めた。4団体統一王者としてロマチェンコとの防衛戦に勝利した。ロマが勝利したという人もいるだろうが、優れたボクサー2人がリングに立てば接戦になるものだ」とし、「ヘイニーは次に転級初戦で、私がその階級最強だと思っていたレジス・プログレイスに勝利するだけでなく圧倒して見せた。完璧なパフォーマンスだった」と評価した。
そして、7月にスーパーバンタム級初戦のスティーブン・フルトン(米国)戦で4階級制覇を達成し、先日のタパレス戦でわずか5か月で2階級4団体統一を達成した井上。マニックス記者は「イノウエはフルトンを完全に圧倒した。2023年で2番目に感銘を受ける勝利だった。マーロン・タパレスをKOして4団体統一。この階級最高の選手を2試合でなぎ倒して行った」とクロフォード―スペンスJr.戦に次ぐインパクトと称した。
ビショップ記者も「フルトン戦を見直したけど、信じられなかった。ほとんどの試合を日本で行うために素晴らしさが米国で正しく認識されていないことはイノウエにとって不公平な気がしてしまう」と“過小評価”されやすいことを指摘した上で、その価値を訴えた。いずれにしても、今年のボクシング界を代表する3人。その一角に井上がいることは改めてモンスターの高い評価と言えるだろう。
(THE ANSWER編集部)