沃飛長空は開発中の「AE200」の耐空証明を2025〜2026年に取得することを目指す(写真は同社ウェブサイトより)

「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国のスタートアップ企業、沃飛長空科技(AEROFUGIA)は6月30日、シリーズAの資金調達ラウンドで1億元(約20億円)超の出資を得たと発表した。

同社は中国の民営自動車大手、吉利控股集団(ジーリー)の傘下にあり、グループ外からの資金調達はこれが初めてだ。リードインベスターは清華大学系の投資ファンドの華控基金(チンホア・ホールティングス・キャピタル)が務め、中国の複数のファンドがともに出資した。

立体的な都市交通システムを形成

沃飛長空は、今回調達した資金を同社の空飛ぶクルマ「AE200」の開発費用に充て、(空中移動と陸上移動を組み合わせた)立体的な都市交通システムの実用化を目指すとしている。

リードインベスターの華控基金は、その傘下にアジア太平洋地域最大級のプライベート・ジェット運航会社である華龍航空(シノ・ジェット)を擁する。沃飛長空によれば、今回の資金調達を機に華龍航空のプライベート・ジェットの運航ノウハウを学べるほか、将来的にはAE200の(売り込み先としての)ビジネスチャンスを広げる利点があるという。

空飛ぶクルマへの参入に関して、吉利は中国の自動車業界で最も早く布石を打った1社だ。


上から見た「AE200」は独特の形状をしている(沃飛長空のウェブサイトより)

同社は2017年、エンジン駆動式の空飛ぶクルマを開発していたアメリカ企業を買収したが、事業化には至らなかった。

テスト飛行にすでに成功

その後、吉利はこのプロジェクトを土台にして2020年に沃飛長空を設立。電気駆動式の空飛ぶクルマの開発に乗り出した。


本記事は「財新」の提供記事です

AE200は5〜6人乗りで、2023年1月に初のテスト飛行に成功した。空飛ぶクルマの商用運航を実現するには、航空安全当局から機体の安全性を公的に証明する耐空証明を取得することが前提になる。目下その準備を進めており、2025〜2026年の取得を目指している。

なお、沃飛長空は自社開発のAE200に加えて、ドイツの同業のボロコプターとも合弁会社を設立。同社製の空飛ぶクルマを中国市場に導入することも計画している。

(財新記者:方祖望)
※原文の配信は6月30日

(財新 Biz&Tech)