シリアでは頻発しているようです。

衝突はしていないが危険な行為

 アメリカ空軍は現地時間の2023年7月5日、シリア上空で任務中の無人航空機MQ-9「リーパー」に対して、ロシア軍の戦闘機が危険な行動をとったと発表しました。


接近した機体とみられるロシアのSu-35(画像:ロシア国防省)。

 アメリカ空軍の話によると、中央空軍所属の所属MQ-9「リーパー」3機がISIS(イスラム国)を標的とした任務を遂行中に、突如ロシア空軍所属のSu-35戦闘機が接近し、MQ-9「リーパー」の近くでアフターバーナーを点火し加速。赤外線誘導ミサイル用のおとりである「フレア」をばらまいたとのことです。同件に関してアメリカ中央空軍は「無謀な行為をやめ、プロに期待される行動基準を守るよう強く求める」と批判しています。

 シリア上空では、米露が互いにイスラム過激派に対する空爆のために軍事介入をしています。そのため、互いの軍事衝突を避けるため2015年に飛行面での安全確保に関する合意書を締結し、管理空域を定めています。

 そうした緊張が続き、細心の注意を払わなければならない空域でありながら、ロシア空軍の戦闘機は2023年5月にも中央空軍のF-16に対して不用意に接近し、挑発行動を行いました。実はそれ以前にも挑発行為が頻発しており、事態を重くみた中央空軍司令のアレクサス・グリンケウィッチ中将が「ロシアの行動は目に余る」と自ら懸念を述べたほどでした。

 また、2023年4月には黒海上空でロシア軍戦闘機Su-27とアメリカ空軍のMQ-9「リーパー」が衝突した事故もあります。同事故後、ロシア国防省は接触しMQ-9「リーパー」を墜落させたパイロットに勲章を授与しましたが、このことが、ほかのパイロットにも挑発的な飛行を行わせている動機になっているではという声もアメリカ空軍では出ているようです。