こちらは「おおぐま座」(大熊座)の方向約4億5000万光年先にある棒渦巻銀河「LEDA 83465」(右上)と楕円銀河「NGC 3558」(左下)です。LEDA 83465は2本の渦巻腕(渦状腕)の形状によって四角形に見えており、円形に見えるNGC 3558との対比が面白い組み合わせです。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された棒渦巻銀河「LEDA 83465」(右上)と楕円銀河「NGC 3558」(左下)(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. West)】


画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、2つの銀河は約15万光年程度しか離れていないといいます。私たちが住む天の川銀河の円盤部の直径が約10万光年、お隣の渦巻銀河「アンドロメダ銀河(M31)」までの距離が約250万光年とされていることを考えれば、LEDA 83465とNGC 3558がいかに接近しているかがわかります。


ESAによると、2つの銀河がこれほどまでに接近しているのは「Abell 1185(エイベル1185)」という銀河団に属しているから。銀河団とは数百〜数千の銀河からなる巨大な天体のことで、Abell 1185では重力を介して相互作用する大小様々な銀河が直径100万光年ほどの範囲に集まって混雑しているといいます。


銀河どうしが相互作用すると片方の銀河が引き裂かれたり、2つの銀河が衝突・合体して1つの銀河が誕生したりすることもあります。画像に写る左下のNGC 3558はそのような状況にはないように見えますが、過去に右上のLEDA 83465のような比較的小さな銀河を飲み込んだことで、現在観測されているような姿になったと考えられています。


この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。ハッブル宇宙望遠鏡によるLEDA 83465とNGC 3558の観測は、Abell 1185における星形成の研究を目的とした調査の一環として2022年11月に実施されたということです。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の“今週の画像”として、ESAから2023年10月9日付で公開されています。


 


Source


ESA/Hubble - LINER on collision course

文/sorae編集部