2023年、スマホ市場に異変が生じています。国内スマホメーカーの撤退が相次ぐ一方で、グーグルは自社開発のPixelシリーズを国内3キャリアで展開するなど、攻勢を強めています。

 

そんななかで、存在感を高めているのが中国メーカーです。Xiaomi Japan、OPPO、Lenovoグループの最新の動向をまとめました。

 

国内メーカー不在の空白地帯を攻めるXiaomi。auではテレビも販売

Xiaomi Japan(シャオミ)は9月27日、日本向け新製品を発表しました。スマホは準ハイエンドの「Xiaomi 13T」シリーズと、お手頃価格のミッドレンジモデル「Redmi 12 5G」の2つのシリーズです。国内の携帯キャリア(MNO)向けと、オープンマーケットモデル(MVNO向け)の2種類を投入します。

 

・Xiaomi 13T Pro 5G――ソフトバンク向け、オープンマーケット版

・Xiaomi 13T 5G――au/UQ mobile向け、オープンマーケット版

・Redmi 12 5G――au/UQ mobile向け、オープンマーケット版

 

いずれのモデルもおサイフケータイに対応する日本仕様。一方で、Xiaomi 13Tシリーズは、海外版でレンズメーカーのLeicaとコラボしていましたが、日本向けモデルではコラボ無しになっています。

↑Xiaomi 13T Pro。カメラや急速充電が特徴です

 

携帯キャリアとの協力体制をしっかりと整えているのもポイントです。ソフトバンクとは、Xiaomi 13T Proの急速充電を「神ジューデンスマホ」といううたい文句でアピールしています。

 

また、KDDI(au)では、スマホのXiaomi 13Tだけでなく、日本初投入となるスマートテレビなどの取り扱いも表明しています。Xiaomiのスマートテレビは日本で初投入となる製品で、auショップや量販店のauコーナーで販売するとのこと。

↑Xiaomiとしては日本初投入となるスマートテレビを発表。au Shopの店頭で販売されます

 

Xiaomiの日本市場参入は2020年と遅めですが、3年が経過した今は、おサイフケータイなどの日本向け仕様にもしっかり対応し、大手キャリア2社での取り扱いも実現しています。カメラや急速充電といった明確な特徴がありながらも、価格は控えめというコスパの良さを武器に、国内メーカー不在の空白地帯に攻勢をかけています。

 

OPPOは「戦略変更」した新スマホを投入

オウガ・ジャパン(OPPO)は9月28日、日本向けの新スマートフォン「OPPO Reno 10 Pro 5G」を発表しました。特徴は、手触りにこだわったデザイン性の高さと、4眼にソニー製センサーを採用した高品質なカメラ、そして、28分でフル充電できる急速充電機能です。ソフトバンクはXiaomiと並ぶ「神ジューデンスマホ」としてOPPO Reno 10 Pro 5Gを取り扱います。

↑OPPO Reno 10 Pro 5G

 

OPPOの発表会の注目点は、「製品ポートフォリオ戦略を変更」が宣言されたことです。OPPOは日本向けにここ2年ほど高性能モデルを投入せず、お手頃価格なスマホのみを販売してきました。最上位モデルは2020年の「Find X2 Pro」が最後で、投入からすでに3年が経過しています。そんななかで、ミドルハイに位置づけられるOPPO Reno 10 Pro 5Gが登場したわけです。

 

ただし、OPPO Reno 10 Proはここ2年のOPPOの日本向けスマホに比べると性能は高めですが、同じ価格帯の他社製品と比べると、性能では見劣りしがちです。ボディの質感や手触りの良さなど、スペックシートには現れない部分を強化したスマホという印象も受けます。

↑OPPO Reno 10 Proのグロッシーパープル(真ん中)はツヤ感のある光沢仕上げ。「OPPO Glow」という背面加工技術を取り入れたシルバーグレー(右)は、柔らかな手触りで指紋が付きづらい仕上げです

 

なお、最上位モデルの投入計画について、オウガ・ジャパンの河野謙三専務は「ハイエンドモデル投入の計画はあるが、どの製品からどのタイミングで出すかは決まっていない」とコメントしています。OPPOブランドは海外ではFindシリーズの最新モデルFind X5のほか、折りたたみ型のFind N3 Flipも発売しています。日本向けの折りたたみスマホの投入も期待したいところです。

 

FCNTがLenovo傘下に。「日本製スマホ」はどうなる?

5月末に民事再生法を申請したFCNTは、Lenovoグループの傘下で再出発することになりました。FCNTはもともと富士通の携帯電話事業から独立した企業で「arrows」や「らくらくスマートフォン」などの耐衝撃に強いスマホで知られています。

↑富士通グループの携帯電話事業の流れを組む「FCNT」がLenovo傘下で再出発します

 

FCNTのスマホ事業はPC大手の中国Lenovoグループが100%出資する新会社のFCNT合同会社に移管が完了。10月1日に事業運営を開始しました。

 

Lenovoは中国でLenovoブランドのスマートフォンを展開しており、また米国や南米市場に強いスマホメーカー「Motorola(モトローラ)」も傘下に収めています。日本市場で認知度の高いFCNTのブランドが加わることで、日本市場への浸透を図る狙いがありそうです。

↑モトローラは日本向けに折りたたみスマホ「Motorola razr 40 ultra」を投入しています

 

この買収で気になるのが「日本製スマホ」の今後です。FCNTは従来、「日本製スマホ」を訴求点のひとつとしていました。経営破綻後、このスマホ工場を運営するJEMS社は、京セラなどが出資するファンドが経営を引き継いでおり、新生FCNT合同会社との資本関係はなくなっています。

 

経営の合理化を考えるなら、FCNTがJEMSへの製造委託を終了し、Lenovoグループの工場での製造に切り替える可能性もあります。一方で、「日本製のarrows」を売りにしていた経緯があるため、工場の海外移転はブランド戦略の大きな変更となりそうです。

 

この点について、FCNT広報に質問したところ、「事業戦略とひもづく施策は、まさに協議を進めているところです。今後、事業が安定かつ継続的に発展させていくために、FCNT社内及び、レノボのモバイルビジネスグループ内や、アジアパシフィックでの地域での協議や検討を現在すすめています」という回答を得ました。こちらも今後の舵取りに注目したいところです。

 

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