気になるけど人に言えない「日常あるある」。レジカゴを店の入り口で取らずに後悔しがち
受け手が物事を判断する現代。ニュースに取り上げられるほどではないけれど、だれかにとっては気になって仕方がないことがたくさんあります。
『問題未満』(扶桑社刊)著者の野澤幸司さんが考える、今まで問題視されてこなかったものの、なぜだか引っかかる問題の数々を紹介します。
私だけ?問題にするほどではないけれど…気になること
世の中には、ニュースで取り上げられることのない、問題にするほどでもない、なぜだか気になる“問題”がじつはあふれています。
それはたとえば、お弁当をレンジで温めたらつけ合わせのフルーツまでアツアツになる「ホットオレンジ問題」のような、どうでもいいけれど、いつも引っかかっている問題など。そんな“問題未満”の事象について、コピーライターとして活躍する野澤幸司さんに解説とともに聞いてみました。
●私見る目あります問題
⇒みんな興味なさそうな脇役の地味メン俳優、たぶんみんな好き。
「わかりやすいイケメンの主人公じゃなくて、脇でいい味を出しているメガネで塩顔の彼、彼がいいのよー」みたいな声を聞くことがあります。
でも、あなたがそう思っている時点で、世の中的にはもう脇役じゃなくて主役かもしれませんよね。「わかりやすいイケメンの主人公じゃなくて」あたりに、自分は見てくれだけではない本質がわかっている、という自己陶酔を感じたりもするんです。
●愛と憎しみの問題
⇒愛し合っていた夫婦ほど別れ際の憎しみ強め。
タレントの結婚報告なんかで、いかにもお花畑なカップルいますよね。ああいう人たちを見て世間は「危ないな」と思ったりするわけです。
数年後、まあまあの確率で世間の予想は的中するわけで、そしてまあまあの確率で泥沼に…あのときのお花畑はいずこへ…人と人の間にある感情の種類が変わっても、その熱量は変わらないのかもしれません。
●カフェBGM問題
⇒流行りのカフェ、おしゃれな女性ボーカルの名曲カバーかけがち。
写真映えするパンケーキ、透明なポットに入ったアールグレイ、北欧あたりのインテリア…と完璧な空間を完成させるのは、ボサノバ、もしくはジャズアレンジされたBGMなわけです。
しかも昭和や平成の歌謡曲あたりを今風に解釈しているから、ちょっと上の年齢層にも響いてしまうわけで。
●ゴチの問題
⇒おごってもらうときの財布を出そうとする演技力で印象が変わる。
結果よりプロセスが大事なことがあります。
たとえば部下が上司に食事代をご馳走してもらうとき、払ってもらうという結果は確定していても、払う上司の心象は、部下の振る舞いによって大きく変わるでしょう。「払う気なんてサラサラないのに、いかにも本気で払う感じ」を演出できるかどうかがカギ。
演技がうますぎて本当に払うことになるとそれはまた別の問題勃発ですが…。
●スーパーの買い物カゴ問題
⇒なくていいやと店頭で取らないとそのあと結構見つからない。
大きなスーパーで、まあそんなに買わないしいっか、と買い物カゴを取らずに痛い目に遭ったこと、ありませんか?
店内を見ていたらあとからいろいろ欲しくなって、両手で抱えきれなくなって…みたいな。そんなときに限って、なぜかカゴが見つからない。商品よりカゴを探すのに労力使ってる。給水場で水を取らなかったランナーもこんな気持ちなのでしょうか。
●店員マウント問題
⇒店員さんへの接し方でその人の本性が浮き彫りになる。
人がふだん見せない本性を表すとき。
真っ先に思いつくのはお酒を飲んだときですが、もうひとつわかりやすいのがあります。
お店の店員さんや、タクシーの運転手さんに対する態度です。普段優しくて温厚な人がいきなりタメ語で「スプーンも入れといて」とか「この道で合ってんの?」とか言ったら、ちょっとイメージ変わりますよね。
カッコつけたいんですかね? その態度がいちばんダサいのに。
野澤さんの鋭い観察眼の言葉に、思わずわが身を振り返って考えてしまうことも。もしかしたら、気になることを問題化することで、すっきりする効果があるかもしれませんね。