オートマ車のシフト「N」はいつ使うの? 赤信号で使うと思わぬ危険も ″実用以外の″存在理由とは
AT車のシフトレンジは一般的に、P・R・N・Dといったものがありますが、このうち「N」レンジはあまり使われません。そもそもなぜ「N」レンジが設けられているのでしょうか。
いったい何のためにあるのか
AT車のシフトレバーには「P(パーキング)」「D(ドライブ)」「R(リバース)」などとともに「N」というものがあります。これは「ニュートラル」を意味しますが、本来、いつ使うものなのでしょうか。
AT車のトランスミッションのイメージ(画像:Pramote Soongkitboon/123RF)。
MT車で「ニュートラル」はギアを動力と切り離した状態であり、駐停車の際はこの状態にすることが多いですが、AT車で駐停車中にこの「N(ニュートラル)」を使うのは、危険を伴うかもしれません。
都内の自動車教習所のスタッフは「Nレンジは文字通り駆動系を切り離している状態なので、少しの傾斜があると、徐々に転がりはじめてしまう場合があります。駐車時や信号待ちなどでNレンジにしてパーキングブレーキをかける人もいますが、パーキングブレーキで車を止められる力にも限度があります」と話します。
いっぽうでPレンジには、駆動系をロックし、転がりを防止する機構があります。駐車時はPレンジを使用するのが安全だと話します。また信号待ちなどの停車時も、フットブレーキを踏み続けていたほうが確実だと指導しているそうです。
それでは、Nレンジは一体いつ使うために装備されているのでしょうか。先述のスタッフは「故障してけん引してもらったり、手で押して動かす時など、駆動系を切り離すことが必須な場合に使います。つまり、日常生活では基本的に使わないものと考えてかまいません」と話します。
またNレンジの存在は、実際の使い道以外の存在理由もあるそうです。もしNレンジが無ければR(リバース)のすぐ次がD(ドライブ)になり、シフト切り替えの際にギアボックスへの負担が大きくなってしまうとのこと。いったんNレンジを挟む設計にすることで、クルマにとっても優しいのだそうです。もっとも最近のクルマでは電子制御が進みボタン式のシフトも増えているため、ますますその存在意義は薄れていると言ってよいでしょう。