こちらは2023年6月25日に観測された土星の姿です。「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータ(近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。「ハッブル宇宙望遠鏡」などで撮影した画像とは違い、暗い土星本体と明るい環のコントラストが印象的です。


【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で2023年6月に観測された土星(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA), J. DePasquale (STScI))】


ウェッブ宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によれば、土星の大気に含まれるメタンのガスは太陽光のほぼすべてを吸収するため、観測に使用された波長(3.23μm)では土星本体が非常に暗く見えます。いっぽう、氷でできている環は比較的明るいままなので、このように可視光で見た時とは異なる「暗い本体に明るい環」という姿に写るのだといいます。


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STScIによると、土星の大気がこの波長でこれほど鮮明に観測されたのは今回が初めてです。土星本体の北半球に広がる暗い領域は縞模様とは異なり緯度線には沿っておらず、大規模な惑星波(planetary waves、ロスビー波)を連想させるといいます。また、北極周辺が一層暗く見えるのは、極地のエアロゾルに影響する知られていない季節性のプロセスが原因だと考えられています。


次に掲載した注釈付きバージョンの画像で解説されているように、ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamはA環の外側にある細いF環も捉えました。さらに長時間の露光を行うことで、F環の外側にある薄いG環や拡散したE環といった、より暗い環も調べられるようになるといいます。土星の左側には衛星ディオネ(Dione)、エンケラドゥス(Enceladus)、テティス(Tethys)も写っていることがわかります。


【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で2023年6月に観測された土星(注釈付き)(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA), J. DePasquale (STScI))】


ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した土星の画像はアメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、STScIから2023年6月30日付で公開されています。


 


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Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA), J. DePasquale (STScI)NASA - Saturn’s Rings Shine in Webb’s Observations of Ringed PlanetESA/Webb - Saturn’s rings shine in Webb’s observations of ringed planetSTScI - Saturn’s Rings Shine in Webb’s Observations of Ringed Planet

文/sorae編集部