米OpenAIは11月17日(現地時間)、サム・アルトマン(Sam Altman)氏がCEO(最高経営責任者)および取締役を退任することを発表した。アルトマン氏は同社を退社する。CTO(最高技術責任者)のミラ・ムラティ(Mira Murati)氏が暫定CEOを務め、新たな常任CEOを探す。

退任の理由について同社は、アルトマン氏が取締役会とのコミュニケーションで一貫して率直さを欠き、取締役会の責任遂行を妨げていたと説明。取締役会は評価プロセスを通じて、「今後もOpenAIを率いていく能力に確信を持てないと判断した」としており、アルトマン氏の退任は事実上の解任とみられている。

サム・アルトマン氏、11月6日に開発者カンファレンス「OpenAI DevDay」のキーノートで「GPT-4 Turbo」や「GPTs」を発表

退任発表後に、アルトマン氏はXを通じて、「オープンAIで過ごした時間をいとおしく思っている。私にとって変革であり、そして世界にとっても少しでもそうであったと願う」と述べ、さらに「次については、後日話します」というメッセージを残した。

OpenAIはまた、共同創業者でプレジデントのグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏が取締役会長を退任することも発表した。当初はプレジデントにとどまるとされていたが、ブロックマン氏がXへの投稿で自身も退社することを明かした。アルトマン氏退任のニュースを受け、OpenAIを去る決断をしたと述べている。

OpenAIの取締役会は、OpenAIのチーフ・サイエンティストであるイリヤ・サツキバー(Ilya Sutskever)氏、Quora(CEO)のアダム・ダンジェロ(Adam D’Angelo)氏、テクノロジー起業家のターシャ・マコーリー(Tasha McCauley)氏、Georgetown Center for Security and Emerging Technologyのヘレン・トナー(Helen Toner)氏で構成されている。

OpenAIは、2015年にサツキバー氏、ブロックマン氏、トレバー・ブラックウェル(Trevor Blackwell)氏、ヴォイチェフ・ザレンバ(Wojciech Zaremba)氏らが、アルトマン氏やイーロン・マスク(Eron Musk)氏とともに設立。当初は非営利の研究組織だったが、研究成果を事業化するために、2019年に利益上限(capped profit)付きモデルを採用した営利法人を設立。Microsoftとのパートナーシップが大きな転機となり、昨年末に公開した対話AI「ChatGPT」が大きな注目を集め、その技術がMicrosoftの検索サービス「Bing」にも統合され、2023年に急速な成長を遂げている。アルトマン氏はCEOとして、OpenAIの重要な企業提携で主要な窓口を務めていた。