「独り言」、実は“ストレス解消”に効果アリって本当? 心理カウンセラーに聞いた
「独り言」と聞くと、「職場の同僚の独り言、正直ちょっとうるさい」「リアクションすべきか、いつも迷う」など、ネガティブな印象を抱く人が少なくないかもしれません。しかし一方で、独り言をつぶやくことがストレスの軽減につながるともいわれているようです。
「独り言でストレス解消」は、実際に効果があるのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
一定のストレス解消効果はあるが…
Q.そもそも、なぜ独り言を発するのですか。どういった心理状態からくる行動なのでしょうか。
小日向さん「独り言を発する要因はいくつか考えられ、どういった心理状態からの行動なのかは、独り言の内容によって考察が可能だと思います。
例えば、『どうしようかな…』『あ、間違えた』などは自身の思考ロジックの確認や整理のため、『バカやろう』『死ね』など暴力的な独り言や、実際に暴力が伴う独り言の場合は、怒りのストレスがたまって吐き出している状態、『どうして?』『大変!』など、隣にいたら思わずその人を見てしまうような独り言は“構ってほしい”心理から、『テレビ番組のクイズに声を出して答える』『バラエティー番組に突っ込みを入れる』などは寂しさからくるものと考えられます。これらの場面での独り言は自覚がなく、他人から指摘されて意識する人が多いです。
なお、そこにいない誰かと会話したり、話し掛けたりしている様子の場合は、疾病の可能性があります」
Q.「独り言」を発することで、実際にストレス解消の効果は期待できるのでしょうか。
小日向さん「ストレスとは『圧』です。例えば、心を風船になぞらえると、膨らんだ風船を指でぎゅっと押さえて風船がへこんでいる状態が、ストレスがかかっている状態ということになり、指を離して元の形に戻ることがストレス解消となります。
独り言は、風船を押している指を、言葉という音のエネルギーで押し返す行為なので、『スッキリした』気分になることによる一定のストレス解消効果はあると思います。ただ、その言葉がネガティブであったり、暴力的であったりする場合、音として自分自身で聞くことによって感情を再認識するため、感情がエスカレートしてしまい、周囲を不快にさせてしまう可能性があります。従って、一概に『ストレス解消できるから独り言はよい』とまではいえないと思います」
Q.「独り言」で自分のストレスを上手にコントロールする方法を教えてください。
小日向さん「無意識に独り言を言う癖がある人は、TPOをわきまえるということを意識していれば問題ないと思います。
一方、意図的に独り言を言って、ストレス解消や不安の軽減を行う方法があります。これは『セルフトーク』といいますが、鏡に自分を映して自分に話し掛ける形で行います。
ポイントは、話し掛ける際に『私は』『僕は』といった一人称を使うのではなく、『あなたは』『君は』など自分を二人称に変えて話すことです。『あなたはすごく頑張ってきたのだから、絶対に合格するよ』と伝えたり、『あなたが一番不安に思っていることを教えて』と自分と対話したりする使い方もできます。独り言と聞いて想像する内容とは少し異なりますが、興味のある人はぜひ試してみてください」