Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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静岡・駿河湾特産サクラエビの秋漁が解禁され、11月2日朝、初競りが行われました。記録的な猛暑の影響で、初日の水揚げ量は“低調”でしたが、関係者は「水温が下がれば水揚げ量が増えるのでは」と今後に期待しています。

毎年春と秋の2回、国内では駿河湾のみで水揚げされる「サクラエビ」。1日、秋漁が解禁され、由比港では漁を終えた船からサクラエビが入ったケースが水揚げされました。初日の水揚げ量は約1.1トンで、2022年に比べ3分の1ほどにとどまりました。

近年、不漁が続くサクラエビ。漁業組合では、産卵前の体長35ミリ以下のサクラエビを保護するため、主な産卵場所である「駿河湾の奥」については、試験操業で、産卵を終えた体長35ミリ以上のサクラエビが半分以下だった場合は、漁を行わない“自主規制”をする方針です。そして、迎えた2日 朝の初競り。

(佐野 巧 記者)
「午前5時半すぎです。サクラエビの秋漁の初競りを前に多くの仲買人が集まっています」

初競りを前にサクラエビの状態を確認した仲買人は…。

(仲買人)
「初日だが取れなかった。期待外れみたいなところもある」「春に桜えびまつりもやれたので秋も期待していた。これから一生懸命探して、たくさん獲れればと思う」「夏の産卵状況などから、エビが大きくなると思う。加工業者としても、今後、水揚げが増えることを期待している」

初日の平均取引価格は、1ケース15キロあたり8万6790円で、水揚げ量が少なかったこともあり、最高値は2022年より約1万8000円高い9万110円でした。

(仲買人)
「買えませんでした、仕方ない。需要量にこの供給量なので」「とにかく漁獲量が増えるのといいエビが取れるのを願っている」

“低調”なスタートになったことについて、漁協の関係者は…。

(由比港漁業協同組合 大石 達也 専務理事)
「夏場の猛暑から水温が適温になっていない、サクラエビが密集しなかったという感じがあった」

この夏の“記録的な猛暑”の影響で海水温が下がらず、深海に生息するサクラエビが海面付近に上がってこなかったことが原因ではないか、ということです。

(県桜えび漁業組合 実石 正則 組合長)
「これからそれなりの天候になれば徐々に増えてくる。秋は毎年、資源が多い時でもこういうときはあった」「広い範囲で試験操業できて、いろんなところに群れができている。エビは小型が多いが、うまく世代交代ができたと思う。期待している」

一方、由比港近くの飲食店では、水揚げされたサクラエビがさっそく提供され、多くの人が味わっていました。

(富士市から来た人)
「きのう解禁という話を聞いた。やっぱりおいしいです、新鮮さが違います。産地だから」

(千葉県から来た人)
「毎年楽しみに来ている。ここに来ないと生のサクラエビは食べられないので魅力的」

(ごはん屋さくら 伊藤 忠雅 店主)
「きょうのサクラエビはお刺身でよし、かき揚げでよし、非常に良いサイズ、ぜひご賞味ください」

「資源管理」と「継続的な漁業」の両立を目指すサクラエビ。秋漁は12月25日まで行われる予定です。

低調なスタートとなったサクラエビですが、2023年は“復活の兆し”もみえています。サクラエビは2017年、年間1100トンあまりが水揚げされましたが、2018年は312トンに激減しました。その後も記録的な不漁が続いていましたが、2022年は384トンを記録。さらに、2023年は、春漁だけで309トンが水揚げされ、漁業組合が漁の自主規制を行った“成果”が出始めていました。しかし、秋漁の初日の水揚げ量は1.1トンで、2022年の3分の1ほどにとどまりました。その理由について漁協の関係者は「長引く猛暑で海水温が下がらなかったため、深海に生息するサクラエビが海面付近まで上がってこなかったのでは」と話していて、海水温が下がる今後に期待しています。