海に出たサケは生まれた川に戻ってくることがよく知られていますが、ワニにも同じような能力があることが最近の研究で明らかになりました。なかには、153km離れた場所から元いた場所まで帰ってきたワニもいたそうです。

↑遠くからでも帰れます

 

この研究は、米国のフロリダ魚類野生生物研究所が行いました。フロリダ州南部は、人間の数もワニの数も増えており、それによって人間がワニに襲われる事件が相次いでいる地域。そこで、ワニを遠方に移動させる対策が行われているのです。その効果について調べるため、捕獲した17頭のワニにGPSを装着し、7頭を遠隔地へ移し、残りの10頭は比較のために捕獲された場所でそのまま観察しました。

 

すると、遠く離れた場所に移した7頭のうち4頭は、捕獲された場所に自分で戻ってきたことが判明。そのうち3頭は、28km以内の場所に移動させたワニで2週間以内に捕獲された場所に戻り、もう1頭はなんと153km離れた場所に移したのに、2年半以上かかって元の場所に戻ってきたというのです。

 

戻らなかった3頭は、109km以上離れた場所に移したワニだったため、ワニが元いた場所に戻ってくる能力は移動距離に関連性があると見られるわけです。ただし、戻らなかった3頭については、GPSが「メキシコ湾に漂流」と表示されたことから、元いた場所まで戻ろうとして、その途中に死亡した可能性があるとのことです。

 

これまで、フロリダでワニの事件が起きるたびに、ワニを離れた場所に移動する措置が取られていました。しかし、今回の研究結果から、その対策は無意味である可能性が出てきているのです。

 

150kmといえば、東京から静岡くらいまでの距離ですが、そんな長距離を帰ることができるワニの能力には驚くばかりです。

 

【主な参考記事】

Yahoo! news. Florida crocodile relocated 95 miles away was back again 2.5 years later, study shows. July 19 2023