なぜいままで出さなかった? 発売初日500万本が売れた新「午後ティー」大ヒットの背景
3月7日の発売初日に販売数量500万本を突破。同月間の販売予定数量の約8割を達成したのが「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」だ。担当者が明かす商品化までの道程やフードアナリストの分析も交え、ヒットの真実に迫る。
※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです
キリンビバレッジ
午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー
173円
世界三大銘茶からダージリン茶葉とウバ茶葉の2種を各10%使用。爽やかな香りの紅茶とエスプレッソ抽出した紅茶をブレンドして味わいの奥深さを高め、さらにミルクを適量加えた。すっきりおいしい後味のミルクティーとしてファン層を拡大中。
●ヒットのシンソウ
【証言者】「GetNavi」フード担当・菅原史稀
お茶が好きで、午後の紅茶も普段から愛飲。お菓子とともに「おいしい無糖」を飲むことが多い。
初日500万本の数値から事前期待の高さが窺える
「発売初日に500万本を突破、月間の販売予定数量の約8割という数値は驚異的。SNSでは『こういうのを待ってた』という声が多く見られました。発売前からの期待の高まりを考えれば納得の売れ行きですね」(菅原)
市場拡大のなかで誕生した待望の無糖ミルクティー
「午後の紅茶」といえば、1986年の誕生以来、老若男女に愛され続ける国民的紅茶飲料。ただ、意外にもこれまでなかったフレーバーが無糖のミルクティーだ。一方で近年は健康意識の高まりなどで、無糖紅茶市場は拡大。同ブランドでも「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」は、2011年の発売以降11年連続で伸長している。
このように無糖紅茶への追い風が吹くなか、満を持して発売された本商品は、発売前から大注目を集めていた。しかし、なぜ市場が拡大していながら長年商品化されなかったのか。その理由を担当者のインタビューで明らかにする。
8年にわたる試行錯誤を経て待望の無糖ミルクティーが誕生
紅茶飲料の3大定番味といえば、ストレート、レモン、ミルクだろう。ストレートとレモンはすでに無糖が発売されていたが、なぜミルクだけは時間がかかったのか。担当者に聞いた。
【この人に聞きました】
キリンビバレッジマーケティング部
ブランド担当 主任
佐々木 周平さん
試作をとことん繰り返しおいしさの追求に苦節8年
「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」は、開発から発売までに約8年かかりました。一番の理由は、納得できる味づくりに時間がかかったからです。ペットボトルや缶のミルクティーは多くが甘いなか、「無糖でもおいしく感じられるミルクティーはどんな味なのか?」と、何度も試作試飲と議論を繰り返しました。2021年〜22年7月ごろだけで100回近くは試作を実施しましたが、ついに完成したのが今春だったというわけです。
そもそも、牛乳を加えるだけでは乳糖が入ってしまうため、法律の観点から言っても、スペックとして「無糖」を名乗れません。そうした制約があるなかで乳糖をコントロールし、「無糖」でありながらミルク感を出すことが非常に難しい課題でした。
さらに、「おいしい無糖」は高い評価をいただけている人気のシリーズであり、このブランド価値をより高められるミルクティーを作りたかったのです。単に砂糖不使用のミルクティーであれば、もっと早く実現はできましたが、あくまでも「おいしい無糖」で発売することにこだわったことで、時間はかかりましたが自信をもってお届けできる味が完成しました。
「午後の紅茶」の歴史を振り返ると、無糖紅茶はブランド草創期からトライしていますが、なかなか定着させられませんでした。甘い紅茶商品が主流のなか、「午後の紅茶」が無糖でも支持をいただけるようになったのは、2011年の「おいしい無糖」発売以降です。健康志向の高まりで、紅茶に限らず無糖が支持された背景もありますが、徐々に無糖紅茶が市民権を獲得しつつあったことで、ミルクティーの開発に光明を見出すことができました。こうした素地があったからこそ「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」が発売できたと考えています。
本商品で目指すのは、無糖ミルクティーの価値訴求はもちろん、日常的な無糖飲料の新たな選択肢になること。さらには従来のストレートとレモンを含む「おいしい無糖」の価値を高めることで、これまで紅茶を飲んでこなかった方との接点を作り、紅茶を楽しむ文化をより広げていきたいです。今後も一層ご注目ください!
【IMPRESSION】
フードアナリスト・中山秀明さん
カレーと紅茶のおいしい関係に注目しているライター。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」は長年愛飲している。
■香り高く心地良い味わい濃厚なスイーツに合わせて
「ブランド特有のエレガントな香り高さが立っていて、すっきりした味わいながら単調さは皆無。もったりしない、夏でもゴクゴクいける心地良いおいしさです。甘いタイプより食事との相性も良いですね。香ばしい焼き菓子や、濃厚なスイーツにベストマッチ」(中山さん)
午後ティーブランドの取り組み
【環境】スリランカの紅茶農園を支援し子どもたちには図書を寄贈
「午後の紅茶」に使用している茶葉の主産地はスリランカ。現地の紅茶農園が持続可能な農園認証を取得するための支援と、学校への図書の寄贈を行う。
午後の紅茶 ストレートティー(LLスリム)
108円(250㎖)
スリランカ産の、レインフォレスト・アライアンス認証茶葉を90%以上使用。紅茶葉の華やかな香りと、心地良い渋みを楽しめる。
【コミュニティ】復興応援先の素材を商品化し売り上げの一部を寄付
国内復興応援として「午後ティーHAPPINESSプロジェクト」を実施。復興応援先の国産素材を使用した商品の発売と、売り上げに応じた寄付を行う。
午後の紅茶 for HAPPINESS
熊本県産いちごティー
173円(500㎖)
渋みが少なくやさしい飲み口が特徴の熊本産紅茶葉を6%使用。上品な甘さの熊本県オリジナルいちご「ゆうべに(果汁0.1%)」を合わせた。
【健康】キリングループ全体で生活習慣病予防を支援
キリンはグループ全体で生活習慣病の予防支援に努めている。「午後の紅茶」ブランドでは“摂りすぎない健康”を標榜し、無糖商品を拡充。
午後の紅茶
TEA SELECTION
アールグレイアイスティー
184円(500㎖)
スリランカ産茶葉を100%使用した無糖のアイスティー。爽やかな柑橘の香りと豊かな紅茶の味わいで、清涼な余韻を楽しみたいときにぴったり。