「気を整える」「気の巡り」とよく聞くけど…そもそも“気”って何? カイロプラクターが解説
「カイロプラクティック」という言葉を聞いたことはありますか。これは、ギリシャ語で「カイロ→手」、「プラクティック→技術」を意味する造語で、脊椎を中心とした身体の構造と機能に注目した手技療法を特徴とするヘルスケア(広義の医療)を指します。
今回は、カイロプラクターとして活動する三上隆之氏の著書「エネルギーを整える。」(実業之日本社)の中から「気」について解説します。
「気=エネルギー」と表現
以前、筆者はカイロプラクティックの世話になっており、仕事帰りやジム帰りの施術は、まさに極楽でした。ところで、「気を整える」「気の巡り」という言葉をよく聞きますが、三上さんはこれらの「気」の動きを「エネルギー」と表現しています。エネルギーと聞くと、車の動力や資源エネルギーを思い浮かべますがそうではありません。
三上さんは、著書で「エネルギーは私たちの目には見えません。しかし、元気な人を見れば『あの人はエネルギッシュだな』と思ったり、自分自身がひどく疲れているときは『もうエネルギー切れだ』と感じる経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。目に見えなくとも私たちは誰しもエネルギーが自分の中に存在していることを感覚的、体験的に知っているのです」と説明しています。
また、「今あなたのいる空間、身に着けている衣類や装飾品、隣で仕事をしている人、ついさっき届いたメールの内容…実はそのすべてのエネルギーから私たちは何かしらの影響を受けているのです。家に帰り、パジャマやスエットを着るとゆったりとした気持ちになる一方で、朝を迎えてスーツや仕事着に着替えるとシャキッとした気持ちになりますよね」と語っています。
つまり、人は自らの意思だけで動いているのではなく、周囲の人やモノからエネルギーの影響を受けているということです。
また、三上さんは、エネルギーと体の関係を次のように例えています。
「ラジオの仕組みに例えるとイメージしやすいでしょう。ラジオは各局からいろいろな周波数の電波が送信され、周波数が一致すると番組を聴くことができます。これがエネルギーでいえば、メッセージの送受信がうまくいった心身の調和がとれている状態です。逆に周波数が一致しないと、受信できませんから番組を聴くことはできません」(三上さん)
「私たちが心身の不調として感じる内側からのメッセージの裏には、外側からのいろいろなメッセージの影響があるということです。それに気づくことが、自分のエネルギーを整える第一歩となると考えています」(同)
三上さんの話を基に、「気を整える」を「エネルギーを整える」、「気の巡り」を「エネルギーの巡り」とそれぞれ言い換えると、具体的にイメージできるかと思います。
デスクワークで「気の巡り」が悪化?
以前、筆者は「首の痛みや肩こりが治らない」「頭痛がする」「気分がスッキリしない」などの症状が続いたことがありました。その原因を突き止めたところ、「猫背」にありました。生活のあらゆるシーンに「猫背」の原因が潜んでいたのです。
パソコン仕事と「猫背」はとても相性がよく、気を付けないと「猫背」が当たり前になります。長時間、キーボード操作をしても疲れないように、机や椅子の位置、高さを調整したり、キーボードの打ち方を工夫したりしても「猫背」を防ぐことはできません。「猫背」ばかりを意識するあまり、肩こりや腰痛に派生する可能性が高いからです。
さらに、体を動かさないと腰や背中の筋肉が硬くなってしまいます。これは「気の巡りが悪い」状況です。若い頃と違い、遅くまで頑張ると、翌日には「猫背+腰の張り」とともに痛みが強くなります。マッサージなどで多少ラクにはなりますが、翌日には元通りです。一時的にラクになっても、ぶり返してしまうのです。付け焼刃な対処療法をしても変わらないということになります。
コロナ禍以降、在宅勤務が増えた人の中には、デスクワークで長時間座りっ放しの状態が続いたことで、体の不調を訴える人がいます。例えば、「何だか調子が悪い」「すっきりしない」といった具合です。
そこで、この機会に自分の体と向き合ってみませんか。意識することで「エネルギーがととのう」かも知れません。