漫画家や、ロックバンドのベーシストなど、多彩な顔を持つ劔樹人(つるぎ・みきと)さん。

インスタグラムで連載していたホラー漫画をまとめた新刊、『怪のリディム』(扶桑社刊)が発売され、話題です。劒さんといえば、2014年にエッセイストでコメンテーターの犬山紙子さんとの結婚を機に兼業主夫になったことでも知られています。子どもの世話のほか幅広い家事をメインでこなす劔さんのリアルな暮らしについて語ってくれました。

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娘の成長を感じながら過ごした夏休み

――劔さんといえば、数年前、長野の実家に娘と2人きりで新幹線で帰省中、誘拐犯と間違えられて通報されてしまったというエピソードがSNSで話題になりましたね。

劔さん:最近なぜかその話題を蒸し返されることが増えましたね。この間、娘の友達から突然「昔、新幹線で捕まったんでしょ?」と言われたので、徐々に子どもたちに認識され始めてきていますね。あの経験が僕にとっての「ヒット作」になったように思います(笑)。

――そんな娘さんは今、小学1年生なんですね。

劒さん:はい。少し前まで夏休みだったのですが、小学校が休みで学童は昼からなので、午前中は家で過ごしていました。妻は地方のレギュラー番組を抱えていることが多いので、2人で遊ぶことが多いですね。

――夏休み、親子で楽しんだことはありましたか?

劒さん:一緒に絵を描くことが多かったです。雑貨屋さんで買った200〜300円の小さいキャンバスにアクリル絵の具を使って。ときには娘の友達も呼んで、みんなで一緒に描きました。

――お仕事で漫画を描いているご両親の影響でしょうか…? 1年生とは思えないクオリティの高さですね。

劒さん:娘は、小さい頃から絵を描くのが好きです。この間は、お友達と一緒にTシャツに絵を描いて楽しんでいましたよ。妻と話しているのは、子どもの感性が伸びることをどんどんやってもらいたいってことですね。

●主夫を悩ませる、毎日の食事事情

――食事など考えるのは日々大変ではないのでしょうか?

劒さん:わが家は『ホットクック』を導入しています。その理由は、どうやら娘が、外で「お母さんがつくる料理、なにが好き?」と聞かれて「ふりかけご飯!」って答えちゃったことがありまして…。もしも、「お父さんがつくる料理、なにが好き?」と聞かれたら答えが違ったと思うのですが、世の中、だいたいお母さんが料理するわけだから、そんな質問はないんですよね。で、それを聞いたうちの妻がちょっと考えてしまって…。急に思い立って、ホットクックを購入することにしました。

――その名の通り、ほったらかしでいいし、難しい火加減とかいらないからラクですよね。コンロを使わないから夏、暑くないのでピッタリじゃないですか?

劒さん:そうそうそう。入れておくだけで半熟卵もつくれるし、本当ラクですね。この間は豚のチャーシューをつくりました。じつは、僕はあまり料理の手際がよくなくって、おかず数品を同時並行でつくるのが苦手なんです。だから、一品はホットクックにお任せできるので、食事づくりの作業がラクになりました。

――劒さんは兼業主夫になるまでは、それほど料理に興味なかったと耳にしましたが、今はどのように料理スキルを磨いていますか?

劔さん:僕は大体クックパッドの組み合わせです。妻からのリクエストからヒントをもらって、クックパッドをいくつか見て、ベストレシピを編み出す感じです。

――“夕飯、なに食べたい?”と聞いて、家族に“なんでもいい“と言われると迷いますけど、リクエストがあるとつくりやすい部分もありますよね。
劒さん:妻のリクエストには応えられるようにしていますね。割とチャレンジ精神はある方なんです(笑)。

――ほかに、スキルアップした家事はありますか?

劒さん:ミシンを買いました。それを使って子どもの破れたものを直したり、古くなったタオルでぞうきんをつくったりしています。僕、直すのが好きなんですよね。直してものを長く使うのが好きです。娘が幼稚園に入るときには、お稽古バッグを購入しましたが、今後はもう少しミシンを習得して、つくれるものを増やしていきたいと思っています。

●子どもと遊ぶ時間が増え、新しく始めたこと

――今年の夏は非常に暑くて、お子さんと遊ぶのも大変ではなかったですか?

劒さん:自分が子どもの頃は学校のプールに行っていましたけれど、今の日本の夏は…無理です。暑すぎますね。だから遊ぶのはもっぱら室内でした。小学校に入って娘のお友達も増えて、わが家にもよくお友達が遊びに来ます。ただ僕、子どもたちにめちゃめちゃいじられるんです。それもすごくかわいいんですが、子どもたちにたたかれたり、ぶつかられたり、やられまくるんですよ。たぶんですけど…ほかのおうちへ行くとママが出てくるけど、わが家ではパパが出てくるからおもしろがられる…というか。

――子どもたちにとって劒さんは一緒に遊んでくれるいい大人だって認識しているんでしょうね。

劒さん:じつは僕、ちょっと時間ができたこともあって今、週に1回ぐらい小学校の学童のお手伝いをしているんです。子育てを終えた、おじいちゃんやおばあちゃんにまじって送り迎えなどのボランティアをしています。学童では、そういう方たちやプロの職員さんたちが子どもとどう接しているのかとか、どう遊ぶのかとか覚えられるし、今の教育のあり方みたいなものがとても勉強になっていますね。

●夏といえば、怖い話?子どもにとって怖い話はあり?なし?

――劔さんといえば、インスタグラムで連載していた怖い話を集めた『怪のリディム』(扶桑社刊)を発売されました。子どもに怖い話をすることはあるのでしょうか?

劒さん:僕が言うのもあれですが、子どもには、あまり怖い話しない方がいいんですよね(笑)。怖い話を聞いて、夜、寝れなくなったり、トイレに行けなくなったりすると困るから(真顔)。子どもには子どもにジャストフィットする怖い話をなにかしら用意しておくと喜ばれるかもしれません。

――宣伝になっていないけれど、いいんですか(笑)。

劒さん:子どもを寝かしつけた後、親御さんが読んでぜひ楽しんでもらえたらと思っています。もしくは、そこそこ怖いものが好きな子どもがこっそり読むために、ぜひ部屋に置いていただけたらと思います。

 

劔さんの周りのミュージシャンたちが実際に経験した怖い実話を集めた『怪のリディム』(扶桑社刊)は、発売中です。